甲子園球児から学ぶ、ハラスメントにならない方法

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グラウンドに敵はいない。職場には味方がいない!?

今年の甲子園で気になるニュースがありました。まずは、ご一読ください。
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2019年8月18日付 朝日新聞デジタル(抜粋引用出典)
「星稜投手に異変、一杯のスポドリ届けたのは…観客が拍手」 阪神甲子園球場で開かれている第101回全国高校野球選手権大会の熱戦のさなか、心温まる場面があった。 18日にあった準々決勝第3試合、星稜(石川)―仙台育英(宮城)の七回裏。仙台育英の攻撃中、星稜の先発・荻原の右手がつりかけた。仙台育英の4番打者・小濃は、荻原の小さな異変を感じ取ると、自分が飲もうと思っていたスポーツドリンクのコップを持ってすぐにベンチを飛び出し、2年生右腕のもとへ駆け寄った。「けがしたらダメだよ。これ飲めよ」と荻原に声をかけた。  このとき、仙台育英は1―9でリードされていた。小濃は「これまで自分たちが死球を受けたときも(相手に)コールドスプレーをかけてもらっていた。自分たちもそういう場面が来たら、何かしなくちゃと思っていた」と振り返った。仙台育英の須江監督は「気がついたら小濃が行っていた。日頃からグラウンドに敵はいないと教えています」。  敵味方を問わないフェアプレーに、3万4千人の観客から大きな拍手が送られた。
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ネット上では熱中症の是非の議論もありましたが、ここでは論点から除きます。 誰から指示されることなく、スポーツドリンクを持っていく選手の行為は、 「日頃からグラウンドには敵はいないと教えています」監督の言葉が、すべてを物語っていると私は思いました。単なる美談で済ませずに、実はハラスメント問題を解く学ぶべきポイントがあるのです。

正々堂々、働いていますか?

 昔から、選手宣誓でも、「正々堂々」という言葉をよく耳にします。 「正々」とは、組織に置き換えるとルールや規則に従った行動、言動。 「堂々」とは、自分を取り巻く誰にも恥じることもない立派な姿。 美しい姿で(仕事に美意識をもって)自分と正直に向き合い仕事に挑むことともいえます。

      甲子園球児は、「堂々」としているからこそ、愚直な行動が人の心を打つのでしょう。 「正々」であることは、組織である以上、当然の法令遵守です。 一方、「正々」ではあるけれど、「堂々」としていない組織や上司、皆さんの会社にはいないでしょうか?

  企業は「堂々」でなければならない。 本当の意味でステークホルダーから信頼される会社を目指す為には、もう一度自分の仕事、組織、上司、あなたの会社は、「正々堂々」であるか、考えてみてください。 「日頃から職場には(本当に)敵はいないと教えています」 こんな言葉が言える上司、あなたの職場にはいますか?

道路と化していく、あなたのオフィス

 一方で、正々堂々とは言えないよくこんな話をよく耳にします。
「廊下にゴミが落ちても拾わない社員が沢山居るんですよ」
「廊下で大きなくしゃみして、唾をまき散らす人がいます!」
 「トイレの手洗い場が夕方になるといつも水浸しなんですよ」
「会議室の椅子を机のなかにしまわない」
「飲みかけのドリンクがいつも置きっぱなしなんですよ」
「食べ残しや飲み残しをフロアー共有の冷蔵庫にいれて放置」
「食べ残しの菓子や、ドリンクがフリースペース散乱してます」
「濡れた傘を堂々と干して、生乾きの臭いで臭すぎます」
 「うず高く積もった弁当のゴミの山。今にも崩れそうなんです」
「気づいた人だけで、毎回片づけるんですけど誰も見てみぬ
「トイレの個室に入ったら大を流さない人がいた!」
 という男性社員からの衝撃的な声!

「先生、それが50代も、40代も、30代の社員もですよ!」
 でも、仕事だけは成果をだして一人前なんです。
 これだから厄介なんです。
おまけに社長も見てみぬふりで、ため息が出ます。

 この職場の社員、正々堂々と仕事しているといえるでしょうか?

 球児たちが、この状況知ったら就職したいと思うでしょうか?
高校球児の皆さん、これがリクルートのブースでは分からない職場
の実態なのです。
(でも誤解しないでください。勿論、これはほんの一部ですから!?)

「そんなの関係ねえ!」

 このような事例は、すべて共通して言えることは「人ごと」なんです。 会社が汚れようが、わたしには関係がない。 成果だけ上げて、給料さえもらえばどうでもいい。 誰かがやってくれるだろう。 これではチームワークなんて、どこ吹く風。所詮、きれいごとです。 部下には偉そうに、チームで仕事をするものだ!言いますが、上司の肚の中は全く異なります。

 「フン!何がチームワークだ」

 「アイツと仕事?ありえない」

こんな状況が常態化しても、不思議と誰からの注意されることもなく、25日にはちゃんと給料が振り込まれます。
 ゴミを拾わなくても、人事評価にも影響されません。チームビルディングを研修で学んだら、ゴミを拾うようになるのでしょうか?仕事は出来るけど、こんな意識の人たち同士でチームを組んで会社はよくなるのでしょうか?

「誰かがやってくれるだろう」はびこる職場に漂うハラスメントの空気

 このようにビジネスマナーではなく、それ以前の「マナー」と「モラル」が欠如している会社、オフィスが汚れている会社には、ハラスメントが起きる芽がある可能性が高いと私は思います。

 職場で、ハラスメント問題が起きてもそんなことは自分には関係ない、むしろ関わりたくないからです。職場で働くメンバーには結局のところ、心の奥底では無関心ではないでしょうか?うわべは関心があるように装うことには長けている上司もあなたの職場にはいないでしょうか?

  このような人に限って、会社の備品を乱暴に扱ったり、ロッカーを乱暴に閉めたり、社用車に傷をつけても平気だったりと、自分のモノは大事に扱うくせに、他人のモノ(特に会社)となった瞬間に急に態度が変わるのです。そして、これが対象がモノから、人にも変わります。部下はモノではありません。

最後にもう一度、監督の言葉を繰り返します。

「日頃からグラウンドには敵はいない」と考えています。

「日頃から職場には敵はいない」と置き換えれば、 職場で仲間に関心をもつことの大切さ、甲子園での出来事からもう一度考えてみたいものです。

  あなたは、本当に何か困ったときに、手を差し伸べることができますか?
職場の環境やと働く仲間に無関心。 無関心が、やがて無視につながり、
結果、起きるハラスメント問題。
  働き方改革で真っ先に削るものは、「部下とのコミュニケーション」言っている上司もいる昨今。

あなたは、職場でフェアプレーしてますか?

ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を実施してきた。