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藤山 晴久 について

株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締 産業カウンセラー/ ハラスメント研修企画会議 主宰 企業研修プランナー 「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職にセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修をご提供。フツウの研修講師とは異なる「企画営業」という立場で、ハラスメントをなくすためのコツを指導している。

怒ったら上司の負け!!!これが令和の部下指導。「監督が怒ってはいけない大会がやってきた」を読んで考えた。

 今回はそろそろ、新入社員が現場にやってくる時期にぴったりな1冊の本をご紹介したいと思います。
「『監督が怒ってはいけない大会をやってきた』益子直美他著(方丈社)」
本書を通じて、大人の組織でもパワハラを招かないように怒らずに叱る方法、部下とのかかわり方について考えていきたいと思います。

はじめに、本の袖から引用させていただき、著者の「一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会」をご紹介します。


2015年1月に、福岡県宗像市で開催された「第1回 益子直美カップ 小学生バレーボール大会」をきっかけに、子供たちが「バレーが楽しい」と思ってもらいたいというメンバーの想いから「監督が怒ってはいけない」というルールを発案し「一般社団法人 監督が起こってはいけない大会」という組織が、3つの理念を掲げ、発足されました。


1 参加する子供たちが最大限に楽しむこと
2 監督(監督・コーチ・保護者)が怒らないこと
3 子供たちも監督もチャレンジすること
3つの理念をベースとして、バレーボールに限らず、今、様々なスポーツ団体から注目されています。

具体的にどのような取り組みをしているか、職場の上司にも参考になるヒントが沢山ある素晴らしい1冊です。

怒鳴る指導が止まらないコートの舞台裏


 拝読してまず驚いたいたことは、2015年の話であるとしても、バレーボールのジュニアチームの子供たちが、当時、監督に怒鳴られ、平手打ちをされ、泣きながらプレーをしているという事実。昭和の頃からいまだに変わらず、体罰がバレーボールの指導の「当たり前」ということ。これを何とか変えられないか、10年かけてこの活動が不要になる、つまり現場から怒る理不尽な指導がなくなることを真剣に著者は考えていた現実です。

ベテラン世代の「上司」と「監督」の言い分

 特に印象的な点は、監督たちの否定的な声が、50代、60代、70代の上司の言い分と非常に似ていること。

監督の声
「怒らないなら、勝てない」
「怒らないことは、指導ではない」
「子供が甘えてつけあがる」
「チームとして成立しなくなる」
「怒らないなら、勝てなくてもいいんだね」
「初めから勝利を諦めるんだな」
これが10年たってもなくならない、とのこと。


一方、上司も負けずに次のように言います。


上司の言い分
「俺は怒られてきたから、いま成功している」
「経営者で成功している人は、みな、怒られることに耐えてきた」
「怒られない奴は、成長しない。」
「一番怒られた奴が結果、出世した。だから感謝しかない」
非常に似ていますね。

「スポーツマンシップ」と「リーダーシップ」の共通項


協会の方針としては、「スポーツを楽しむこと」が第一です。
誤解があってはいけないのですが、怒ることは否定せず、怒ってもいいときは、以下の4つの場合と限定しているのです。


1 ルールやマナーを守れなかったとき
2 取り組む態度、姿勢が悪かったとき
3 いじめや悪口を言ったとき
4 危ないことをしたとき

このような、スポーツマンシップに外れた行為をしたときは、「プレーの中のミスに対する感情的な叱責だけ」を禁じているとのこと。これを仕事に置き換えると「部下の仕事のミスに対する感情的な叱責」と全く同じです。また、スポーツマンシップについて次のように定義しています。「人との接し方やふるまいに思いやりがあり、誰かの為に自ら動けるスポーツマン」。素晴らしい表現です。私も全く同感です。相手を一人の人間として尊重している考え方が根底にあると感じました。

 高校野球の全国大会で代表の選手が「スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と試合することを誓います」とお約束のフレーズがあります。
この正々とは、私なりに解釈するならば、ルールやマナーを守る、堂々とは一点の曇りなく胸を張って試合をし、真摯にそしてフェアに取り組むことと伝えています。まさに、コンプライアンスの本質そのものなのです。

あなたは、誰かのために自ら動けますか?

「誰かのために自ら動ける」私が一番気に入ったこのフレーズ。
日本の職場では、この誰か困っている人のために、自ら動ける人が多くない印象です。言葉をオブラートに包まずに言えば、他人事、つまり傍観者でいる方が面倒なことに巻き込まれずにいられるので、安心なのです。
チームで仕事することが大事と口先ではいいながら、実際は助けない。言い換え得れば、同じ「職場という名のコート」のなかで年度の目標を達成するという試合を共に戦っていても、実は、仲間がピンチでも、ミスをしそうなときに誰もフォローしない、試合が終わっても声をかけない、無視と同じです。
 このような言動は、コートのなかでも、職場のなかでも同じことが起こりえると私は断言します。ましてや、スポーツと比べたら、職場は就業規則など様々なルールもありますので、従うべきことは多く、ペナルティーの厳しさは言うまでもありません。
 スポーツマンシップを発揮することと、リーダーシップを発揮することは、その姿が誰かを励まし、勇気づけることです。チームのメンバーにいい影響力を波及させ、結果的に強いチームを作る点においては、何ら変わりません。

職場でも取り入れたい、怒っている人を自覚させる方法


この大会は、旧態依然とした指導者にはバツが悪いイベントのようです。何故ならば、普段と違う姿(怒らない自分を見せる)を子供たちや保護者に見せるために、居心地が悪いようなのですが、とてもユニークな取り組みを大会中にしています。
実際に、つい声を荒げた指導者には「バッテンマスク」を進呈することで、怒りを無自覚に指導に使っている監督に気づきを与える取り組みをしています。会社でもコンプライアンスウイークくらいは同じことをやっても面白いと思いませんか?
ユニークさを受け入れてくれるコンプライアンス部の皆さん、担当取締役の皆さん、「バッテンマスク」はパワハラ行為者の問題の根にある「無自覚」を職場の全員で考えるヒントになるのではないでしょうか?

「怒らなくても勝てる」

 本書でも指摘していますが、大事なことは「理不尽」に怒らなくても勝って強いチームを作ることが可能であると言っているにもかかわらず、「怒らない」=「勝てない」とバイアスに完全に囚われている監督が多いようです。このバイアスのなかにも監督自身も若い頃から無意識に植え付けられた監督像、つまり「監督はこうあるべき」という強い価値観が刷り込まれ、プレッシャーとなってのしかかり、ときには押しつぶされそうになるとありますが、これは、上司も同じです。
  特に上司は、偉くなるほど誰も指摘はしてくれず、利益のプレッシャーも当然にありますが、残念ですが、プレッシャーのない仕事は存在しません。経営である以上、数字の責任を負っているのです。部下育成や仕事も課題も山積みで悩みも多いのですが、以外と誰にも相談できずに人知れず一人で悩んでいる人が多いのです。

要改善な監督とパワハラ上司の共通項
-ミスの理由を聞くこと

「ボールを拾わなかった子に、『なんでいかないんだ!』と怒鳴る監督がいますが、「なんで」と言われても、その時はよくわからないものです。でも理由は絶対にあり、丁寧に聞いてあげると必ず出てきます」とあります。
職場に置き換えます。「なんで、こんな仕事しか出来ないんだ!」「なぜ、ダメなんだ」なぜなぜ分析が大好きな上司と重なって読んでいる自分がいました。子供を指導するのも、部下を指導するの根本は同じであることを改めて痛感しました。
「『なんでミスをした』と言われると『できない自分』だけが刷り込まれていく」このフレーズは、全国の日本の管理職に声を大にして伝えたい言葉です。
これ以上は、是非、ご著書を読んで頂きたく、とにかく全国の管理職に読んで欲しい、あなたの部下指導を変えるヒントが沢山詰まった至極の一冊です。

子供たちと部下を伸ばす至極の言葉


本書では、子どもたち一人一人を見ていることの大切さを伝え、
「絶対に、チャンスをあげるからね」と声をかけることの大切さを説いています。上司の皆さん、部下に、今は難しくても「絶対にいつか活躍できるチャンス」与えていますか?

