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藤山 晴久 について

株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締 産業カウンセラー/ ハラスメント研修企画会議 主宰 企業研修プランナー 「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職にセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修をご提供。フツウの研修講師とは異なる「企画営業」という立場で、ハラスメントをなくすためのコツを指導している。

管理職の皆さん、困ったときに「助けて」と言えてますか?

相談業務は大変

 どこの企業もハラスメントの相談窓口を設置、相談担当者を育成して、「社員からの相談を聴く」一見、簡単そうに見えて、その道のプロでもなかなか難しい仕事を任されて日々、社員から寄せられる様々な相談と格闘している社員が全国にいらっしゃいます。

 一方で、現場の管理職も、ラインの責任者として、日常の業務内容に関することに限らず、職場での部下などから人間関係の悩み相談されることも多いことかと思います。大企業になると、コンプライアンスリーダー制度を設けて、コンプライアンス部門と協力して、なるべく早く現場の悩みに対応すべく、管理職がコンプライアンスリーダーを兼任して、仕方なく!?引き受けている方も少なくありません。

 相談者からの相談に対応することで、当然、その分自分の仕事の時間が減りますから、管理職といえども、日常のプレイヤーとしての仕事、マネジメントの仕事、どちらも手を抜くわけにはいきませんので、正直いくら時間があっても足りません。上司の仕事量は増えるばかりです。そのことでかえってストレスを抱えている辛さも実際に聞こえてきます。

 深刻な相談は別として、人間関係の好き嫌い、同僚同士の嫉妬、マネジメントの誤解、経験を重ねた管理職からすれば、「それくらい自分で解決してよ」と、思うような大したことないと言いたくなる悩みであっても、部下からすれば深刻です。しかし、役割上、しっかりと「傾聴」しなければならず、いつのまにか「傾聴も我慢のスキル」と誤解されるようになり、余計に我慢することが増え、比例して、これまた上司のストレスも溜まっていくのです。

なぜ、上司は相談窓口を利用しないのか?

最近、私が気になることがあります。会社では相談窓口を利用しよう!と部下に声高にPRするのは、いいのですが、なぜ肝心な管理職はPRする側になるだけで、管理職側は会社に相談しないのでしょうか?管理職の相談件数が、一般職に比べて少ない、或は、ゼロの会社もあります。

その背景に、ある特徴があります。特に、上司世代は、昔、学校や家に帰れば親から「自分ことは自分でやろう」と習って育ちました。学校や習い事、塾の先生も、今に比べれば、厳しい指導スタイル。

その価値観を疑わないまま会社に就職し、歯を食いしばって、昨日よりも明日、明日よりも明日と、苦労と我慢が自分を成長させると信じで疑わず、当時上司の(現在は80代)パワハラにも耐え、根性論で這いつくばってきた世代といえるでしょう。ある意味、80代の上司の価値観を擦り込まれてきた節はあります。

上司だってパワハラをうけている

色んな苦労を乗り越えて、成果をあげてきたからこそ管理職の立場にあることは間違いない事実であり、素晴らしいことです。しかし、その価値観で30年以上も同じ会社で、同じ風土で会社員人生を過ごすと、頑張ってもできないことや、困ったことがあっても、人に相談が出来なくなる人が、今、増えているのです。管理職だって完璧な人間ではありません。大きな声では言えませんが、部下には知られたくない苦手な仕事もあります。同僚や部下に頼ることなく、仕事の悩みを一人で抱え込むのです。ここだけは聞いて欲しいのですが、「悩み」を抱え込むのです。これは、仕事に限らず、家庭、自分、将来、病気、介護と様々です。

 部下や同僚に「助けて」と言うと、相手に迷惑をかけたり、「無能な上司」と思われたりするといった

不安にかられ、自分から言い出せないのです。上司だって、上司の上司からパワハラをうけます。役員会で怒鳴られて、精神的に追い詰められて退職を余儀なくされた部長や課長を何人も見てきました。「売上があがらないならが、いますぐ、その窓から飛び降りろ!」こんな言葉が役員会で飛び交う時代錯誤の会社がいまだにあります。

退職すれば、上司の役員は、「あいつは根性が足りない」と一蹴し、内心、敵が減ったとほくそ笑む。結局、役員自身のマネジメントの無能さを、部下の精神的な弱さにすり替えられ、「なかったこと」に置き換えられ、もみ消される。これがまだ、今でも日本で行われているのが実態です。

増える50代の自殺者数

 今、日本の特に50代の自殺者数が増えています。「助けて欲しい」この一言が言えない上司。職場では、部下の悩みは聞くとても優しい上司ですが、自分の悩みは、誰にも吐露できない上司が増えています。

もし、管理職の皆さんが、部下や同僚から助けを求められたら、仕事だから相談にはのるのかもしれませんが、一人の人間として「何か手伝えることないかな」そんな気持ちは湧き起こりませんか?

大袈裟かもしれませんが、目の前で、突然、心臓発作で苦しんでいる人がいても、あなたはその場から逃げますか? 

助けを求めても、自分の思うようにいかないこともあるでしょう。それが会社です。でも、部下にさんざん進めている相談窓口だって、ちゃんと上司である「あなた」の話を聞いてくれます。社内が恥ずかしいなら、社外でもいい。プロのカウンセラーでもいいのです。

管理職の皆さん、もう我慢するのはやめませんか? 

もっと、相談しませんか?

あなたが、本当に心の底から恥ずかしがらずに「助けて」を同僚や部下に伝えたときに、頼られた相手は、できる範囲でなんとか応えたいと思いますよ。信じてください。

我慢の限界までいくと、肉体と精神が病み、最後は自殺します。私の親戚にも、上司のパワハラで最後は癌になり、職場復帰できずに、先の見えない介護生活がはじまりました。生き地獄です。後悔していました。「勇気をもって会社を辞めればよかったと」

生活や給与、ポジションにしがみつくことで、かえってすべてを失うもの方が多かったと。生気を失った状態です。ご家族の悲痛の叫びが忘れられません。

相談することは恥ずかしいことではない

相談することは、恥ずかしいことではありません。その抱えている悩みに共感し、伴走してくれる、人には言えない悩みを吐露できる人がいる人生は最強です。会社の人間関係は、所詮、究極的には他人の集まりです。放置しておくと、内心、無関心です。

自分らしい人生を生きるためには、「相談する力」がますます、求められてきます。

人生100年時代、リスキリング、もうこういった言葉は聞き飽きました。ヘドがでます。

これから残りの人生をもっとラクに生きるためにも、そして、AI、AGIをはじめとして世の中が進化しても、やりがいや、生きがいのある人生を送るためには、是非、「相談する勇気」を身に付けて欲しいと切に願うばかりです。

読者のみなさんは、相談窓口活用していますか?

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

最高気温が35度を超えると職場でパワハラが増える!?

