藤山 晴久 のすべての投稿

藤山 晴久 について

株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締 産業カウンセラー/ ハラスメント研修企画会議 主宰 企業研修プランナー 「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職にセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修をご提供。フツウの研修講師とは異なる「企画営業」という立場で、ハラスメントをなくすためのコツを指導している。

すごい!課長よくできました! 3歳児のベストセラー本から学ぶ、パワハラをさせない上司のしつけ方

今年の1月に『こどもルールブック」よくできました!』明治大学教授、齋藤孝さん監修の著書が発売されました。今回は、パワハラ上司をこれ以上増やさないためにも、この本を通じて「ビジネスマナー」よりも、もっと根っこの「しつけ」の観点から、パワハラに関心をもってくださっているあなたと一緒にパワハラ上司のしつけについて、学習していきたいと思います。

「バカタレはお前だ!!」82歳の母親に叱責された本部長

テレワーク中に、同居している82歳の母親に言われた一言。母親と二人暮らしの50代の部長から聞いた話です。その日に限ってテレワークの会議が長引き、近所の買い物から戻ってきた母親が、息子がパソコンの画面に映る20代の部下に向かって「こんな仕事もできないのか、バカヤロウ!」と叫んでいる声を、後ろで黙って見ていたとのこと。部長曰く『PCを消した後に、突然、背中越しに、母親から大声で叱られ、もし部下に聞かれていたらと思うと、冷や汗ものだった』とのこと。

この話を聞いたときに、なんと立派な母親なんでしょうと思った一方で、このパワハラ部長を叱る人は、この母親以外にいないと思うと、むなしい気持ちになった一方で、母親の気持ちに強く共感しました。

今回、ご著書の中から、私が実際に多くの職場を見てきたなかで、特に気になったルール、特に上司がパワハラを起こさないための予防に必要なルールに厳選して、いくつかご紹介したいと思います。

ルール その1
ありがとう とくちぐせにする。

『プレゼントをもらった時だけではなく、レストランでおみせの人がりょうりをはこんできてくれたときも、ありがとう、っていうんだよ。ありがとうのでばんは、まいにちいっぱい。くちぐせにしよう』

課長いかがですか?

部下にコピーを頼んだり、用事を頼んだりしても有り難う、と相手の顔を見て労いの気持ちを込めて言っていますか? 意外と出来ていない課長が多いような気がします。しかめっ面で、部下なんだから、やって当たり前オーラが漂う人がいます。自宅でも、奥さんが入れてくださったお茶も、目線はスマホで有り難うの一言もないんでしょうね。これって挨拶も同じです。ぜひ、自分から職位に関係なく、自分から声かけしましょう。感謝の気持ちを言語化するって、強烈な効果を発揮します。

ルールその2
「むぎちゃ!」ではなく、「むぎちゃください」という

むぎちゃをとってほしいとき、おとうさんやおかあさんにむかって「むぎちゃ!」なんてらんぼうないいかたをしていない?なにかひとにたのむときは、ていねいなことばをつかうんだよ。あいてがとししたでも、どんなにちいさなたのみごとだとしてもね。

課長、耳が痛いですね!? 部下に向かって、「おい!おまえこれやっとけ」と仕事を振る人。部下を子分のようにこき使う上司は、意外にまだまだ多いように感じます。単に課長や部長という役割を任されているだけの人間が、一体、何様のつもりだと言いたくなります。課長や部長は昔の王様のように偉い身分ではありません。勘違いしている裸の王様、あなたの上司にいませんか?乱暴な言葉は、パワハラ上司としての人生の幕開けです。

ルールその3
ひとのはなしはしんけんにきく

ひとのはなしをきくときは、しずかに、あいてのめをみて、さいごまできこう。

ほかのことをしながらきいたり、とちゅうでおしゃべりしたりすると、はなしているひとが「ちゃんと つたわっているかな」ってしんぱいになってしまうからね。

課長、またスマホいじってるんですか? 部下の報告や話を聞くときに、スマホをいじりながら、資料に目をやりながら、こんな上司は確実にいます。理由を聞くと「忙しいから」。あなたは一体いつから、一国の総理大臣よりもお忙しい立場になられたのでしょうか? もうコーチングとか知らなくていいです。著書にも書いてある通り、相手の話を聞くときは、①しずかに ②相手の目を見て ③最後まで聞く この3つだけでも十分です。加えてスマホはいじらない。相手の話している間に遮らない。課長、この本3歳児向けの本だっていうことは、ご存知ですよね?!

いかがでしたでしょうか?