今年も新入社員が入ってきました。


上司、先輩の皆さん


新入社員にどうぞ、入社早々、怒らずに、まずは、よく見て、チャンスを与えて成長させてください。マネジメントの役割は、「部下育成」です。人が育つには時間がかかります。上司の皆さんも時間がかかったのと同じです。ただし、手間暇のかけ方が、昔とは180度異なっているのです。
20年後、30年後の未来の会社のリーダーは、あなたの部下です。一緒に未来のリーダーをサポートしていきましょう。
その上司の姿を、部下は必ず見てます。

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

無自覚にもほどがある。

セクハラがとまらない

2024年になり、特にセクハラの話題が止まりません。
実際に、新型コロナウイルス感染症が落ち着いてきたことにより、会社でも飲み会が増えたことにより、セクハラ事案が増えているという声があちらこちらから聞こえてきます。さらに、直近のニュースでも以下の通りセクハラのニュースが止まりません。


「高松市消防局の職員が部下へのハラスメント行為で懲戒処分」
加害者は部下の耳や手をなめる行為をコミュニケーションの一環と主張
(2024年3月)
「沖縄県南城市、セクハラ訴えた女性の個人情報を市長がSNSに投稿」
(2024年3月)
これ以上は割愛しますが、3月も無くなりません。

そして、まだ記憶に新しい、ENEOSのグループ会社等々で3回連続の経営陣のセクハラ。当時の社長が、懇親会の席で酒に酔った状態で、女性に抱きつくといった不適切行為があったことで解任。
 コンプライアンス担当の副社長、常務も同席していても止められない。相変わらず上司にモノが言えない旧態依然とした社風が垣間見えます。新入社員の皆さん、これが「あなたの知らない組織」の世界です。

会食での飲み過ぎとセクハラを監視する会社

 再発防止策として「今後、取締役が会食時に飲酒しすぎていないか、同行者が監視するルールを新設。取締役が会食の場でハラスメントを起こした場合には、同席・同行した者も連帯責任を負う」とのこと。
このようなルールを設置しないと、セクハラをしない人が経営者になること自体が許される異常さ。社内の根回しが上手く、酒を通じた人脈づくりが得意な人が、評価される社風が薄っすら透けて見えます。本当にこれ以上、同じ被害者を出さないことを祈るばかりです。この事案の詳細は「ENEOS セクハラ」と「ググって」頂くとネットニュースに溢れていますので譲ります。

さらに上書きするように飛び込んできたニュースが岐阜県岐南町、前小島町長のハラスメント。メディアで何度も町長の顔をご覧になった方も多いかと思います。

令和6年2月27日 岐南町ハラスメント事案に関する第三者調査委員会の報告書から読める、報道ではあまり取り上げられなかった、私が個人的に気になった点、今のセクハラ防止対策で意外と見落とされがちな点を改めてお伝えしたいと思います。

前代未聞の異常なアンケート結果

  職員の半数近くがハラスメント被害を受け、「80%以上の職員が何らかのハラスメントがなされていると感じた」というアンケート結果が出ていました。
調査報告書の町長による不必要な身体接触・不快な言動の一覧をみると、99個列挙されていますが、実際には報告書にはないものも含めると、煩悩の数をはるかに超えていることは想像に難くありません。
個別具体的な行為内容は検索していただくとして、町長自身のハラスメントに対する「無自覚」、「無関心」、「無理解」は記者会見を見ても明らかでした。ハラスメントの3大トリガー「無自覚」、「無関心」、「無理解」であるベテラン管理職の加害者やその予備軍が減りません。冒頭ご紹介した3月に起きたハラスメント事案を見てもお分かりの通りです。

「私らの時代は頑張った子、あるいは良くできた子は頭をなでてもらった経緯がある。みなさんは若いから分からないと思う」

元町長小島氏のコメントが、3大トリガーすべてを体現しています。これは、いまだに日本の会社の中から聞こえてくるフレーズ
であることを添えておきます。

メディアでは取り上げられない、意見箱に投稿された組織への不満 

  調査報告書から抜粋して、具体的にどのような不満が職員から上がっていたのかを見ていきましょう。原文を掲載します。

★今回のセクハラ、ハラスメント事案について、町長はもちろんですが、上層部職員にも怒りを感じています。勇気を持って上層部職員に、セクハラの事実を突きつけてもなお、町長の言動に変化はなく、解決に至りませんでした。職場として職員を守る体制が整っていなかった事実についても追求していただきたいです。

★退庁時に町長が部長・課長等を従えて各階を廻り、まるで大名行列の様。自分よ
り早く帰った職員をチェックしているとも言っていて、それを気にして帰れない。

★町長が帰庁する時に幹部職員が連れ立って帰宅する姿は異常に感じる。

★現在の主幹級以上のほとんどは今回のセクハラについて多かれ少なかれご存知のはずです。冗談まじりに、「適当に相手をしといてくれると助かる」というような発言をしていた方もいたと聞きます。陰で、職員を退職に追いこむのなんて簡単だと複数人で話している管理職もいました。


★岐南町役場は町長の言う事が絶対みたいなところがあり誰も逆らえない。

(下線は筆者)
いかがでしょうか。

上層部への怒り、管理職への不満が散見されます。実は、問題はここにもっと目を向けるべきです。この声なき声に対して、管理職は向き合わずに逃げているのです。組織的対応がなされていない実態です。
上司は「自己防衛するように」「嫌なことは嫌といううように」とまるで他人事。誰も組織の自浄作用に期待しなくなり、精神的負担は想像に難くありません。

管理職に共有したい組織な対応の重要性

調査報告書にはさらに次のような指摘がなされています。これが今回の問題で日本全国の管理職、経営者の皆さんと共有したい点です。

『職員について 町長を除く職員についても、念のため言及する。 対応不全の結果、就業環境が害された状態が継続したこと、とりわけ本件事案を認識していた幹部職員には、ハラスメント防止に組織として取り組まなければならないという意識の持ちようがいか程であったか、また、組織の長による不祥事への対応という前例がなく法令等の整備も充分でなく複合的な要因のある事態への対応に困難を要すると現状認識したことは想像に難くないとしても、対応不全を招いたことに「リスクからの逃避」や「事なかれ主義」がなかったかについて、職責の高さを念頭に置いたうえ自己検証し、重大問題であったと重く受け止め、自戒いただきたい』

若手が働きたいと思う会社になれるか?

岐南町に限らず、表向きは「ハラスメント防止に取り組む」といいながら、経営陣が他人事の会社は少なくありません。自分の会社のなかで犯罪行為が行われているという意識が希薄なのです。
 少子高齢化、労働人口減少の問題が突きつけられている今、10年後、20年後のリーダーは間違いなく、今の20代、これから入社する学生の皆さんです。
彼ら、彼女が本当に安心して働ける、こんな魅力のある人のいる職場で働きたいと思えるような先輩、上司が多数派にならなければなりません。

岐南町の内定者の顛末

2024年4月
岐阜県岐南町の新卒の内定者2人がいずれも辞退しました。

二度とこのような不幸な出来事が起こりませんように。
この問題は、他人事ではありません。同じような組織が日本中にまだまだ沢山実在する事実から、目を背けてはいけないのです。

出たな、新種め!「。」マルハラ

ネットニュースで話題となっているマルハラ「。」
「マルハラ」とは、LINEなどのアプリを使ったビジネスコミュニケーションの際に、上司などからの返答が「。」で終わっていると、「不安」「怖い」いう若手の意見が増えているという状況のことです。
  私も研修の現場で、受講生から同様の質問も受けたことがあるのですが、
実例を交えながら、この問題について考えていきたいと思います。
この話を一旦、整理する必要がありますね。句読点の問題を不安に感じる人がいることと、不安に感じた人が、その気持ちを「ハラスメント」という言葉で相手に伝えることを、分けて考えたいと思います。