 連日続く、今年の猛烈な夏の暑さは私が語るまでもありません。
ここまで毎日のよう暑さが続くとウンザリします。

今回のブログは暑いので、なるべく皆さんが疲れないように短い文章で終わらせたいと思います。決して手抜きではありませんので、予めお断りしておきます。

今日は皆さんにご紹介したい1冊の本があります。

「すごく使える心理学テクニック」 日本事業出版社から出ている心理学では有名な内藤先生のお話を一部ご紹介させて頂きます。

フロリダ国際大学のエレン・コーレンは、ミネアポリス警察の2年間の犯罪データを約3万件、調べる一方、気象情報サービスで気温を調べたそうです。その結果が驚きです。

「気温が高くなると犯罪が増える」ことが分かったのです!

また、デューク大学のリチャード・リラックは、メジャーリーグの約5万試合で、ピッチャーがデットボールを当てる回数と気温の関係を調べていたそうです。

「気温が高くなるほど、ピッチャーはデットボールを当てる確率が高くなる」ことが分かったのです!

大事なことはメンタルコントロールが上手なプロでさえも、気温が高いときにイライラしてバッターにボールをぶつけたくなるとのこと。

おまけに、気温が高い年には、戦争や内戦がなども起きやすいデータもあるようです。

エルニーニョ現象が発生している年には、ラニーニャ現象が起きた年に比べて、政治的な混乱が2倍もおきることがわかったそうです。(コロンビア大学のソロモン・シャン)出典引用 「すごく使える心理学テクニック」日本実業出版社

暑い年には、人の心は 暴力的、攻撃的になりやすいようですが、これは、職場も同じこと。

セルフコントロールもさることながら、職場の温度を快適に働けるように、28度にこだわらずに涼しくすることも、パワハラを予防する大事な対策かもしれません。

人によって暑さ、寒さの感じ方も異なるために、一律に設定することも職場によって難しいと思います。

ただ、頭の片隅に、新しいこれからのパワハラ対策の一つのキーワードに「涼」という言葉を加えてみませんか?

職場で休憩時間に、みんなでかき氷を振る舞うのも一興です。社内行事で、社内盆踊りや社内縁日、夏祭りを実際にやっている会社をみるとうらやましい限りです。

一体、これから、どこまで暑くなるのでしょうか?

是非、この夏お勧めの1冊をご紹介させていただきつつ、
新しい夏のパワハラ対策をご提案したいたいと思います。

2023年の夏に、ビックな問題が大きく回り始めた出来事との因果関係は、
私には分かりません、、、

どうぞ、みなさま、ご自愛ください。

ChatGPTにパワハラを相談してみた。相談窓口担当者は不要!?

コンプライアンスリーダーが憂うつな相談業務

今年も新しくコンプライアンス部や人事部のハラスメント相談窓口担当者に着任したり、現場のコンプライアンスリーダーや職場ごとの相談担当者に新しく任命された方も多いのではないでしょうか?

職場を覗いてみると、特に、現場の新しい相談窓口担当者からは、こんな声が聞こえてきます。

「ただでさえ業務が忙しいのに、やっていられない」

「相談って何をすればいいんだよ」

「ウチのコンプライアンス部門なんか、詳しいこと何も教えてくれないよ」

「毎日、部下の話は聞いているよ。今さらね~」

「そんな役職あったんだ、へー、まるで火元責任者じゃないんだから」

毎年、どこの現場からも聞こえてくる不満の声、ベスト5です。

最近では、リモート環境下での相談業務も実際に増えていますが、

リモートでの面談は正直難易度が高いのです。

対面での相談業務も初めての状態で、いきなり「リモート」面談をさせる会社も会社ですが・・・

相談業務の機能や役割、相談業務のフロー図はあっても、肝心要の「相談業務の方法の具体的なスキル」に関するマニュアルを用意している会社は極めて少数派です。

これでは異動がある度に個人技で乗り越えているようでは、正直、相談者からすればたまったものではありません。

「勇気を振り絞って相談窓口に電話をかけたら、声を聞いた瞬間、前の部署の上司だったので、すぐに電話を切った」

こんなことも実話もあるのです。

外部の相談窓口を利用したくなったり、そもそも社内には相談する気が失せる思いも理解できます。

Chat GPTにパワハラを相談してみた。

ところで、皆さんもご存知の最近、変化が見逃せない「Chat GPT」

試しに Chat GPTを使って、パワハラの相談をしてみました。ご覧ください。

(相談)

上司から「お前は仕事がいつも遅い!」と繰り返しアタマを叩かれました。パワハラですよね。どうしたらよいですか?

(Chat GPT 回答)

まず、あなたがパワハラに遭っていると感じていることは非常に辛い状況であることを理解しています。パワハラは、職場環境を悪化させ、精神的および肉体的な健康に影響を与える可能性があります。そんな状況下で、あなたが不安や悩みを抱えていることは自然なことです。

そのため、まずは自分の感情や状況を正確に把握しましょう。どのような状況で上司から叱責を受けているのか、その言動や頻度、あなたが感じているストレスの程度を詳細に記録しておくことが重要です。これは、後で自分の気持ちを整理するためや証拠として利用する際に役立ちます。

次に、信頼できる人に相談してみることをお勧めします。その人は同僚、友人、家族など誰でも構いません。彼らは、あなたの気持ちを理解し、サポートを提供してくれるかもしれません。また、彼らから客観的な意見を聞くことで、あなたの状況をより明確に把握することができるでしょう。

会社内での対処方法としては、人事や上層部に相談することも検討してみてください。また、労働組合がある場合は、そちらにも相談してみることができます。彼らは、あなたの状況を理解し、適切な対応策を提案してくれることが期待できます。

外部の相談窓口としては、労働基準監督署に相談することができます。彼らは労働者の権利を保護するための公的機関であり、パワハラに関する相談や苦情を受け付けています。

最後に、自分の感情や身体のケアを忘れずに行ってください。ストレスを解消する方法やリラクセーション方法を見つけることで、精神的な負担を軽減することができます。

あなたが適切な対処法を見つけて、この困難な状況を乗り越えられることを願っています。パワハラは厄介な問題ですが、適切なサポートを受けることで、状況の改善や解決が期待できます。カウンセリングや心理療法も、精神的なサポートとして役立つことがあります。

自分自身の感情や状況を大切にし、適切なアクションを取ることで、より良い職場環境を築くことができるでしょう。あなたの心身の健康と幸せを第一に考えて、どのような対応が最善か慎重に判断してください。必要であれば、プロフェッショナルの助けを求めることも遠慮しないでください。

相談担当者、これから社内に必要?

いかがでしょうか? ざっと30秒程度。はっきりと申し上げて、

これを試したときに「もう、異動したての社内の素人相談窓口担当者、もういらなくない?」

と思うほど、的確な回答が得られると思いませんか?

恐らく、新任の相談窓口担当者でも1分以内でここまで即答できないと思います。

新任の相談窓口担当者の回答マニュアル、初級レベルであれば使えると直観的に思いました。

もちろん、お読みになってお分かりの通り、言葉遣いや言い回し、アドバイスの観点など、悩んでいる人の気持ちに寄り添う共感度や姿勢などは、対人間の方が高いことは当然ですが、回答を読んでいるうちに、本当に相談にのってもらっている気分になるから不思議です。さらに質問しました。

(相談)

連休明けに仕事に力が入りません。 どうしたらよいでしょうか?

