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講師コラム

第1回 ハラスメント問題を解決するコミュニケーション

はじめに

企業の方とお話ししていると「コミュニケーションが喫緊の課題」「コミュニケーションは難しい」という話を伺うことがあります。当コラムでは「解決志向」という考え方をコミュニケーションに活用し、他者との関係性を深める方法を説明していきます。ビジネスにおいては上司と部下のコミュニケーションが円滑になることにより、職場のハラスメント問題をなくすことに貢献したり成果に繋がったりということが起こってきます。

まずは一般的な「会話」という切り口でコミュニケーションを考察していきます。

皆さんはこんな会話に覚えはありませんか。

ケース1 お父さんとお母さん

今日は日曜日。日ごろ何かと忙しいお父さんの久しぶりの休日に家族で水族館におでかけです。4歳になる娘さんは水族館が大好きなので、以前、入場料がお得になる年間パスポートを購入しています。ところがお母さんは肝心のパスポートを忘れてしまったようです・・・。

:パスポート忘れたの?まったく、いつも出掛ける前には忘れ物はないかって言っているだろう。
:あなたが急かすからでしょう!
:なんで忘れたの?
:なんでって?忘れたのに理由なんか無いわよ!そんなに言うならあなたが持ってくればいいじゃない。

せっかくの楽しいおでかけですが、雲行きが怪しいようです。



ケース2 職場の先輩と後輩

とある会社の先輩(田中さん)と新入社員の後輩(佐藤くん)。
いつも就業時間ぎりぎりに駆け込んでくる佐藤くんに対して、教育係の田中さんはゆとりをもって出社し、適切な仕事の準備をしてほしいと思い、よく声をかけています。しかしながら、何度かぎりぎりの出社が繰り返され、ある日、10分以上の遅刻をしてしまった佐藤くんに対して田中さんの怒りが爆発してしまいました。

田中:なんで遅刻なんかするんだ!理由を言ってみろ!
佐藤:すみません、目覚ましはかけたんですが。寝坊してしまって。
田中:なんで寝坊なんかするんだ。
佐藤:遅くまで企画書を書いていまして。
田中:●〇社の企画書か。なんでもっと早く取り組まないんだ。時間の使い方が間違っているんじゃないのか?あと、そんなことを言って、実は単純に遊んでいたんじゃないのか?とにかく、やる気あるのか?
佐藤:すみません・・・。

佐藤さんの言うことは正論ですが、「なぜ」「なぜ」「なぜ」と繰り返すあまり、
いまひとつ会話が前向きに進んでいないようです。効果的な会話の流れは無いでしょうか?



ケース1と2の共通点

ありがちな会話ですが、それぞれ、発生した問題に対して、
ケース1「なんで忘れたの?」
ケース2「なんで遅刻なんかするの?」「なんで寝坊なんかするの?」
と相手に対して「何が悪いのか」と追及しているようにみえます。

実は人間は問題に行き当たると、まずその原因を追究する方向に志向することが多いようです。つまり「何が悪いのか」「悪いものに焦点を当て、悪いものをどうすればなくせるか」「悪いものがなくなれば問題は解決する」という思考を巡らせがちです。これは、「問題志向」型のアプローチといいます。人間が生来もっている「ネガティブはポジティブよりも強い」という性質から当然ともいえます。ところが、人や組織に関する問題の場合は「悪いところを直す問題志向」以外の解決方法も存在します。これが当コラムでご紹介していく「解決志向」です。

たとえば、こういった会話です。

ケース1 お父さんとお母さん

:パスポート忘れたの?そっか。今日は仕方がないね。次回はどうしたら忘れないか一緒に考えようか。
:ごめんなさい。そうね・・・車で行くから車の中に入れておくっていうのはどう!
:いいね!あと、お出かけの際に読み上げる簡単なチェックリストを作ろうか?
:それなら絶対に忘れなそうね。
ケース2 お父さんとお母さん

田中:遅刻したのかい?何があったの?
佐藤:実は昨日夜遅くまで企画書をやっていたのですが、明日寝坊したらどうしようと思えば思うほど眠れなくなってしまい、結局就寝がかなり夜中になってしまったんです。
田中:そっか。●〇社の企画書か。お疲れ様。ただ社会人として遅刻という結果はまずいね。
佐藤:おっしゃる通りです。申し訳ありません。

田中:どうしたら遅刻しないで出社できると思う?そういえば、遅刻しないで30分前に来ていた日があったよね。その日はどんな感じだったの?
佐藤:そうですね。ありました。その日はあまりアルコールを飲まず・・・あと、目覚ましが2個セットしていました。今は一つ壊れていまして。
田中:遅刻しない日の行動パターンを繰り返してみると良さそうだね。
佐藤:はい!ありがとうございます。
解決した状態:ソリューションに焦点を絞る

いかがでしょうか。「悪いことを直す」「原因に焦点をあてる」ことをしなくても、「どのようにすればよい状態になるか」という未来志向でなんとなく解決の方向性が導き出されています。このように「どのようにすればできるのか」「解決に向かっていくのか」と考えていく志向を「解決志向」といいます。

いずれのケースも伝えたいことは一緒かも知れませんが、伝え方(文脈)が異なります。このように、職場の、あるいは地域社会や家庭内においても様々なコミュニケーションの場面において、「問題志向」のみならず「解決志向」も活用できると、様々なメリットがあります。

そもそも解決志向とはどこでどのように生まれたのでしょうか?
解決志向は英語で「Solution Focusedソリューションフォーカス」といいます。アメリカ、ミルウオーキーのBFTC(Brief Family Therapy Center)で、1980年代半ばに開発されました。 セラピー、カウンセリングなど心理療法の分野で、人の心の働きや脳の働きを踏まえて、研究・開発が進められ、治癒までに200回必要と言われたセッションが、3回でも良くなったというイノベーション的手法として脚光を浴びます。その後、コーチングの中心理論として組み込まれ、2000年頃より組織開発への発展的応用が活発になりました。現在では、マネジメント、リーダーシップ、コーチング、ファシリテーション、組織開発など、人と組織の問題を前向きに解決する効果的手法として注目を集め、多様に活用されています。

当コラムでは職場のコミュニケーションの現状やハラスメント問題などを題材にしながら、解決志向のコミュニケーションを職場、あるいは様々な組織、対人関係で実践するためのヒントをお伝えしてまいります。

コラム担当講師
佐藤 拓哉 (さとう たくや)
研修講師、社会保険労務士。サービス業の営業統括部長として多店舗展開における組織マネジメントに従事。それらの経験を通じ、顧客満足には組織と人のモチベーションが必要不可欠と確信。コンプライアンスや組織マネジメントなど、重要だが学術的になりがちな研修を、実践的により楽しく行うことがモットー。上場企業から従業員2名の店舗まで、幅広い分野で研修とコンサルティングを行う。著書に「人事労務の実務辞典4休日・休暇・労働時間:(秀和システム)」がある。

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