文章の句読点を不安に感じる人がいる

 そもそも、若手が句読点の打たれた文章を読んで「怖い」「圧力」と感じるのは、読み手の主観です。圧力と思うことは自由ですが、その感覚自体はハラスメントではありません。ちょっと眉唾でしたので、実際に複数の高校生、中学生にも直接聞いてみたのです。実際には、「怖い」とは思わない人も多数います。「人によるのでは?」とのこと。生の彼らの声をきくと、どうしてもメディアの情報だけを鵜呑みにすることの怖さを感じてしまいます。

 私たちは、国語の時間に句読点を習い、手紙や、メールも、ガラケー時代のショートメールも、何の疑問をもたずに句読点を打って文を書いてきました。むしろ、正しい句読点をつけないと気持ち悪い気分の人や、学校のテストだったら点数をひかれる、或は、上司にその報告書を指摘されることもあります。
「怖い」と感じる人の言い分としては、短いことばでキャッチボールするLINEのやりとりの中に、句読点は用いることはなく、反対に句読点が多用されると「怖い」と感じるのがその根拠のようです。
 つまり、句読点を用いないLINEでのコミュニケーションが前提なのです。
LINEと手紙、どの媒体に軸足を置くかによって考え方も全く異なるでしょう。単に世代によって異なる価値観の違いにすぎません。
LINEの使いかたの本は読んだことはありますが、LINEでの文章の打ち方や文章構文の本は見たことがありません。

上司も悪気はない

 LINEを使っているベテラン組が、長すぎるその文章に、子供や若手から「その文章はLINEではなくメールですと」突っ込まれたという話はよく聞きました。チャットもいまほど普及していない時代は、「文章とは、丁寧にかかないと失礼にあたる」と思ったベテランもいたでしょう。チャットというツールを知らない人からすれば、単純にメールの書き方をそのままLINEという媒体で使っているだけのことで悪気はありません。短い言葉だとかえって失礼にあたらないかと思う人もいたものです。
最近では、リモート会議でTeamsなどチャットを使う機会がこの数年で劇的に増えたので、感覚的にはその違いが理解できるベテランも増えたのではないでしょうか。

上司のメールが怖い

 研修の現場でお客様から同様の悩みをもちかけられたことがありました。その課長は、部下の新人社員から「自分が指示したメールが怖い」とういことで相談をもちかけられたとのこと。具体的に指示したメールの内容で「怖い」と指摘された文章を私も拝見したのが次の一文。

「この資料を3日後までに作ってください。お願いします。」

この文章のどこにハラスメントの要素があるのでしょうか?

本当に句読点をつけるとパワハラか?


 怖いと相手が感じることは自由ですが、怖いと感じたその気持ちを「ハラスメント」という言葉を使って表現しては、誤解を生みます。言われた上司も驚きますし、反対に職場の人間関係がギスギスします。これでは、上司も何も言えなくなってしまいますね。
 句読点をつけた文章を相手に送ることがハラスメントになるならば、日本中の文章はすべてハラスメントになりませんか? この記事もハラスメントですね。句読点を外せば、ハラスメントにならないのでしょうか?もっと読みにくくなります。まずは、これは定義にもとづく「ハラスメント」ではないことをはっきりと申し上げます。

さらに、その上司は実際に、部下にどうすれば怖くない?と聞いたそうです。

部下の驚愕の答えとは・・・

「この資料を3日後までに作ってください!お願いしますm(__)m」

これなら怖くないとのこと。
なんと、笑顔マークや!があれば、安心して仕事ができるとのこと。

 この会社は、スラックといったチャットツールは使用せず、メール一本の会社。一方でこの会社はリモート会議中、チャットでは、他の上司や先輩も、絵文字も飛び交っているとのこと。しかし、この課長は、チャットの絵文字は「遊び」であり、仕事で使うものではない、という価値観を信じて疑わず、抵抗感があるため、チャットでも絵文字などは使えないとの一転張り。最後まで並行線でした。

 私も20代のお客様から実際に、「よろしくお願いいたします!m(__)m」と普通にメールも届きますが、特に不快になったことはありません。30年前ならいざ知らず、時代が変わったなぁとほほえましく感じています。
 会社のビジネスマナーもそろそろ転換期がきているのかもしれません。そうはいっても、そんな優しいムードに流されてばかりもいられないのです。色々な場面に応じた、様々な形式の書類がありますから、句読点にいちいち振り回されているわけにはいかないのです。

違いは「間違い」ではない

提案があります。
上司もいちいち目くじらを立てずに、これまでのオフィシャルなビジネス文章は別としても、普段の何気ない会話といった場面でのLINEやチャットを使うときは、「吹き出し自体が、一つの区切り」と考えてみてはいかがでしょうか?
そうすれば、「吹き出し=句読点」と考えれば、句読点はいらないものと捉えられませんか?「そういものだ」と割り切れる!?かもしれません。

 今回のSNSを代表とするような句読点の問題、明らかにハラスメントとは言えないような世代により異なる価値観の違いの問題。この「違い」は決して「違い」であって「間違い」ではない、とういこと。

 LINEやチャットで完結するビジネスであれば問題ないでしょうが、取引先や社外の方へのメール、相手の会社の社風、TPOに応じた対応といった厳然とした事実を歪める必要はありませんので、(慶弔に関する文章など)その点はもう一度、丁寧に説明しましょう。そして、これは定義に基づく「ハラスメント」ではないことも丁寧に伝えてください。

「いいから黙ってマルつけろよ!」

 最悪のパターンは、上司が「つべこべいわず、いいからマルつけろ!」と怒ってしまうことですね。それこそパワハラになりかねません。まずは、怖いと感じる相手の気持ちを受け止めてください。今回のマルハラに関連する記事を読むたびに、個人的に気になることは、どうも、職場内の普段からのコミュニケーション不足が垣間見えるのです。

人間関係に終止符を打たないために


 マルハラは、定義に基づくハラスメントではありませんので、「ハラスメント」という言葉を使わないで、その不快な自分の想いを伝える努力をしてみましょう。こんな些細なことでも話し合える関係をつくって欲しいものです。
そして、ハラスメントを「ウザい」「やばい」「キモイ」と同じくらいライトな感覚のまま、職場で使うことは控えましょう。

「句読点」が引き金となり人間関係に「終止符」を打たないようにすることを心がける、そんな余裕が私たちに必要かもしれないですね。

しかし、この〇〇ハラ。いい加減やめて欲しいと思うのは私だけでしょうか?

藤山晴久(ふじやま はるひさ)

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。
現在、ハラスメント・コンプライアンス研修講師として登壇。

管理職の皆さん、困ったときに「助けて」と言えてますか?

相談業務は大変

 どこの企業もハラスメントの相談窓口を設置、相談担当者を育成して、「社員からの相談を聴く」一見、簡単そうに見えて、その道のプロでもなかなか難しい仕事を任されて日々、社員から寄せられる様々な相談と格闘している社員が全国にいらっしゃいます。

 一方で、現場の管理職も、ラインの責任者として、日常の業務内容に関することに限らず、職場での部下などから人間関係の悩み相談されることも多いことかと思います。大企業になると、コンプライアンスリーダー制度を設けて、コンプライアンス部門と協力して、なるべく早く現場の悩みに対応すべく、管理職がコンプライアンスリーダーを兼任して、仕方なく!?引き受けている方も少なくありません。

 相談者からの相談に対応することで、当然、その分自分の仕事の時間が減りますから、管理職といえども、日常のプレイヤーとしての仕事、マネジメントの仕事、どちらも手を抜くわけにはいきませんので、正直いくら時間があっても足りません。上司の仕事量は増えるばかりです。そのことでかえってストレスを抱えている辛さも実際に聞こえてきます。

 深刻な相談は別として、人間関係の好き嫌い、同僚同士の嫉妬、マネジメントの誤解、経験を重ねた管理職からすれば、「それくらい自分で解決してよ」と、思うような大したことないと言いたくなる悩みであっても、部下からすれば深刻です。しかし、役割上、しっかりと「傾聴」しなければならず、いつのまにか「傾聴も我慢のスキル」と誤解されるようになり、余計に我慢することが増え、比例して、これまた上司のストレスも溜まっていくのです。

なぜ、上司は相談窓口を利用しないのか?