(Chat GPT 回答)

あなたの気持ちはとてもよく理解できます。連休明けで仕事に力が入らないと感じるのは、ごく自然なことです。日常のルーチンから離れて休息を取ると、再び仕事モードに切り替えるのは困難なことがあります。では、どうしたらよいでしょうか?

まず、自分自身をあまり厳しくせず、自分の体と心に耳を傾けてみてください。疲労が残っているなら、しっかり休息を取ることが大切です。寝不足は気力や集中力を奪い、仕事の効率を下げます。

次に、最初の数日間は、ゆっくりと仕事に戻ることを許可してみてください。全てを一度にやろうとせず、大切なタスクを優先して、順番にこなしていくことが有効です。

また、自分自身の体調や気分に合わせて、仕事の休憩時間をうまく利用することも重要です。例えば、短い散歩をしたり、深呼吸をしたりすることで、エネルギーをリフレッシュできます。

仕事に対するポジティブな視点を持つことも大切です。それは目標設定や達成したことに対する感謝を思い出すことで、モチベーションを保つのに役立ちます。

そして最後に、これらの方法があまり助けにならない場合、あるいはストレスや不安、うつ病の兆候が見られる場合は、プロのカウンセラーに相談することをお勧めします。あなたが抱えている問題に対して、より具体的な支援を提供することができます。

あなたの気持ちは大切です。自分の感情を無視せず、自分自身に優しく、そして何より自分自身のペースを尊重してください

もちろん、対応が難しいケースもあります。もう1題質問してみます。

(相談)

再雇用の者です。部下からパソコンが使えないからバカだと毎日言われ落ち込んでいます。死にたい気分です。どうしたらよいでしょうか?

(Chat GPT 回答)

まず、そのような気持ちを抱えていることに対して、大変ご苦労さまでございます。あなたの状況はとても困難で辛いものであることが理解できます。しかし、自分を責めることなく、前向きな方法で対処していきましょう。

  1. まず、あなたの気持ちを大切にしてください。自分の感情を無視せず、受け入れてあげましょう。そして、信頼できる友人や家族に話すことで、気持ちが楽になるかもしれません。
  1. 部下とのコミュニケーションを改善しましょう。パソコンが使えないということで嫌な言葉を投げかけられることがあるかもしれませんが、そのような状況に対して、冷静かつ適切に対応する方法を見つけてください。相手の気持ちも理解しようとすることが大切です。
  1. パソコンスキルの向上を目指して、自分に自信を持ちましょう。インターネットや書籍、講習会などを活用して、スキルアップを図ることができます。自分の強みを見つけ、それを活かすことで、周囲との関係も改善されることがあります。
  1. 必要であれば、専門家の助けを求めることも検討しましょう。カウンセラーや心理療法士など、専門家の意見を聞くことで、自分自身をより深く理解し、適切な対処法を見つけることができます。
  1. 自分を大切にしましょう。自分の健康や幸せを第一に考え、ストレスや心配事がある場合は、適切な方法でリラックスしたり、問題解決に取り組んだりしましょう。

あなたは決して一人ではありません。周囲のサポートや自分自身の努力によって、状況を改善することができるでしょう。どうか無理をせず、自分を大切にしてください。

特に「死にたい」という気持ちの状況に対しては、非常に回答が難しい側面も否めません。

また、回答に対しては皆さん、それぞれ意見があることは前提とした上でも、素人がものの1分かからない時間で、ここまでは寄り添える文章がつくれないとうい厳然とした事実は、素直に受け入れる余地があるのではないでしょうか?

特に初心者が、このような深刻な相談であっても
「大変ご苦労さまでございます。あなたの状況はとても困難で辛いものであることが理解できます。
しかし、自分を責めることなく、前向きな方法で対処していきましょう。」

年上であることを配慮したコトバ使いで、丁寧に困難な気持ちに寄り添っているのです。

これには驚きを禁じ得ません。

さらに「自分を大切にしましょう」

これは、このような相談を受けたら、職場の相談担当者であれば、焦って冷静になれず、

「自分を大切にしましょう」といった言葉をかける余裕もないと思います。

特にメールでの相談業務であれば、完璧ではありませんので、ドラフト作成には十分活用できます。

これをもとに、文章を整えていくことでかなり精度の高い相談メールが作れます。

アップデートが求められる相談担当者

大事なことは、ハラスメント相談業務も、正直、入門レベルであれば、十分AIでカバーもできるレベルになったことをChat-GPTは証明しています。

今後、私たちは相談業務の質をアップデートしていくために、AIを本格的に相談業務にどのように活かしていくか、人事部やコンプライアンス担当者の皆さんも、今後の動向を注目されてはいかがでしょうか。

それでも最後は人間の心の温かさ

私自身は、相談業務は、最後は人間の力が最強と考える立場なのですが、うまく共存できるあり方を模索することで、相談担当者が活用できるよいツールになるような予感がしてなりません。

将来は、何が起こるか予測不可能です。

例えば、あなたの職場から相談窓口担当者の役割がなくなる日がやってくるかもしれませんし、

AIと共存した新しい相談窓口業務のあり方が確立するかもしれません。

あなたのコンプライアンス室では、どんな未来を描きますか?

藤山晴久

50代以上要注意!?新入社員が「#パワハラ」と勘違する!? 「上司の口癖」あるある

謎のビジネス用語に苦しむ新入社員の実態

 今年も新入社員の皆さんは、4月、5月と緊張の新入社員研修の期間が続き、やっと緊張の研修期間が終わったと思いきや、配属先での仕事が本格的に始まります。

 地元から離れたり、実家から出て慣れない一人暮らしを始めたばかりで新しい生活スタイルとなる人も多いでしょう。夜遅くまで働いても、朝は時間通りに出勤しなければならない環境の変化に慣れず、意外と緊張で寝付けなかったり、早く起きたりする方もいるようです。

 現場に配属されれば、そこには、パソコンと必死に睨めっこしている一見怖い相の上司や、忙しく動き回わる先輩の姿。お客様からの電話が鳴り響き、会議や来客やリモート会議と忙しく働いている様子が否が応でも待ちうけています。

先輩や上司もそこは、新入社員の皆さんには手取り足取り教えてくれる!?のでしょうが、大きな声では言えませんが、新入社員の皆さんが先輩や上司には言えない、ある1年目の壁?とも言うべき戸惑いがあるのです。

それは、謎のベテラン社会人の普段使い(特に50代以上)のビジネス用語なのです。

その用語、新入社員に説明できますか?

このブログを読んでいる皆さん、すべて解答できますよね!?