正直、全部ご紹介したい気持ちですが、このくらいにして、是非、この本を買って読んで頂きたいと思います。このように、部下とのちょっとした関係性や立ち居振る舞いを少し変えるだけで、パワハラ上司のレッテルを貼られることはなくなるはずなんです。でも、なかなかなくならない。今、本気で、大人のしつけが問われているように思えてなりません。ビジネスマナー以前の問題です。

上司の上司と、上司の保護者の皆様へ

著者の齋藤さんは、『しつけとは、本来親からこどもへの「幸せに生きる力」のプレゼントであると伝えています。社会のルールを身につけ、自分も周りの人も幸せに気持ちよく過ごせるようになることは、生きていく上での大きな強みになり、幸せに生きる土台である』とのべています。

この言葉を職場に置き換えれば、上司から部下へ、或はリーダーから後輩へ「幸せに働くことが出来る」プレゼントであり、大事なことは「自分も周りの人も幸せに気持ちよく過ごせるようになること」という発想が、コロナ禍でリモート環境の今だからこそ、なおさら、おざなりになっていないでしょうか? こんな当たり前のことが、実は以外に多くの日本の職場で見失われている気がしてなりません。

是非、もう一度自分の職場の管理職のしつけについて上司の責任者の皆さん、職場の一人ひとりの日頃の態度や言動を指差し確認してください。どうも、偉くなると自分で自分のことができなくなる人もなかにはいるようです。

上司の心理的安全性は、部下の心理的不安を焚きつける!?

強面のコンサルタントや、分厚い書籍を真に受けて「これからは心理的安全性な職場が大事だ!」などと、小難しいことを難しい怖い顔で職場のメンバーに熱く語ると、「心理的な安全な職場をつくらなければ」と上司もメンバーはプレッシャーばかりで、かえって心理的な余裕がなくなり、余計に安全性が失われるような気がしてなりません。一見笑い話のようですが、本当にこんな会社があるんです。

心理的安全性を大所高所から語るのもいいですが、その前に、是非、部下が安心して働ける職場をつくるために、まずは、自分自身を自分でしつけることからはじめてみませんか?

 新卒が1年以内に辞めるのがあたりまえと言われている昨今、部下にプログラミングを教える前に、もっと大事な学ぶことがあるのではないでしょうか? 自分をしつけることができなければ、部下をしつける大義名分は損なわれます。

あなたの上司はおいくちゅですか?

ちなみに、この本は3歳からチャレンジしたい46の習慣を「こどもルール」としてまとめています。気がかりなことは、職場の上司にもこれだけ当てはまるルールがあるということは、一体あなたの上司の精神年齢は、いくちゅなのでしょうか、、、

出典引用 著作:日本図書センター 

ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

パワハラ上司を避けるマッチングアプリ欲しいですか?


すべての組織に当てはまる訳ではありませんが、

と前置きした上で、

特に、縦割り組織で年功序列、定年までつとめあげることが

当然の雰囲気が漂う組織においては、特に、役職が上の人の存在、

発言は、部下にとって時には鋭い刃物のような脅威となります。


上司のパワハラ行為の奥に見え隠れする本心


部下をいつも責めることが好きなあなたの上司は、

実は、

自分をいつも責めて生きているかもしれません。


部下を労えないあなたの上司は、

実は、

自分自身を労うことができない寂しい人かもしれません。


部下の仕事ぶりを認められないあなたの上司は、

実は、

自分の仕事ぶりを認められない承認欲求の塊かもしれません。


部下の欠点ばかり探しているあなたの上司は、

実は、

自分の欠点に気づかないふりをしている残念な人かもしれません。


上司のマッチングアプリ欲しいですか?

残念ですが、部下は上司を選べません。上司も部下も選べません。

人事異動のたびに、自分のことが分かりあえる上司と部下を組み合わせる

完璧なマッチングアプリ、パワハラ上司を回避することができるマッチング

アプリがあったら、と思いたくなる気持ちは理解できます。

一方で、

上司は最大の職場環境であるとすれば、

今の会社で働くことに生きがいを感じているならばいいのですが、

あなたが今、

お金のためだけにパワハラな職場で我慢する生き方を選択しているしたら、

自分で心地よい環境に働く場所を変える生き方も

本当はで選択できるのでしょう。

実は、自分自身以外、誰も環境を変えることに制限をかけていないはず。

本当に困った時に上司も会社も誰も

助けてくれない職場だとすれば、

自分を信じて、自分で自分を大事にしてはいかがでしょうか。

あなたの悩みの最大の理解者はあなた自身だから。


退職すれば、あなたのパワハラ上司もただの人。

何の恩義があって身も心もすり減らし

偉そうな上司や会社、取引先のために我慢する必要かあるのでしょう?