最近、私が気になることがあります。会社では相談窓口を利用しよう!と部下に声高にPRするのは、いいのですが、なぜ肝心な管理職はPRする側になるだけで、管理職側は会社に相談しないのでしょうか?管理職の相談件数が、一般職に比べて少ない、或は、ゼロの会社もあります。

その背景に、ある特徴があります。特に、上司世代は、昔、学校や家に帰れば親から「自分ことは自分でやろう」と習って育ちました。学校や習い事、塾の先生も、今に比べれば、厳しい指導スタイル。

その価値観を疑わないまま会社に就職し、歯を食いしばって、昨日よりも明日、明日よりも明日と、苦労と我慢が自分を成長させると信じで疑わず、当時上司の(現在は80代)パワハラにも耐え、根性論で這いつくばってきた世代といえるでしょう。ある意味、80代の上司の価値観を擦り込まれてきた節はあります。

上司だってパワハラをうけている

色んな苦労を乗り越えて、成果をあげてきたからこそ管理職の立場にあることは間違いない事実であり、素晴らしいことです。しかし、その価値観で30年以上も同じ会社で、同じ風土で会社員人生を過ごすと、頑張ってもできないことや、困ったことがあっても、人に相談が出来なくなる人が、今、増えているのです。管理職だって完璧な人間ではありません。大きな声では言えませんが、部下には知られたくない苦手な仕事もあります。同僚や部下に頼ることなく、仕事の悩みを一人で抱え込むのです。ここだけは聞いて欲しいのですが、「悩み」を抱え込むのです。これは、仕事に限らず、家庭、自分、将来、病気、介護と様々です。

 部下や同僚に「助けて」と言うと、相手に迷惑をかけたり、「無能な上司」と思われたりするといった

不安にかられ、自分から言い出せないのです。上司だって、上司の上司からパワハラをうけます。役員会で怒鳴られて、精神的に追い詰められて退職を余儀なくされた部長や課長を何人も見てきました。「売上があがらないならが、いますぐ、その窓から飛び降りろ!」こんな言葉が役員会で飛び交う時代錯誤の会社がいまだにあります。

退職すれば、上司の役員は、「あいつは根性が足りない」と一蹴し、内心、敵が減ったとほくそ笑む。結局、役員自身のマネジメントの無能さを、部下の精神的な弱さにすり替えられ、「なかったこと」に置き換えられ、もみ消される。これがまだ、今でも日本で行われているのが実態です。

増える50代の自殺者数

 今、日本の特に50代の自殺者数が増えています。「助けて欲しい」この一言が言えない上司。職場では、部下の悩みは聞くとても優しい上司ですが、自分の悩みは、誰にも吐露できない上司が増えています。

もし、管理職の皆さんが、部下や同僚から助けを求められたら、仕事だから相談にはのるのかもしれませんが、一人の人間として「何か手伝えることないかな」そんな気持ちは湧き起こりませんか?

大袈裟かもしれませんが、目の前で、突然、心臓発作で苦しんでいる人がいても、あなたはその場から逃げますか? 

助けを求めても、自分の思うようにいかないこともあるでしょう。それが会社です。でも、部下にさんざん進めている相談窓口だって、ちゃんと上司である「あなた」の話を聞いてくれます。社内が恥ずかしいなら、社外でもいい。プロのカウンセラーでもいいのです。

管理職の皆さん、もう我慢するのはやめませんか? 

もっと、相談しませんか?

あなたが、本当に心の底から恥ずかしがらずに「助けて」を同僚や部下に伝えたときに、頼られた相手は、できる範囲でなんとか応えたいと思いますよ。信じてください。

我慢の限界までいくと、肉体と精神が病み、最後は自殺します。私の親戚にも、上司のパワハラで最後は癌になり、職場復帰できずに、先の見えない介護生活がはじまりました。生き地獄です。後悔していました。「勇気をもって会社を辞めればよかったと」

生活や給与、ポジションにしがみつくことで、かえってすべてを失うもの方が多かったと。生気を失った状態です。ご家族の悲痛の叫びが忘れられません。

相談することは恥ずかしいことではない

相談することは、恥ずかしいことではありません。その抱えている悩みに共感し、伴走してくれる、人には言えない悩みを吐露できる人がいる人生は最強です。会社の人間関係は、所詮、究極的には他人の集まりです。放置しておくと、内心、無関心です。

自分らしい人生を生きるためには、「相談する力」がますます、求められてきます。

人生100年時代、リスキリング、もうこういった言葉は聞き飽きました。ヘドがでます。

これから残りの人生をもっとラクに生きるためにも、そして、AI、AGIをはじめとして世の中が進化しても、やりがいや、生きがいのある人生を送るためには、是非、「相談する勇気」を身に付けて欲しいと切に願うばかりです。

読者のみなさんは、相談窓口活用していますか?

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

最高気温が35度を超えると職場でパワハラが増える!?

 連日続く、今年の猛烈な夏の暑さは私が語るまでもありません。
ここまで毎日のよう暑さが続くとウンザリします。

今回のブログは暑いので、なるべく皆さんが疲れないように短い文章で終わらせたいと思います。決して手抜きではありませんので、予めお断りしておきます。

今日は皆さんにご紹介したい1冊の本があります。

「すごく使える心理学テクニック」 日本事業出版社から出ている心理学では有名な内藤先生のお話を一部ご紹介させて頂きます。

フロリダ国際大学のエレン・コーレンは、ミネアポリス警察の2年間の犯罪データを約3万件、調べる一方、気象情報サービスで気温を調べたそうです。その結果が驚きです。

「気温が高くなると犯罪が増える」ことが分かったのです!

また、デューク大学のリチャード・リラックは、メジャーリーグの約5万試合で、ピッチャーがデットボールを当てる回数と気温の関係を調べていたそうです。

「気温が高くなるほど、ピッチャーはデットボールを当てる確率が高くなる」ことが分かったのです!

大事なことはメンタルコントロールが上手なプロでさえも、気温が高いときにイライラしてバッターにボールをぶつけたくなるとのこと。

おまけに、気温が高い年には、戦争や内戦がなども起きやすいデータもあるようです。

エルニーニョ現象が発生している年には、ラニーニャ現象が起きた年に比べて、政治的な混乱が2倍もおきることがわかったそうです。(コロンビア大学のソロモン・シャン)出典引用 「すごく使える心理学テクニック」日本実業出版社

暑い年には、人の心は 暴力的、攻撃的になりやすいようですが、これは、職場も同じこと。

セルフコントロールもさることながら、職場の温度を快適に働けるように、28度にこだわらずに涼しくすることも、パワハラを予防する大事な対策かもしれません。

人によって暑さ、寒さの感じ方も異なるために、一律に設定することも職場によって難しいと思います。

ただ、頭の片隅に、新しいこれからのパワハラ対策の一つのキーワードに「涼」という言葉を加えてみませんか?

職場で休憩時間に、みんなでかき氷を振る舞うのも一興です。社内行事で、社内盆踊りや社内縁日、夏祭りを実際にやっている会社をみるとうらやましい限りです。

一体、これから、どこまで暑くなるのでしょうか?

是非、この夏お勧めの1冊をご紹介させていただきつつ、
新しい夏のパワハラ対策をご提案したいたいと思います。

2023年の夏に、ビックな問題が大きく回り始めた出来事との因果関係は、
私には分かりません、、、

どうぞ、みなさま、ご自愛ください。

ChatGPTにパワハラを相談してみた。相談窓口担当者は不要!?