さあ、一例をご紹介しましょう。

「あいみつ」

「えいやー」

「けたち」

「五十日」

「朝一、午後一」

「シャンシャン」

「蕎麦屋の出前」

「泣いてもらう」

「ニギリ」

「なるはや」

「直行直帰」

「サマる」

「ボールをもつ」

「前株後株」

「架電の件」

「いってこい」

皆さん、いかがでしたでしょうか。

まだまだ、挙げたらキリがありませんので、ここまでにしておきます。

毎年、講義の際に、新入社員研修でこれらの言葉を、アイスブレイク的に知ってもらうのですが、現場に突然放り込まれた新入社員が、会社によってはOJTもへったくりもない職場が意外にも多く、突然、取引先などから、上述の言葉を言われ、意味がさっぱり分からずに蒼ざめている新人が実際にいるのです。

新入社員はその用語をどう捉えているのか?

 4月の時点でこれらの言葉の意味を新入社員に講義中に聞いてみると、こんな珍解答が返ってきます。以下の回答は、過去の実際の新人研修でのコメントです。大変恐れ入りますが、ギャクではありません。むしろ、ほほ笑ましく思いながらも、捉え方の素晴らしい感性に着眼して、むしろ褒めたたえていただければ幸いです。

あいみつ

「あんみつ?」 ※ギャクではありません。真顔でした。

えいやー

「頑張ろう!」の掛け声的なやつ?

五十日

「五十日間の仕事の〆切のこと」

蕎麦屋の出前

「上司のランチの注文方法」

泣いてもらう

「怖いんだけど。『パワハラ!?』」

ニギリ 

「寿司屋にいったときの上ニギリみたいな感じ?」

いってこい

「上司から部下への「いってらっしゃい」の意味?」

いかがでしょうか。笑っている場合ではありません。新人の実態です。

 これが突然の配属で仮に取引先から電話で言われたものならば、ただでさえ電話対応は苦手な方が多い世代ですから、もしも、電話でこのような言葉を相手から使われた瞬間フリーズするのは目に見えています。

「こんなコトバ今どき使わないよ」こういったご指摘を受けますが、いやいや、地方に行けばまだまだありますし、50代、60代、70代の上司や、お客様などは立派な普段使いです。日本は意外に広いのです。色々な職場環境、取引先や人があり、地域によっては、これに方言が加わります。

一方、前株、後株もなぜこの「株式会社」の位置を間違えてはいけないのかを説明できても、なぜ、会社によって前後が異なるのかといった理由すら知らない先輩が沢山いることも事実です(笑)これもどうでもいいことですが。。。

「泣いてもらう」が「パワハラ」ならば、

「キミね、『五十日』もわかんないの?」

と鼻で笑ったら、それこそ新入社員からあなたに

「パワハラ」です!

と言ってくるかもしれません。

倍返しされない!?丁寧な対話をしよう

 昔から使われてきた言葉の面白さ、暖かさも個人的には好きですが、分からないから教えない、分からないから小バカにするといった態度は避けなければなりません。普段使いの先輩からすれば、一見しょーもないようなことでも、新人は実は苦しんでいるという実態を知っておくことで、少しは円滑な!?コミュニケーションもとれるかもしれません。

 反対に言えば、若手の普段使いのコトバを知らないことで皆さんが、仮に10年、20年後、いつの日か定年を迎え再雇用され、かつての部下だった新入社員が上司になる日がくるかもしれません。

「部長、そんなことも知らないんですか?」

と真顔で言われ、あなたに倍返しされる日がくるかもしれません。(これも、若手上司から、年上部下へのパワハラですから、あってはならない言動です)

今年の新入社員が早く職場に馴染んで、職場で活躍してくださることを切に期待しております。
 余計なことかもしれませんが、毎年、新入社員と出会うたびに皆さんが若く見えるのは、気のせいでも、老眼のせいでもなく、単に自分が確実に年を重ねていることを毎年、否が応でも実感させられるのです。

そんな私は、今日も「直行直帰」。

藤山 晴久

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

「青春は密」と語った高校野球の監督から学ぶ。パワハラにならない部下指導のヒント

「監督の指示は生徒を思考停止にさせる!?」

嬉しい。メチャクチャ嬉しい。仙台育英高校が今年、夏の甲子園で優勝した。高校まで育ったふるさと仙台。(しかも自宅は育英高校から近かった)上京後も、毎年の全国高校野球大会だけは見続けていました。
「東北勢は、冬の練習量が圧倒的に西日本に比べて少ないから弱いんだ」
この単純に「練習量」の問題だけが、優勝できない理由のように結論づける論調に長年、長年、疑問を感じていました。

今の中学生のみなさんが聞いたらショックを受けるかもしれませんが、30年前当時の公立中学の部活動では「今日は校庭100週だ!」「素振り1000回!」と突然先輩に指示されるのです。
「何のために?」
その目的を尋ねるたびに先輩から殴られ、「逆らうな」と暴言も吐かれた記憶がよみがえります。
今、冷静に考えると先輩たちも論理的に説明することが出来ない、いや、監督から言われたことだけ後輩にやらせる「指示待ち」に育てられた、ある意味可哀そうな側面もあったのでしょう。すべて監督の責任です。

「いいからやれ」
「そういうものだ」
「伝統的にこうなんだ」
理由と目的を語らない先輩と監督。
あれ? どこかの上司のセリフに似ているような、、、

YouTubeと上司。学びが多いのはどっち!?

優勝後、スポーツニッポン新聞社のスポニチアネックスWEBに非常に興味深いインタビュー記事が掲載されており、そこには日本の管理職も学びたいマネジメントのヒントが満載でしたので、ご紹介したいと思います。仙台育英高校の監督の須江さんは、記事で次のように仰っていました。

『昔は、監督やコーチの助言や経験則、技術指導、アドバイスでした。今は、場合により監督よりも優秀な指導力のある人間はたくさんいて、その情報を得ることも非常に容易になっています。SNSを開けばプロ野球選手が感覚として思っていたことを言語化していたり、有名選手の練習法も調べることが可能になりました』

そうなんです。部下指導の方法や、コミュニケーションの取り方、起業の仕方、投資などYouTubeやインスタ等々を見れば、ご存知の通り物凄い数の動画があります。国内外を問わず、世界中の自分に合った指導者や有名人の話を聞いて学ぶことでも出来ますし、あらゆるジャンルの超一流に簡単に触れることができます。ひょっとしたら、SNSで楽しみながら学び続けている部下がいる一方で、アップデートしない昔のやり方を貫き通す上司の影響力が下がっていく時代は間違いなくそこまできているのでしょう。

「YouTube?インスタ?そんなもの知らないし、見ないよ」

いまだにこんなベテラン社員や、上司、新しいことに挑戦しない上司、現実が分かっていない実態を見るにつけ、大袈裟かもしれませんが、彼らが知らぬ間に、今の中学生、高校生が会社をリードする頃には、もっと世の中の部下指導の在り方も様変わりしているはずです。

「俺の指導が古いとでも言うのか!」

さらに須江さんは、こう仰います。

 『指導者は技術指導を含めて絶対的な存在でしたが、今は違うと思います。監督の仕事は“交通整理”をすること。彼らの思考の交通整理をしないといけない。だから千賀投手になりたいと言っている子が、全く違うメカニズムとか、体の使い方をしているケースがあるので“どこを目指してどんな練習をしているのか?”と聞いてあげる。その上で、だったらこの人に教わった方がいいんじゃないか、こういうトレーナーさんに助言をもらった方がいいのでは、のように話し合いますね』

