謎のビジネス用語に苦しむ新入社員の実態
今年も新入社員の皆さんは、4月、5月と緊張の新入社員研修の期間が続き、やっと緊張の研修期間が終わったと思いきや、配属先での仕事が本格的に始まります。
地元から離れたり、実家から出て慣れない一人暮らしを始めたばかりで新しい生活スタイルとなる人も多いでしょう。夜遅くまで働いても、朝は時間通りに出勤しなければならない環境の変化に慣れず、意外と緊張で寝付けなかったり、早く起きたりする方もいるようです。
現場に配属されれば、そこには、パソコンと必死に睨めっこしている一見怖い相の上司や、忙しく動き回わる先輩の姿。お客様からの電話が鳴り響き、会議や来客やリモート会議と忙しく働いている様子が否が応でも待ちうけています。
先輩や上司もそこは、新入社員の皆さんには手取り足取り教えてくれる!?のでしょうが、大きな声では言えませんが、新入社員の皆さんが先輩や上司には言えない、ある1年目の壁?とも言うべき戸惑いがあるのです。
それは、謎のベテラン社会人の普段使い(特に50代以上)のビジネス用語なのです。
その用語、新入社員に説明できますか?
このブログを読んでいる皆さん、すべて解答できますよね!?
さあ、一例をご紹介しましょう。
「あいみつ」
「えいやー」
「けたち」
「五十日」
「朝一、午後一」
「シャンシャン」
「蕎麦屋の出前」
「泣いてもらう」
「ニギリ」
「なるはや」
「直行直帰」
「サマる」
「ボールをもつ」
「前株後株」
「架電の件」
「いってこい」
皆さん、いかがでしたでしょうか。
まだまだ、挙げたらキリがありませんので、ここまでにしておきます。
毎年、講義の際に、新入社員研修でこれらの言葉を、アイスブレイク的に知ってもらうのですが、現場に突然放り込まれた新入社員が、会社によってはOJTもへったくりもない職場が意外にも多く、突然、取引先などから、上述の言葉を言われ、意味がさっぱり分からずに蒼ざめている新人が実際にいるのです。
新入社員はその用語をどう捉えているのか?
4月の時点でこれらの言葉の意味を新入社員に講義中に聞いてみると、こんな珍解答が返ってきます。以下の回答は、過去の実際の新人研修でのコメントです。大変恐れ入りますが、ギャクではありません。むしろ、ほほ笑ましく思いながらも、捉え方の素晴らしい感性に着眼して、むしろ褒めたたえていただければ幸いです。
あいみつ
「あんみつ?」 ※ギャクではありません。真顔でした。
えいやー
「頑張ろう!」の掛け声的なやつ?
五十日
「五十日間の仕事の〆切のこと」
蕎麦屋の出前
「上司のランチの注文方法」
泣いてもらう
「怖いんだけど。『パワハラ!?』」
ニギリ
「寿司屋にいったときの上ニギリみたいな感じ?」
いってこい
「上司から部下への「いってらっしゃい」の意味?」
いかがでしょうか。笑っている場合ではありません。新人の実態です。
これが突然の配属で仮に取引先から電話で言われたものならば、ただでさえ電話対応は苦手な方が多い世代ですから、もしも、電話でこのような言葉を相手から使われた瞬間フリーズするのは目に見えています。
「こんなコトバ今どき使わないよ」こういったご指摘を受けますが、いやいや、地方に行けばまだまだありますし、50代、60代、70代の上司や、お客様などは立派な普段使いです。日本は意外に広いのです。色々な職場環境、取引先や人があり、地域によっては、これに方言が加わります。
一方、前株、後株もなぜこの「株式会社」の位置を間違えてはいけないのかを説明できても、なぜ、会社によって前後が異なるのかといった理由すら知らない先輩が沢山いることも事実です(笑)これもどうでもいいことですが。。。
「泣いてもらう」が「パワハラ」ならば、
「キミね、『五十日』もわかんないの?」
と鼻で笑ったら、それこそ新入社員からあなたに
「パワハラ」です!
と言ってくるかもしれません。
倍返しされない!?丁寧な対話をしよう
昔から使われてきた言葉の面白さ、暖かさも個人的には好きですが、分からないから教えない、分からないから小バカにするといった態度は避けなければなりません。普段使いの先輩からすれば、一見しょーもないようなことでも、新人は実は苦しんでいるという実態を知っておくことで、少しは円滑な!?コミュニケーションもとれるかもしれません。
反対に言えば、若手の普段使いのコトバを知らないことで皆さんが、仮に10年、20年後、いつの日か定年を迎え再雇用され、かつての部下だった新入社員が上司になる日がくるかもしれません。
「部長、そんなことも知らないんですか?」
と真顔で言われ、あなたに倍返しされる日がくるかもしれません。(これも、若手上司から、年上部下へのパワハラですから、あってはならない言動です)
今年の新入社員が早く職場に馴染んで、職場で活躍してくださることを切に期待しております。
余計なことかもしれませんが、毎年、新入社員と出会うたびに皆さんが若く見えるのは、気のせいでも、老眼のせいでもなく、単に自分が確実に年を重ねていることを毎年、否が応でも実感させられるのです。
そんな私は、今日も「直行直帰」。
藤山 晴久
ハラスメント研修企画会議 主宰
株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。