コンプライアンスリーダーが憂うつな相談業務

今年も新しくコンプライアンス部や人事部のハラスメント相談窓口担当者に着任したり、現場のコンプライアンスリーダーや職場ごとの相談担当者に新しく任命された方も多いのではないでしょうか?

職場を覗いてみると、特に、現場の新しい相談窓口担当者からは、こんな声が聞こえてきます。

「ただでさえ業務が忙しいのに、やっていられない」

「相談って何をすればいいんだよ」

「ウチのコンプライアンス部門なんか、詳しいこと何も教えてくれないよ」

「毎日、部下の話は聞いているよ。今さらね~」

「そんな役職あったんだ、へー、まるで火元責任者じゃないんだから」

毎年、どこの現場からも聞こえてくる不満の声、ベスト5です。

最近では、リモート環境下での相談業務も実際に増えていますが、

リモートでの面談は正直難易度が高いのです。

対面での相談業務も初めての状態で、いきなり「リモート」面談をさせる会社も会社ですが・・・

相談業務の機能や役割、相談業務のフロー図はあっても、肝心要の「相談業務の方法の具体的なスキル」に関するマニュアルを用意している会社は極めて少数派です。

これでは異動がある度に個人技で乗り越えているようでは、正直、相談者からすればたまったものではありません。

「勇気を振り絞って相談窓口に電話をかけたら、声を聞いた瞬間、前の部署の上司だったので、すぐに電話を切った」

こんなことも実話もあるのです。

外部の相談窓口を利用したくなったり、そもそも社内には相談する気が失せる思いも理解できます。

Chat GPTにパワハラを相談してみた。

ところで、皆さんもご存知の最近、変化が見逃せない「Chat GPT」

試しに Chat GPTを使って、パワハラの相談をしてみました。ご覧ください。

(相談)

上司から「お前は仕事がいつも遅い!」と繰り返しアタマを叩かれました。パワハラですよね。どうしたらよいですか?

(Chat GPT 回答)

まず、あなたがパワハラに遭っていると感じていることは非常に辛い状況であることを理解しています。パワハラは、職場環境を悪化させ、精神的および肉体的な健康に影響を与える可能性があります。そんな状況下で、あなたが不安や悩みを抱えていることは自然なことです。

そのため、まずは自分の感情や状況を正確に把握しましょう。どのような状況で上司から叱責を受けているのか、その言動や頻度、あなたが感じているストレスの程度を詳細に記録しておくことが重要です。これは、後で自分の気持ちを整理するためや証拠として利用する際に役立ちます。

次に、信頼できる人に相談してみることをお勧めします。その人は同僚、友人、家族など誰でも構いません。彼らは、あなたの気持ちを理解し、サポートを提供してくれるかもしれません。また、彼らから客観的な意見を聞くことで、あなたの状況をより明確に把握することができるでしょう。

会社内での対処方法としては、人事や上層部に相談することも検討してみてください。また、労働組合がある場合は、そちらにも相談してみることができます。彼らは、あなたの状況を理解し、適切な対応策を提案してくれることが期待できます。

外部の相談窓口としては、労働基準監督署に相談することができます。彼らは労働者の権利を保護するための公的機関であり、パワハラに関する相談や苦情を受け付けています。

最後に、自分の感情や身体のケアを忘れずに行ってください。ストレスを解消する方法やリラクセーション方法を見つけることで、精神的な負担を軽減することができます。

あなたが適切な対処法を見つけて、この困難な状況を乗り越えられることを願っています。パワハラは厄介な問題ですが、適切なサポートを受けることで、状況の改善や解決が期待できます。カウンセリングや心理療法も、精神的なサポートとして役立つことがあります。

自分自身の感情や状況を大切にし、適切なアクションを取ることで、より良い職場環境を築くことができるでしょう。あなたの心身の健康と幸せを第一に考えて、どのような対応が最善か慎重に判断してください。必要であれば、プロフェッショナルの助けを求めることも遠慮しないでください。

相談担当者、これから社内に必要?

いかがでしょうか? ざっと30秒程度。はっきりと申し上げて、

これを試したときに「もう、異動したての社内の素人相談窓口担当者、もういらなくない?」

と思うほど、的確な回答が得られると思いませんか?

恐らく、新任の相談窓口担当者でも1分以内でここまで即答できないと思います。

新任の相談窓口担当者の回答マニュアル、初級レベルであれば使えると直観的に思いました。

もちろん、お読みになってお分かりの通り、言葉遣いや言い回し、アドバイスの観点など、悩んでいる人の気持ちに寄り添う共感度や姿勢などは、対人間の方が高いことは当然ですが、回答を読んでいるうちに、本当に相談にのってもらっている気分になるから不思議です。さらに質問しました。

(相談)

連休明けに仕事に力が入りません。 どうしたらよいでしょうか?

(Chat GPT 回答)

あなたの気持ちはとてもよく理解できます。連休明けで仕事に力が入らないと感じるのは、ごく自然なことです。日常のルーチンから離れて休息を取ると、再び仕事モードに切り替えるのは困難なことがあります。では、どうしたらよいでしょうか?

まず、自分自身をあまり厳しくせず、自分の体と心に耳を傾けてみてください。疲労が残っているなら、しっかり休息を取ることが大切です。寝不足は気力や集中力を奪い、仕事の効率を下げます。

次に、最初の数日間は、ゆっくりと仕事に戻ることを許可してみてください。全てを一度にやろうとせず、大切なタスクを優先して、順番にこなしていくことが有効です。

また、自分自身の体調や気分に合わせて、仕事の休憩時間をうまく利用することも重要です。例えば、短い散歩をしたり、深呼吸をしたりすることで、エネルギーをリフレッシュできます。

仕事に対するポジティブな視点を持つことも大切です。それは目標設定や達成したことに対する感謝を思い出すことで、モチベーションを保つのに役立ちます。

そして最後に、これらの方法があまり助けにならない場合、あるいはストレスや不安、うつ病の兆候が見られる場合は、プロのカウンセラーに相談することをお勧めします。あなたが抱えている問題に対して、より具体的な支援を提供することができます。

あなたの気持ちは大切です。自分の感情を無視せず、自分自身に優しく、そして何より自分自身のペースを尊重してください

もちろん、対応が難しいケースもあります。もう1題質問してみます。

(相談)

再雇用の者です。部下からパソコンが使えないからバカだと毎日言われ落ち込んでいます。死にたい気分です。どうしたらよいでしょうか?

(Chat GPT 回答)

まず、そのような気持ちを抱えていることに対して、大変ご苦労さまでございます。あなたの状況はとても困難で辛いものであることが理解できます。しかし、自分を責めることなく、前向きな方法で対処していきましょう。

  1. まず、あなたの気持ちを大切にしてください。自分の感情を無視せず、受け入れてあげましょう。そして、信頼できる友人や家族に話すことで、気持ちが楽になるかもしれません。
  1. 部下とのコミュニケーションを改善しましょう。パソコンが使えないということで嫌な言葉を投げかけられることがあるかもしれませんが、そのような状況に対して、冷静かつ適切に対応する方法を見つけてください。相手の気持ちも理解しようとすることが大切です。
  1. パソコンスキルの向上を目指して、自分に自信を持ちましょう。インターネットや書籍、講習会などを活用して、スキルアップを図ることができます。自分の強みを見つけ、それを活かすことで、周囲との関係も改善されることがあります。
  1. 必要であれば、専門家の助けを求めることも検討しましょう。カウンセラーや心理療法士など、専門家の意見を聞くことで、自分自身をより深く理解し、適切な対処法を見つけることができます。
  1. 自分を大切にしましょう。自分の健康や幸せを第一に考え、ストレスや心配事がある場合は、適切な方法でリラックスしたり、問題解決に取り組んだりしましょう。

あなたは決して一人ではありません。周囲のサポートや自分自身の努力によって、状況を改善することができるでしょう。どうか無理をせず、自分を大切にしてください。

特に「死にたい」という気持ちの状況に対しては、非常に回答が難しい側面も否めません。

また、回答に対しては皆さん、それぞれ意見があることは前提とした上でも、素人がものの1分かからない時間で、ここまでは寄り添える文章がつくれないとうい厳然とした事実は、素直に受け入れる余地があるのではないでしょうか?