 自分のやり方が「絶対」と思い込む上司は意外といまだに多い印象です。我を張って自分のやり方をおしつけたり、根拠や目的なき根性論をいまだに美化したり、行き過ぎた指導がパワハラになる可能性が高いのですが、昭和の指導をいまだに愛しく思う上司は、自分の指導法を金科玉条として信じて疑いません。

 また、須江さんは、自分が全部を教えるのではなく、個々の相手の個性を見て、指導する人を変えたりと、サポート役にまわり、助言をする役割に徹しています。「俺が、俺が」のでしゃばるタイプの上司と全く異なる点です。なぜそのかかわり方が大事なのか?これからのみなさんの会社に入社してくる若手には、自分の価値観や信念に基づく指導だけを部下に押し付けても、効果が少ないだけなく、どれだけ採用に金額を投資しても、さっさと辞めていくリスクを知って欲しいものです。

優しさは、想像力 -怒る指導の終焉

 巷で「アンガーマネジメント」が流行るように、怒りの感情を部下指導にも持ち込むことのリスクなどは色々な方が解説されていますので、ここであえて触れませんが、怒って叱ることについて

気になる須江さんの言葉がありましたので、シェアさせてください。

須江さんは、こう仰っています。

 『僕も叱る時はありますが、選手のモチベーションを上げる存在ではないといけません。時代が求めている監督の役割は変わりました。』

怒って叱ることに快感を覚えている管理職がいます。従業員が沢山いる場面で、部下に大声で叱るのです。これでは、部下のモチベーションを上げるのではなく、怒っている上司の脳が快楽を伴い、上司のモチベーションを上げる!?だけの単なる自己満足であり、全く意味と効果がありませんよね。

また、須江さんは、次のように述べています。

 『同じことを言っても誰が言うか、いつ言うか、その聞く相手がどんな精神状態か、によって効果も変わります。話を聞いてもらうには相手の心が穏やかではないといけません。優しさは想像力ということを選手には常に話しています』

これは本当に生徒の方を一人一人よくみていないと気づくことができませんし、相手の状態を常に観察することの重要性を感じます。これは、部下との関係にも当てはまると私は思います。

「優しさは、想像力」 胸が熱くなります。

あなたの部下指導、「優しさと想像力」がありますか?

是非、記事を読んでみてください。
正直、解説したりないのですが、今回はショート版ということで、ご容赦ください。みなさん、是非、下記のリンクから記事をご一読ください。
『  』 括弧書き 須江監督のインタビュー記事
引用元:スポーツニッポン新聞社 スポニチアネックスWEB 2022年8月26日
スポーツニッポン新聞社様に許諾を得ております。

記事リンク先
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2022/08/26/kiji/20220826s00001002152000c.html

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2022/08/26/kiji/20220826s00001002152000c.html

リモート会議顔出し事情 顔出し強要はパワハラか? YouTubeをつくってみた。

リモート会議 顔出し事情

みなさんは、社内の会議や取引先とのMTGなど、社内の打合せや商談がオンラインの場合、画面に顔を出しますか?出しませんか?本当に会社、部署によって全く状況が異なりますね。皆さんもこの数年間、色々な経験をなさったのではないでしょうか?

初めてのお客様とのリモート会議の出来事です。お客様側は終始画面オフ。声しかわからず、最後の最後まで顔が分からないまま仕事が終わることをよく経験しました。当初は、暗闇に向かって相手と話すことに慣れず戸惑いを隠せませんでしたが、最近はすっかり慣れている自分がいます。

バーチャル背景がこれほどまで浸透したにもかかわらず、今もこのような状況が見受けられます。恐らく社内の会議は、顔なじみの人ですからあえて顔を出す必要もないので、その感覚をそのまま社外の取引先にも当てはめ、このように顔出しをしない会社も意外に沢山あります。

部下に顔を出しを強制したら通報された!

一方で、とある会社では、どうしても画面がオフだと、部長や課長にプレゼンをリモートで行う場合「本当に理解しているのかいないのか」あいづちもうなづきも普段からしない、仏頂面の部長が、さらに暗いカメラで分からなくなるこの状態を「もういい加減にやめよう!」と「リモート会議での顔出し運動」を現在進行形で行っている会社もあります。研修など大勢の人が参加する通信環境の負荷がかかる場面では画面を消すことも理解できるのですが、たった、4名の社内の会議で顔が見えない会議を駆逐したいと奮闘している会社もあります。

1on1ですら画面オフで行う会社もありますが、驚くべきは、部下が画面をオフにしていた部下に顔出しを命じたら、翌日、「顔出しを強制することはパワハラだ!」内部通報が入った会社もありました。

部長の言い分です。

「会社の会議で画面をオフにするということは、プロレスに例えるならば、タイガーマスクの「あの覆面」をつけて全員が会議に参加することと同じだ!匿名座談会か!意味が分からない」とのこと。

一方、部下側にも言い分があります。

「正直、顔を出さなくても、仕事に何ら支障がない。顔がみたいなど、そんな情緒的なことを言っているからいつまでも出世ができないんです」

価値観の対立をどう乗り越える!?

リモート会議の顔出しにルールを決めない限り、議論は平行線で終わり今後も揉めるのでしょう。それぞれに、顔を出したくない価値観と事情、顔を出すべきだという価値観が対立しているこの状況、みなさんはどのようにお考えですか?

笑っているくらいならいいのですが、いま、困っているのはこの対立が本気で、本気で「パワハラ問題」に発展している状況に憂慮しているのです。大事な点は、他社の人が「オタクの会社はオカシイ」とは言えません。だからこそ、自分たちのリモートでの職場の仕事のやり方を考える、はっきりさせる必要があるのかもしれません。世の中にはこれだけリモート会議の顔出し問題で、驚くくらい価値観が露呈するのかと考えさせられます。

あなたの会社でこんな些細なことでパワハラ問題が起きないように、もしも、あなただったら、どのような手を打ちますか?

動画つくりました。是非、あなたのご意見を教えてください。

「リモート会議の顔出しは、パワハラ!?」 

インプレッション・ラーニング YouTubeチャンネル

アルバイトは見た。 上司のいぬまにパワハラ?  アルバイトの皆さんに若手の正社員からのパワハラを聞いてみた。

若手正社員からアルバイトへのパワハラ実態調査結果

 2022年3月、全国の20代から70代のアルバイト、パートタイム労働者等、1,000人を対象にアンケート調査を行いました。現在、アルバイト、パートタイマー、派遣社員等、正社員以外の方対象15歳から69歳までの方に「あなたは、若手の正社員からパワハラを受けたことがありますか?」など、現場で、自分が働いている会社の若手社員から、パートタイム労働者、アルバイト等の正社員以外の労働者にハラスメント行為があるかどうかについての調査結果から見えてきた、現場のパワハラの実態を赤裸々に皆さんと共有したいと思います。