特に初心者が、このような深刻な相談であっても
「大変ご苦労さまでございます。あなたの状況はとても困難で辛いものであることが理解できます。
しかし、自分を責めることなく、前向きな方法で対処していきましょう。」

年上であることを配慮したコトバ使いで、丁寧に困難な気持ちに寄り添っているのです。

これには驚きを禁じ得ません。

さらに「自分を大切にしましょう」

これは、このような相談を受けたら、職場の相談担当者であれば、焦って冷静になれず、

「自分を大切にしましょう」といった言葉をかける余裕もないと思います。

特にメールでの相談業務であれば、完璧ではありませんので、ドラフト作成には十分活用できます。

これをもとに、文章を整えていくことでかなり精度の高い相談メールが作れます。

アップデートが求められる相談担当者

大事なことは、ハラスメント相談業務も、正直、入門レベルであれば、十分AIでカバーもできるレベルになったことをChat-GPTは証明しています。

今後、私たちは相談業務の質をアップデートしていくために、AIを本格的に相談業務にどのように活かしていくか、人事部やコンプライアンス担当者の皆さんも、今後の動向を注目されてはいかがでしょうか。

それでも最後は人間の心の温かさ

私自身は、相談業務は、最後は人間の力が最強と考える立場なのですが、うまく共存できるあり方を模索することで、相談担当者が活用できるよいツールになるような予感がしてなりません。

将来は、何が起こるか予測不可能です。

例えば、あなたの職場から相談窓口担当者の役割がなくなる日がやってくるかもしれませんし、

AIと共存した新しい相談窓口業務のあり方が確立するかもしれません。

あなたのコンプライアンス室では、どんな未来を描きますか?

藤山晴久

50代以上要注意!?新入社員が「#パワハラ」と勘違する!? 「上司の口癖」あるある

謎のビジネス用語に苦しむ新入社員の実態

 今年も新入社員の皆さんは、4月、5月と緊張の新入社員研修の期間が続き、やっと緊張の研修期間が終わったと思いきや、配属先での仕事が本格的に始まります。

 地元から離れたり、実家から出て慣れない一人暮らしを始めたばかりで新しい生活スタイルとなる人も多いでしょう。夜遅くまで働いても、朝は時間通りに出勤しなければならない環境の変化に慣れず、意外と緊張で寝付けなかったり、早く起きたりする方もいるようです。

 現場に配属されれば、そこには、パソコンと必死に睨めっこしている一見怖い相の上司や、忙しく動き回わる先輩の姿。お客様からの電話が鳴り響き、会議や来客やリモート会議と忙しく働いている様子が否が応でも待ちうけています。

先輩や上司もそこは、新入社員の皆さんには手取り足取り教えてくれる!?のでしょうが、大きな声では言えませんが、新入社員の皆さんが先輩や上司には言えない、ある1年目の壁?とも言うべき戸惑いがあるのです。

それは、謎のベテラン社会人の普段使い(特に50代以上)のビジネス用語なのです。

その用語、新入社員に説明できますか?

このブログを読んでいる皆さん、すべて解答できますよね!?

さあ、一例をご紹介しましょう。

「あいみつ」

「えいやー」

「けたち」

「五十日」

「朝一、午後一」

「シャンシャン」

「蕎麦屋の出前」

「泣いてもらう」

「ニギリ」

「なるはや」

「直行直帰」

「サマる」

「ボールをもつ」

「前株後株」

「架電の件」

「いってこい」

皆さん、いかがでしたでしょうか。

まだまだ、挙げたらキリがありませんので、ここまでにしておきます。

毎年、講義の際に、新入社員研修でこれらの言葉を、アイスブレイク的に知ってもらうのですが、現場に突然放り込まれた新入社員が、会社によってはOJTもへったくりもない職場が意外にも多く、突然、取引先などから、上述の言葉を言われ、意味がさっぱり分からずに蒼ざめている新人が実際にいるのです。

新入社員はその用語をどう捉えているのか?

 4月の時点でこれらの言葉の意味を新入社員に講義中に聞いてみると、こんな珍解答が返ってきます。以下の回答は、過去の実際の新人研修でのコメントです。大変恐れ入りますが、ギャクではありません。むしろ、ほほ笑ましく思いながらも、捉え方の素晴らしい感性に着眼して、むしろ褒めたたえていただければ幸いです。

あいみつ

「あんみつ?」 ※ギャクではありません。真顔でした。

えいやー

「頑張ろう!」の掛け声的なやつ?

五十日

「五十日間の仕事の〆切のこと」

蕎麦屋の出前

「上司のランチの注文方法」

泣いてもらう

「怖いんだけど。『パワハラ!?』」

ニギリ 

「寿司屋にいったときの上ニギリみたいな感じ?」

いってこい

「上司から部下への「いってらっしゃい」の意味?」

いかがでしょうか。笑っている場合ではありません。新人の実態です。

 これが突然の配属で仮に取引先から電話で言われたものならば、ただでさえ電話対応は苦手な方が多い世代ですから、もしも、電話でこのような言葉を相手から使われた瞬間フリーズするのは目に見えています。

「こんなコトバ今どき使わないよ」こういったご指摘を受けますが、いやいや、地方に行けばまだまだありますし、50代、60代、70代の上司や、お客様などは立派な普段使いです。日本は意外に広いのです。色々な職場環境、取引先や人があり、地域によっては、これに方言が加わります。

一方、前株、後株もなぜこの「株式会社」の位置を間違えてはいけないのかを説明できても、なぜ、会社によって前後が異なるのかといった理由すら知らない先輩が沢山いることも事実です(笑)これもどうでもいいことですが。。。

「泣いてもらう」が「パワハラ」ならば、

「キミね、『五十日』もわかんないの?」

と鼻で笑ったら、それこそ新入社員からあなたに

「パワハラ」です!

と言ってくるかもしれません。

倍返しされない!?丁寧な対話をしよう

 昔から使われてきた言葉の面白さ、暖かさも個人的には好きですが、分からないから教えない、分からないから小バカにするといった態度は避けなければなりません。普段使いの先輩からすれば、一見しょーもないようなことでも、新人は実は苦しんでいるという実態を知っておくことで、少しは円滑な!?コミュニケーションもとれるかもしれません。

 反対に言えば、若手の普段使いのコトバを知らないことで皆さんが、仮に10年、20年後、いつの日か定年を迎え再雇用され、かつての部下だった新入社員が上司になる日がくるかもしれません。

「部長、そんなことも知らないんですか?」

と真顔で言われ、あなたに倍返しされる日がくるかもしれません。(これも、若手上司から、年上部下へのパワハラですから、あってはならない言動です)

今年の新入社員が早く職場に馴染んで、職場で活躍してくださることを切に期待しております。
 余計なことかもしれませんが、毎年、新入社員と出会うたびに皆さんが若く見えるのは、気のせいでも、老眼のせいでもなく、単に自分が確実に年を重ねていることを毎年、否が応でも実感させられるのです。

そんな私は、今日も「直行直帰」。

藤山 晴久

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

「青春は密」と語った高校野球の監督から学ぶ。パワハラにならない部下指導のヒント

「監督の指示は生徒を思考停止にさせる!?」

嬉しい。メチャクチャ嬉しい。仙台育英高校が今年、夏の甲子園で優勝した。高校まで育ったふるさと仙台。(しかも自宅は育英高校から近かった)上京後も、毎年の全国高校野球大会だけは見続けていました。
「東北勢は、冬の練習量が圧倒的に西日本に比べて少ないから弱いんだ」
この単純に「練習量」の問題だけが、優勝できない理由のように結論づける論調に長年、長年、疑問を感じていました。

今の中学生のみなさんが聞いたらショックを受けるかもしれませんが、30年前当時の公立中学の部活動では「今日は校庭100週だ!」「素振り1000回!」と突然先輩に指示されるのです。
「何のために?」
その目的を尋ねるたびに先輩から殴られ、「逆らうな」と暴言も吐かれた記憶がよみがえります。
今、冷静に考えると先輩たちも論理的に説明することが出来ない、いや、監督から言われたことだけ後輩にやらせる「指示待ち」に育てられた、ある意味可哀そうな側面もあったのでしょう。すべて監督の責任です。

「いいからやれ」
「そういうものだ」
「伝統的にこうなんだ」
理由と目的を語らない先輩と監督。
あれ? どこかの上司のセリフに似ているような、、、

YouTubeと上司。学びが多いのはどっち!?

優勝後、スポーツニッポン新聞社のスポニチアネックスWEBに非常に興味深いインタビュー記事が掲載されており、そこには日本の管理職も学びたいマネジメントのヒントが満載でしたので、ご紹介したいと思います。仙台育英高校の監督の須江さんは、記事で次のように仰っていました。

『昔は、監督やコーチの助言や経験則、技術指導、アドバイスでした。今は、場合により監督よりも優秀な指導力のある人間はたくさんいて、その情報を得ることも非常に容易になっています。SNSを開けばプロ野球選手が感覚として思っていたことを言語化していたり、有名選手の練習法も調べることが可能になりました』

そうなんです。部下指導の方法や、コミュニケーションの取り方、起業の仕方、投資などYouTubeやインスタ等々を見れば、ご存知の通り物凄い数の動画があります。国内外を問わず、世界中の自分に合った指導者や有名人の話を聞いて学ぶことでも出来ますし、あらゆるジャンルの超一流に簡単に触れることができます。ひょっとしたら、SNSで楽しみながら学び続けている部下がいる一方で、アップデートしない昔のやり方を貫き通す上司の影響力が下がっていく時代は間違いなくそこまできているのでしょう。

「YouTube?インスタ?そんなもの知らないし、見ないよ」

いまだにこんなベテラン社員や、上司、新しいことに挑戦しない上司、現実が分かっていない実態を見るにつけ、大袈裟かもしれませんが、彼らが知らぬ間に、今の中学生、高校生が会社をリードする頃には、もっと世の中の部下指導の在り方も様変わりしているはずです。

「俺の指導が古いとでも言うのか!」

さらに須江さんは、こう仰います。

 『指導者は技術指導を含めて絶対的な存在でしたが、今は違うと思います。監督の仕事は“交通整理”をすること。彼らの思考の交通整理をしないといけない。だから千賀投手になりたいと言っている子が、全く違うメカニズムとか、体の使い方をしているケースがあるので“どこを目指してどんな練習をしているのか?”と聞いてあげる。その上で、だったらこの人に教わった方がいいんじゃないか、こういうトレーナーさんに助言をもらった方がいいのでは、のように話し合いますね』

 自分のやり方が「絶対」と思い込む上司は意外といまだに多い印象です。我を張って自分のやり方をおしつけたり、根拠や目的なき根性論をいまだに美化したり、行き過ぎた指導がパワハラになる可能性が高いのですが、昭和の指導をいまだに愛しく思う上司は、自分の指導法を金科玉条として信じて疑いません。

 また、須江さんは、自分が全部を教えるのではなく、個々の相手の個性を見て、指導する人を変えたりと、サポート役にまわり、助言をする役割に徹しています。「俺が、俺が」のでしゃばるタイプの上司と全く異なる点です。なぜそのかかわり方が大事なのか?これからのみなさんの会社に入社してくる若手には、自分の価値観や信念に基づく指導だけを部下に押し付けても、効果が少ないだけなく、どれだけ採用に金額を投資しても、さっさと辞めていくリスクを知って欲しいものです。

優しさは、想像力 -怒る指導の終焉

 巷で「アンガーマネジメント」が流行るように、怒りの感情を部下指導にも持ち込むことのリスクなどは色々な方が解説されていますので、ここであえて触れませんが、怒って叱ることについて

気になる須江さんの言葉がありましたので、シェアさせてください。

須江さんは、こう仰っています。

 『僕も叱る時はありますが、選手のモチベーションを上げる存在ではないといけません。時代が求めている監督の役割は変わりました。』

怒って叱ることに快感を覚えている管理職がいます。従業員が沢山いる場面で、部下に大声で叱るのです。これでは、部下のモチベーションを上げるのではなく、怒っている上司の脳が快楽を伴い、上司のモチベーションを上げる!?だけの単なる自己満足であり、全く意味と効果がありませんよね。

また、須江さんは、次のように述べています。

 『同じことを言っても誰が言うか、いつ言うか、その聞く相手がどんな精神状態か、によって効果も変わります。話を聞いてもらうには相手の心が穏やかではないといけません。優しさは想像力ということを選手には常に話しています』

これは本当に生徒の方を一人一人よくみていないと気づくことができませんし、相手の状態を常に観察することの重要性を感じます。これは、部下との関係にも当てはまると私は思います。

「優しさは、想像力」 胸が熱くなります。

あなたの部下指導、「優しさと想像力」がありますか?

是非、記事を読んでみてください。
正直、解説したりないのですが、今回はショート版ということで、ご容赦ください。みなさん、是非、下記のリンクから記事をご一読ください。
『  』 括弧書き 須江監督のインタビュー記事
引用元:スポーツニッポン新聞社 スポニチアネックスWEB 2022年8月26日
スポーツニッポン新聞社様に許諾を得ております。

記事リンク先
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2022/08/26/kiji/20220826s00001002152000c.html

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2022/08/26/kiji/20220826s00001002152000c.html

リモート会議顔出し事情 顔出し強要はパワハラか? YouTubeをつくってみた。

リモート会議 顔出し事情

みなさんは、社内の会議や取引先とのMTGなど、社内の打合せや商談がオンラインの場合、画面に顔を出しますか?出しませんか?本当に会社、部署によって全く状況が異なりますね。皆さんもこの数年間、色々な経験をなさったのではないでしょうか?

初めてのお客様とのリモート会議の出来事です。お客様側は終始画面オフ。声しかわからず、最後の最後まで顔が分からないまま仕事が終わることをよく経験しました。当初は、暗闇に向かって相手と話すことに慣れず戸惑いを隠せませんでしたが、最近はすっかり慣れている自分がいます。

バーチャル背景がこれほどまで浸透したにもかかわらず、今もこのような状況が見受けられます。恐らく社内の会議は、顔なじみの人ですからあえて顔を出す必要もないので、その感覚をそのまま社外の取引先にも当てはめ、このように顔出しをしない会社も意外に沢山あります。

部下に顔を出しを強制したら通報された!

一方で、とある会社では、どうしても画面がオフだと、部長や課長にプレゼンをリモートで行う場合「本当に理解しているのかいないのか」あいづちもうなづきも普段からしない、仏頂面の部長が、さらに暗いカメラで分からなくなるこの状態を「もういい加減にやめよう!」と「リモート会議での顔出し運動」を現在進行形で行っている会社もあります。研修など大勢の人が参加する通信環境の負荷がかかる場面では画面を消すことも理解できるのですが、たった、4名の社内の会議で顔が見えない会議を駆逐したいと奮闘している会社もあります。

1on1ですら画面オフで行う会社もありますが、驚くべきは、部下が画面をオフにしていた部下に顔出しを命じたら、翌日、「顔出しを強制することはパワハラだ!」内部通報が入った会社もありました。

部長の言い分です。

「会社の会議で画面をオフにするということは、プロレスに例えるならば、タイガーマスクの「あの覆面」をつけて全員が会議に参加することと同じだ!匿名座談会か!意味が分からない」とのこと。

一方、部下側にも言い分があります。

「正直、顔を出さなくても、仕事に何ら支障がない。顔がみたいなど、そんな情緒的なことを言っているからいつまでも出世ができないんです」

価値観の対立をどう乗り越える!?