 そもそも、アルバイト、パートタイム労働者は、入社後、職場のハラスメントについて、何かしらの学習機会すらないと答えた方が、全体の79.8%と約8割の方は、特段教育を受ける機会もないまま、即戦力として現場に入ります。それでも少数ですが、研修会を行う会社が6.3%、Eラーニングを学習する機会がある8.3%、資料配布7.9%と割合は低いのですが、ようやく正社員以外の方へのハラスメントを学ぶ機会が増えてきたことがみてとれました。

 パワハラ防止法が定めている条文には、「労働者」の定義には、正社員以外のパートタイム労働者、アルバイト等、雇用形態に関係なく全方位がパワハラの行為者、相手方になる可能性があるために予防法、対処法を講じることが事業主には求められています、パワハラという言葉すらなかった20年前に比べて、この1桁のパーセンテージを「教育の機会の進歩」とみるか、「何も手を付けてない企業がいまだに8割ある」とみるかですが、一方で、今からご紹介するデータから考えると、やはり残り2割の数値を高める努力は必要ではないでしょうか。

「思い出したくない」

 気になった設問をみていきましょう。
「若手の正社員から仕事の指示や指導の場面で、その言動は「ハラスメントかも」と感じたことはありますか?」の設問に対して15%の方が「ある」と回答しています。しかしながら、その8割は「上司には相談しない」と回答しています。
どのような言動があったのか聴いてみました。

「お情けで雇っているから、別に来なくても困らない」

「朝会での公開説教」

「薄毛をいじられた」

「給料の無駄」

「年齢が上なんだから、これくらいできるよな」

「婆さんはやめろ」

「社員とは選ばれしもの、という発想」

「就業規則の閲覧を求めたら、断られた」

「思い出したくない」

全体的にコトバの暴力で、かつ、威圧的な発言や、無視、過大な要求などが散見されました。明らかにハラスメントに該当することばかりです。

「思い出したくない」この言葉が全てをものがたっていると思います。

「上司や会社は、あなたが相談した際に、丁寧な応対と問題解決をしてくれましたか?」の問いに対して「はい」と「いいえ」の回答が約50%、半々と、対応にかなり差がある印象がありました。誠実に対応してくれる会社、アルバイトなどの現場の揉め事は、我関せずの会社があるという実態です。

SNSより拡散力が強い井戸端会議!?

 また、若手正社員のハラスメント言動で退職した経験があると答えた方が全体の8%(70名)また、「退職後に、職場で見聞きしたハラスメントや、自分が体験した出来事をSNSに投稿したことはありますか?」に対して、あると答えた方が1000人中、52名いました。たった7%ですが、52名とう人数は決して少なくないと思います。たとえ会社と契約をかわしても、このようなことが起こる事実を共有します。

 ある会社の出来事です。入社した大学生のアルバイトは、この有名企業で働きたくて仕方がなく、意気揚々と入社したものの、サービスを利用する立場として思い描いたイメージと、舞台裏のブラックな様子に面食らい、20代の若手リーダーの高圧的な指示の仕方と、物言いに辟易し、1週間で退職したとのこと。印象的だったことは、その若手リーダーは「自分の上司がいないときだけに限って、口調が豹変する」とつぶやいていました。

 また、ある大手メーカーの地場の雇用を担う非常に大きな工場での出来事です。60代のベテラン女性アルバイトの方が、入社後、若手のリーダーの指示が曖昧で堪忍袋の緒が切れたようで「もっと、はっきり指示をださないと困ります。若いんだから、しっかりしなさい」といった自分の子供に叱るように言ったところ、リーダーは「パートのくせにうるせー!」と言い返しました。
 怒り心頭、即、退職したそうです。優秀な方であり、アルバイトを束ねるくらいベテラン社員からも厚い信頼を得ていたのですが、工場長も謝罪、なんとか引き止めまたのですが、あとの祭り。その後、次から次へとアルバイトが退職していったことに気づき、採用募集をかけたのですが、今回ばかりは不思議と人が集まりません。
 後から聞いた話しですが、その先陣を切って辞めたアルバイトの方は、SNSではなく、地元の大型スーパーで主婦の友人などにドンドン拡散していったのです。

今回、あえてご協力いただきましたアルバイト、パートタイム労働者、契約社員の皆さんに取り上げにくい、若手の正社員からパートタイム労働者へのハラスメント問題を解決する方法のアイデアを上げて頂きました。会社側としては耳の痛いこともありますが、参考にしたい意見もありましたので、是非、共有したいと思います。

アルバイトの皆さんに解決策をきいてみた。

「告発しにくいので、単なる相談窓口ではなく、緊急相談窓口を設けて欲しい」

「若手社員を放置する上司に問題大あり」

「アルバイトパートと正社員が同じ場で一緒にハラスメント教育をして欲しい」

「もっと若手と対話する機会が欲しい、お互いを知りたい」

「打ち解けるまで時間がかかるので、コミュニケーションは大切」

「パートや派遣を軽く見ている意識がある」

「仕事中はほどよい距離感が大切。人への思いやりを忘れずに」

「それぞれの雇用条件を尊重して欲しい」

私が関心をもったことは、「アルバイト、パートと正社員が同じ場で一緒にハラスメント教育をして欲しい」どうしてもハラスメント研修を階層別に実施しがちですが、同じ現場で一緒に学び、対話をする機会を設けることの重要性を改めて「ハッ」とさせられます。「仕事中はほどよい距離感が大切。人への思いやりを忘れずに」この意見は、若手社員よりも一枚上手ですね。

壁に耳あり障子に目あり

いかがでしたでしょうか。

 壁に耳あり障子に目あり、あなたのアルバイト、パート、派遣社員は、あなたの職場をよく見ていることにお気づきになったのではないでしょうか?今回は、若手正社員のハラスメント問題を取り上げました。彼らがこれから経験を重ねていくなかで、この経験が成長の糧となりなりますように。そして、早く「労働者」である全員がハラスメントに関しての共通認識と共通言語を浸透させることが、経営者の大きな役割であることを、今回のアンケート結果から考えさせられました。

藤山晴久(ふじやま はるひさ)

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

「それでも、それでもセクハラしたい人」

アタマで分かっていても「言いたい」人たち

ESG経営、ダイバーシティとセクハラする人を一掃する追い風が強く吹いているようにも信じたいのですが、相も変わらず、特にベテラン社員の性差別的な意識がなかなか変わらない、現場のセクハラ事情について、ふと思ったことをお話します。

容姿のことに触れるのはセクハラと言われるのは研修で習って「アタマ」では分かってはいる。ある職場での出来事です。

「髪切った?キレイな髪だね」等その一言がセクハラになるリスクがあることもわかった。

でもいいたい人がいました。

ベテラン男性上司からの一言

元気!「最近、雰囲気変わったよね」ならいいんだっけ。

??「ならいいんだっけ」ってなんですか!?

自分でフォローすれば許される!?