リモート会議の顔出しにルールを決めない限り、議論は平行線で終わり今後も揉めるのでしょう。それぞれに、顔を出したくない価値観と事情、顔を出すべきだという価値観が対立しているこの状況、みなさんはどのようにお考えですか?

笑っているくらいならいいのですが、いま、困っているのはこの対立が本気で、本気で「パワハラ問題」に発展している状況に憂慮しているのです。大事な点は、他社の人が「オタクの会社はオカシイ」とは言えません。だからこそ、自分たちのリモートでの職場の仕事のやり方を考える、はっきりさせる必要があるのかもしれません。世の中にはこれだけリモート会議の顔出し問題で、驚くくらい価値観が露呈するのかと考えさせられます。

あなたの会社でこんな些細なことでパワハラ問題が起きないように、もしも、あなただったら、どのような手を打ちますか?

動画つくりました。是非、あなたのご意見を教えてください。

「リモート会議の顔出しは、パワハラ!?」 

インプレッション・ラーニング YouTubeチャンネル

アルバイトは見た。 上司のいぬまにパワハラ?  アルバイトの皆さんに若手の正社員からのパワハラを聞いてみた。

若手正社員からアルバイトへのパワハラ実態調査結果

 2022年3月、全国の20代から70代のアルバイト、パートタイム労働者等、1,000人を対象にアンケート調査を行いました。現在、アルバイト、パートタイマー、派遣社員等、正社員以外の方対象15歳から69歳までの方に「あなたは、若手の正社員からパワハラを受けたことがありますか?」など、現場で、自分が働いている会社の若手社員から、パートタイム労働者、アルバイト等の正社員以外の労働者にハラスメント行為があるかどうかについての調査結果から見えてきた、現場のパワハラの実態を赤裸々に皆さんと共有したいと思います。

 そもそも、アルバイト、パートタイム労働者は、入社後、職場のハラスメントについて、何かしらの学習機会すらないと答えた方が、全体の79.8%と約8割の方は、特段教育を受ける機会もないまま、即戦力として現場に入ります。それでも少数ですが、研修会を行う会社が6.3%、Eラーニングを学習する機会がある8.3%、資料配布7.9%と割合は低いのですが、ようやく正社員以外の方へのハラスメントを学ぶ機会が増えてきたことがみてとれました。

 パワハラ防止法が定めている条文には、「労働者」の定義には、正社員以外のパートタイム労働者、アルバイト等、雇用形態に関係なく全方位がパワハラの行為者、相手方になる可能性があるために予防法、対処法を講じることが事業主には求められています、パワハラという言葉すらなかった20年前に比べて、この1桁のパーセンテージを「教育の機会の進歩」とみるか、「何も手を付けてない企業がいまだに8割ある」とみるかですが、一方で、今からご紹介するデータから考えると、やはり残り2割の数値を高める努力は必要ではないでしょうか。

「思い出したくない」

 気になった設問をみていきましょう。
「若手の正社員から仕事の指示や指導の場面で、その言動は「ハラスメントかも」と感じたことはありますか?」の設問に対して15%の方が「ある」と回答しています。しかしながら、その8割は「上司には相談しない」と回答しています。
どのような言動があったのか聴いてみました。

「お情けで雇っているから、別に来なくても困らない」

「朝会での公開説教」

「薄毛をいじられた」

「給料の無駄」

「年齢が上なんだから、これくらいできるよな」

「婆さんはやめろ」

「社員とは選ばれしもの、という発想」

「就業規則の閲覧を求めたら、断られた」

「思い出したくない」

全体的にコトバの暴力で、かつ、威圧的な発言や、無視、過大な要求などが散見されました。明らかにハラスメントに該当することばかりです。

「思い出したくない」この言葉が全てをものがたっていると思います。

「上司や会社は、あなたが相談した際に、丁寧な応対と問題解決をしてくれましたか?」の問いに対して「はい」と「いいえ」の回答が約50%、半々と、対応にかなり差がある印象がありました。誠実に対応してくれる会社、アルバイトなどの現場の揉め事は、我関せずの会社があるという実態です。

SNSより拡散力が強い井戸端会議!?

 また、若手正社員のハラスメント言動で退職した経験があると答えた方が全体の8%(70名)また、「退職後に、職場で見聞きしたハラスメントや、自分が体験した出来事をSNSに投稿したことはありますか?」に対して、あると答えた方が1000人中、52名いました。たった7%ですが、52名とう人数は決して少なくないと思います。たとえ会社と契約をかわしても、このようなことが起こる事実を共有します。

 ある会社の出来事です。入社した大学生のアルバイトは、この有名企業で働きたくて仕方がなく、意気揚々と入社したものの、サービスを利用する立場として思い描いたイメージと、舞台裏のブラックな様子に面食らい、20代の若手リーダーの高圧的な指示の仕方と、物言いに辟易し、1週間で退職したとのこと。印象的だったことは、その若手リーダーは「自分の上司がいないときだけに限って、口調が豹変する」とつぶやいていました。

 また、ある大手メーカーの地場の雇用を担う非常に大きな工場での出来事です。60代のベテラン女性アルバイトの方が、入社後、若手のリーダーの指示が曖昧で堪忍袋の緒が切れたようで「もっと、はっきり指示をださないと困ります。若いんだから、しっかりしなさい」といった自分の子供に叱るように言ったところ、リーダーは「パートのくせにうるせー!」と言い返しました。
 怒り心頭、即、退職したそうです。優秀な方であり、アルバイトを束ねるくらいベテラン社員からも厚い信頼を得ていたのですが、工場長も謝罪、なんとか引き止めまたのですが、あとの祭り。その後、次から次へとアルバイトが退職していったことに気づき、採用募集をかけたのですが、今回ばかりは不思議と人が集まりません。
 後から聞いた話しですが、その先陣を切って辞めたアルバイトの方は、SNSではなく、地元の大型スーパーで主婦の友人などにドンドン拡散していったのです。

今回、あえてご協力いただきましたアルバイト、パートタイム労働者、契約社員の皆さんに取り上げにくい、若手の正社員からパートタイム労働者へのハラスメント問題を解決する方法のアイデアを上げて頂きました。会社側としては耳の痛いこともありますが、参考にしたい意見もありましたので、是非、共有したいと思います。

アルバイトの皆さんに解決策をきいてみた。

「告発しにくいので、単なる相談窓口ではなく、緊急相談窓口を設けて欲しい」

「若手社員を放置する上司に問題大あり」

「アルバイトパートと正社員が同じ場で一緒にハラスメント教育をして欲しい」

「もっと若手と対話する機会が欲しい、お互いを知りたい」

「打ち解けるまで時間がかかるので、コミュニケーションは大切」

「パートや派遣を軽く見ている意識がある」

「仕事中はほどよい距離感が大切。人への思いやりを忘れずに」

「それぞれの雇用条件を尊重して欲しい」

私が関心をもったことは、「アルバイト、パートと正社員が同じ場で一緒にハラスメント教育をして欲しい」どうしてもハラスメント研修を階層別に実施しがちですが、同じ現場で一緒に学び、対話をする機会を設けることの重要性を改めて「ハッ」とさせられます。「仕事中はほどよい距離感が大切。人への思いやりを忘れずに」この意見は、若手社員よりも一枚上手ですね。

壁に耳あり障子に目あり

いかがでしたでしょうか。

 壁に耳あり障子に目あり、あなたのアルバイト、パート、派遣社員は、あなたの職場をよく見ていることにお気づきになったのではないでしょうか?今回は、若手正社員のハラスメント問題を取り上げました。彼らがこれから経験を重ねていくなかで、この経験が成長の糧となりなりますように。そして、早く「労働者」である全員がハラスメントに関しての共通認識と共通言語を浸透させることが、経営者の大きな役割であることを、今回のアンケート結果から考えさせられました。

藤山晴久(ふじやま はるひさ)

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。