これも同様にある方から聞いた話し。

久しぶりにリモートワークからのオフィスへ出社すると、

課長から、「2週間ぶり?今日はネイル綺麗だね~、マスクも可愛いね~」と言われ、

「今日のスカートは可愛いね、あ、でもそんなこと言ったらセクハラなんだよねー

不愉快だって思われちゃうんだよねー ごめんねー」

と高笑いしながら、その場を立ち去ったそうです。

一体、普段からこの人はどこを見ているんだろう、と

相手からすれば異常に気持ち悪い話です。

研修で容姿への発言はいけないことは習った。

言ってはいけない。でも、どうしても言いたい。

どうするか。

言った後に、自分でフォローすれば免れる、許されるだろうと

思っている新種のフォロー型セクハラ社員が出現しています。

不思議と、あちらこちらの方から同様のご相談をいただきます。

このように、手を変え、品を変え、「それでも言いたい人」がいるのです。

「そうですよねー! じゃぁ、間違っていないか、人事に行って答え合わせしておきますねー」

と返せる度胸があるならまだしも、多くの方は、何も言わずに黙っています。

「女性は、甘いものが好き」は本当か!?

こんな話もあります。

お土産を買ってきた部長さんが、

「女性だからさぁ、甘いのが好きだと思ってね、有名な栗羊羹を買ってきたよ」

「ありがとうございます。嬉しいです」

一見、普通の会話ですが、違和感を覚えます。

この話を教えてくれた方曰く、「私は甘いものより、芋焼酎なんだよ」

男性でも甘いもの好きは沢山います。

女性だから、甘いものが好き、このストレオタイプな発言も減らない一例です。

「男性だから〇〇、女性だから〇〇」発言はカタチを変えて、

様々な会話の場面でよく現れます。

昭和に沢山生息していた「君が男だったらな」という言葉で、

女性を褒める男性上司を思い出します。

「左手ききの気持ち、分かりますか?」

見方を変えるために、少し話題を変えましょう。

「ヒミツのひだりききクラブ」(文響社)の著者、キリ―ロバ・ナージャさん

の本は、この「性差」を考える上で非常に示唆に富む絵本なのです。

書籍から少しご紹介しながらお伝えします。

世界中にはひだりききの人がいます。

「あ、左ききなんだ」何度も言われたことがある人もいるでしょう。

言い返すのも面倒なくらい。でも、自分がなぜ左ききで生まれてきたのか、

なぜ、それが話のネタになるのか?そんなに特殊なことなのか?

私自身も左ききですが、何百回と言われたこの言葉。

小学生の頃、親に強制的に右利きぎにしようと鉛筆を持たされて、反発して

鉛筆を投げつけた、怒りの気持ちを今でも鮮明に記憶しています。

この本では、左利きはレアな存在なのかもしれないけれど、損もしない。

歴代の左利きは、右利きの世界の中で、自分らしいやり方であらゆる分野

で活躍してきました。例えば、宇宙飛行士の野口聡一さん、F1のアイルトン

・セナ、レディガガ、ヘレンケラー、その他有名な左利きが著書では紹介されています。

そして、この本の最後には、右利きの人へのメッセージがあります。

少しだけ引用します。

——————————————————–

その子は、これからもずっと左利き。

でも、右利きになりたいとは言いださないはずだ。

だから「キミのそんなところも好きだよ」って伝えて欲しい。

変わり者と言われて、寂しくなったとき。

左利きだから、何か自信をなくしたとき。

あなたの言葉がその子を元気づけてくれる。

なかよくしてね。

それがみんなにできること。

———————————————————

右利き、左利きは、多様性の問題を考える際に、

置き換えて考えたら、すべて同じことが言えると思います。

是非、利き手の問題と、「男性だから○○」「女性だから○○」

の場面と置き換えて読んでみてください。

「男は黙って座っていればいいから!?」

また、2022年のフォーブス誌4月号でも著者は、とてもユニーク

なことを話していました。

オフィスでのジェンダーバイアスを理解するために

「1日男女比入れ替え会議」私はときどき、女性ひとりだけの会議に

居合わせる。すると、つい女子代表という見方をされることが多い。

では逆に、女性のなかに男性ひとりという打ち合わせの日をつくってみたら

どうだろうか?

「男性ってこういうの、好きだよね?」「男子的にはどうなの?」

「男子要員として、ただ座っていればいいから」

と接してこられたら、男性が、日頃発する言葉や態度を見直す機会

になるかもしれないと述べていました。

出典「2022年フォーブス誌 引用」

一番はじめにご紹介した、どうしても「言いたい男性たち」には、

耐えられないことでしょう。

でも、本気で、あなたの職場にダイバーシティを浸透させたいなら、

本気で、あなたの職場からセクハラをなくしたいなら、

この無意識な発言をベテラン社員の言動から駆逐をするところから

始めないと、変わらない。

小さな性差別に気づかないベテラン社員の思考を変えないと、

組織にダイバーシティは浸透しない。

きっと上司は「そんなつもりはなかった」というでしょう。

きっと上司は「悪気はなかった」というでしょう。

何度も言います。

小さな言葉で、笑顔の裏で傷ついている人がいることを。

些細な言動で、笑顔の裏で我慢している人がいることを。

これは、左利きと言われて、悲しい気持ちになっている人と同じだと

私は思います。

どんなときも、同喜同悲の気持ちで寄り添える人が職場で多数派になりますように。

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

イタタ。学生の「いじめ・自殺防止ポスター」が心に刺さった。脱!マンネリ!会社のハラスメント防止啓発ポスター

そのハラスメント防止啓発ポスター、あなたの心に本当に刺さりますか?

 厚労省の調査からも、学生の自殺が依然と減らない傾向ですが、会社におけるハラスメントや組織的不正が引き金となり、命を絶つ人も決して少なくありません。
そのようなコンプライアンス上の最悪のリスクを防止するための啓発のポスターに、多くの会社は時間とお金を投資します。
各社コンプライアンス浸透の活動として、ポスターは標語を行う会社は10年前に比べて増えた印象です。
 気になるのは、色々なポスターを拝見しても、なぜ「心に刺さらないんだろう」当たり障りのないテイストのポスターを見るたびに、私はモヤモヤを感じます。

 ある日、ネットで偶然見つけ、釘付けになった作品の1枚です。ご覧ください。

 これは、NPO法人「再チャレンジ東京」いじめ・自殺防止国民運動本部が主催している、学生の皆さんが書いた学校のいじめ自殺防止のポスターです。第8回いじめ・自殺防止コンクール受賞作品です。(本部の平林代表、掲載許諾済)

職場に貼っても届けたいメッセージは同じ

皆さんがご覧になってどのように感じるか、受け止め方は様々かと思います。
大事な点は、学生の方が作成したポスターを職場に貼っても、まったく違和感がないのです。素直に、大人も見習わなければいけないなと感じます。

ハラスメント防止の最悪のリスクを未然に防ぐためのポスター。

どこまで本気で、人の心をうつものがつくれるのか?
大人も見習わなければなりません。
どうしても「忙しい」という言葉を使いがちですが、ある方がこんなセリフを言っていました。
「あなたは、『忙しい、忙しい』というが、一国の総理大臣よりも忙しいのか。
逃げるなよ」

忘れられません。

さあ、新年度を迎えます。

今年も皆さんの職場では、どんなポスターが出来上がるのか楽しみです。

NPO法人のHPには過去の、心打たれる受賞作品の数々が掲載されています。 是非、ご覧ください。あなたも、何か気付きがあるかもしれません。

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

「100日間ビスコをコンビニで買い続けたらコンビニの店員さんにどのタイミングであだながつけられるのか?」を読んで職場のコミュニケーションに活かせないかなと、ふと思ったこと。

  ご存じの方も多いかと思いますが、2020年1月に、noteで大ヒットしました記事「100日間おなじ商品を買い続けることで、コンビニ店員からあだ名をつけられるか?ビスコをめぐるあたたかで小さな物語(光文社)として書籍化されましたので、改めて読みました。

ビスコを毎日同じコンビニで買い続ける実験

 著者の着想の面白い点は、毎日同じコンビニでおなじものを買っていると「店員さんにあだ名をつけられているのではないか」と不安になりませんか? という問題提起。それを実際に実験するこの著者は覚悟が違います。詳しくは本に譲りますが、実際に自宅から通える3軒のコンビニに毎日通って「ビスコだけ」を買ってレシートをもらい続けていたのです。(ただし、出張などは除く)
 はじめは顔を覚えられたときの羞恥心や、過剰な自意識を押さえて毎日通い続けていましたが、コンビニで変わる会話が

「店員とお客さんの関係で、売買契約をかわすために必要最低限の会話」から、

「人と人とのコミュニケーション」へと少しづつ変化していったのです。

少し、お客様の変化の過程を本書から引用します。

ビスコを買い続けたら、どんな変化があったのか?

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14日目 「突然、あるコンビニの店員さんから『ビスコ、好きなんですか?』と聞いてきます」

42日目「『今日の服装はかわいいですね』と声をかけられる」

74日目「『最近きてないじゃないですか!』

96日目 

副店長「今日は私服なんですね」

著者「週末だから」

副店長「ちゃんと休めてます?」

著者「週に1回くらいかな」

副店長さんと親密度が一定のレベルに達した。

石の上にも3年、ビスコを買うの三ヵ月と著者。

116日目 「『お兄さんは1週間でビスコの人とあだ名はついています。でも心配していますよ。

毎日、ビスコばかりで栄養が偏らないのかな、おなか空かないのかな、とか』

100日目には、もうビスコを買いにこないことを告げると寂しいと店員から言われたとのこと。

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小さな幸福感が日々を豊かなものにする

お客様も店員も同じ人間です。でも機械やモノのように扱う人もいたと著者は言っていました。

著者の言葉で印象的だったのは、
「お店という場所によって引き合う私たちは連絡先も知らないおろか、名前も知りません。しかしそんな間柄だからこそ、無責任に明るく振舞うことができ、人を元気づけることができるのではないでしょうか?
  特に会話をかわさなくても、いつもの人がいつもの場にいるだけで、ささやかな喜びを感じたりするものです。そういう小さな幸福こそが日々を豊かにします」と。

職場の廊下やトイレですれ違っても、話したことがないあの人 

私たちが働く会社も、価値観も世代もの異なる他人同士が縁あって採用されて、同じ職場に集い、机を並べて同じ理念を共有して、労働契約を締結して、会社の目的を目指してチームをつくり汗水働きます。会社法の観点からみれば、会社という名のバーチャルな場に集い、何十年もそこで様々なドラマが繰り広げられるのです。

毎朝、同じ時間にエレベーターに乗り合わせる、隣の部署の名前は知らないけれど、顔だけは知っている人、違うフロアで降りる違う会社の人。ビルで働く清掃員や警備の人、食堂でご飯を盛ってくれるアルバイトの人、宅配便の人。

このように毎日すれ違うのですが、会話することはなく、コンビニに置き換えれば、名前も連絡先もお互いに知りませんが、毎日の光景と化しているのです。でもその当たり前の光景だからこそ、意外とお互いに安心できる場所にもなっているのかもしれません。

コンビニの店員とお客様も一見、客観的に見れば単なる光景に過ぎませんが、そこに、なにかがきっかけにコミュニケーションが生まれた瞬間に、当事者意識が芽生え、場が変わり、血が通う関係に変わるのです。

ある会社の研修で、毎日会社の廊下ですれ違う人、トイレでは合うけど話したことがない人を数えてもらったことがありました。結構いるんですよね。ましてや大きな会社であれば、社長の顔は入社式で一度見たきりで、知らないうちに退任していたなんてことも珍しくありません。

毎日の何気ない職場の光景に必要なこと

何気ない日常の光景に血を通わすこと、もっと、彩りを加えるために、これまで光景と化していた相手に、最初は会釈からはじめてみませんか?(ポイントはお互い気恥しいので自分から先にすること)そのうち、相手もつられて会釈するまで続けるといったことを研修でお願いしたことを思い出しました。別に、大げさな挨拶運動はしなくても構いません。初めは驚かれたり、不審がられたりするかもしれませんが、そのうち会釈や、挨拶を返してくれればしめたものです。大切なことは、最低100日続けることです。

千日回峰行(※比叡山で行われる悟りを開く天台宗の行)という発想もありますが、出来る方は千日!? 続けたら、恐らく立派な信頼関係が気づけているかもしれません。ただし、途中で相手が異動や退職をしているかもしれませんのでその点はご留意ください。

コミュニケーションは化学反応の実験の繰り返し

コミュニケーションは、大げさかもしれませんが、壮大かつ、日々のヒトと人との化学反応の実験の繰り返しなのでしょう。 例えば、指導とパワハラに悩んでいる人が、100日間、相手のいいところだけを認めフィードバックし続けたらどう認識されるか? 自分のノートに相手のいいところを100日間、書き貯めたら、どのタイミングで相手から「パワハラしない人」と認識されるのか?など、まるで夏休みの理科の宿題のように気楽に(ちなみに、私は朝顔の日記。当時は面倒だった)、みんなでやってみるのも面白いかもしれません。

ビスコの実験からお分かりにように他人でも100日かかりますから、ましてや同じ職場の同僚や、上司と部下の間で100日行ったら、恐らくですが、関係性は今よりもさらに強化するかもしれません。

注意して頂きたいのですが、あだ名をつけられることが目的ではないことを誤解しないで欲しいこと、

本当に相手が明らかにイヤそうな顔をしたり、拒否されたら、例え99日目であっても潔くスパッと途中でやめてください。あなたの意に反して、パワハラになる可能性も多いにありえます。

ビスコミュニーションしてみませんか?

リモートワークでただでさえ出勤日数が減っています。是非、出社したときくらいは、自分から声をかけることで、自分を取り巻く人との関係を改めて良いものにしていって欲しいなと思います。最近の若手の自殺の増加傾向や、中高年でさえも、リモートワークでの孤立感の高さの記事を読むたびに、このビスコのことを思い出すのです。

皆さんも、是非この本をお読みいただき、真面目に、ビスコならぬ、「ビスコミュニケーション」を初めてみませんか?

出典引用 光文社 「100日間おなじ商品を買い続けることでコンビニ店員からあだ名をつけられるか。」

ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。