石の上にも三年。今はもう一年とも言われる時代。

上司のパワハラに耐えたその先に、

希望と夢が待っているのでしょうか?

勤め上げることは、本当に大事か?あなたにとっての幸せの基準ですか?

「勤め上げることが大事だ!」

ある会社で、豪語している60代がいました。

もはや時代は変わりました。相手にする必要はありません。

あなたは一体組織にしがみつき、

ココロの奥底で

何を恐れて生きているのですか?



ココロが痛まない生き方を自分で選択する生き方

コロナ禍の5月病とうい病は、あまり信じたくありませんが、

4月、精一杯、走ってきた方もとても多いことでしょう。

本当にお疲れ様でした。

新年度もはじまり、ゴールデンウイークに入る前、

パワハラに悩んでいるあなたに、伝えたいコトバを贈ります。



もっともっとあなた自身を大切に。

もっとあなたのココロが痛まない働き方を。

もっと自分を労ってあげてください。



ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

「あの上司、キモイ、ウザイ、ヤバくない!?」を卒業しよう。 あなたの気持ちを上手にコトバで伝える方法

「コトバのボキャブラリーを増やして、上手に感情を語れる人になろう」

学研から3年前に発売されて重版している「感情のことば選び辞典」(学研プラス)をご存知でしょうか? 帯のキャッチコピーも秀逸すぎるのです。

「気持ちを言語化できずに、じたばたするあなたに!」

そう、まさに、普段の仕事やメールでとっさの時に、こんな場面で「なんて書けばよかったっけ」と悩むことはないでしょうか?(ちなみに、私はかなります。)

テレワークになって仕事の内容だけではなくて、自分の想いや感情を上司に伝えるときに、実際に職場で相手と話すときには使えた「ヤバい」も、いざ、コトバだけで目に見えない自分の感情を目の前にいない相手に伝えるときに、意外と自分のボキャブラリーが少ないことに気が付いた人が多いのではないでしょうか?

そうなんです。

気持ちを言語化するって意外と難しいのです。

「バカやろう」のコトバは、いつでも、どんな時でも常に断定的に100%パワハラになるのですか?

先輩から言われる「お前は本当にバカだな!」という言葉も、

例えば、非常に仲の良い先輩後輩で顔を真っ赤しながら、二人とゲラゲラ笑いながら「やめてくださいよー先輩」!いった状況)では許容されたとしても、

メールで突然、先輩から「お前は本当にバカだな!」という一言が書かれていたら、同じ言葉でも、ムッとする確率が高くなるか、パワハラだ!と訴えられるか、自分がなにかやらかしたかと後輩は焦るかもしれません。

このように、文脈や前後関係と相手との関係性が全くわからないために、どうしても最大公約数的な表現になりがちですし、受け止め方も千差万別です。

ある人は、まるで社内の人とも取引先との会話調のメールになっている人や、性格かもしれませんが改行もせず、読み手の息が詰まるほど、文字が詰め詰めでぎっしり(思わずスパムメールか!?)書いてくる上司もいます。
皆さん、一様に文章の書き方に苦戦している様子が見えてきます。また、その方の個性や文書の癖がよく見えるのです。

仕事のメールに「お疲れ様です!」の「!」はダメですか?

驚くくらい、会社の社風によって本当に異なるのですが、例えば、テレワーク中に「お疲れ様でした!」の「!」を書くと、「ムッ」とする大先輩がいたりする会社や、違和感を覚える上司がいる職場があることも事実です。
一方で、テレワークになって初めてチャットやスラックを始めた会社で、最初は心理的抵抗があったのですが、慣れれば60代の社員も顔マークを使いこなしている職場もあり、本当に様々です。

ただでさえ、毎日のように感染者数がテレビから聞こえてきて、不安と落ち着かない状況ですから、イラっとしやすい精神状態になっている方が多いとも聞きます。感情を語ることに、正解、不正解はありませんし、これは、本当に多くの企業を見て思うのが、自分の会社のこれまでのメールでのコミュニケーションの取り方が、ルールもないのにも関わらず、「絶対」と信じ切っている人が特にベテランの方に散見されます。

イチイチ「!」や絵文字に振り回されて、「イラっ」としているくらいなら、どうすればメールの文脈やツールを使いながら気持ちのよい会話ができるのか、業務の指示だけではなく、仕事に必ず紐づく感情を相手に伝えることができるのか、感情というボールを使って、考えながら相手とキャチボールすることがますます大事になってくるのでしょう。

「感情のことば選び辞典」から学んだ、上司、先輩への感謝の気持ちの伝え方

「先輩、スゴイですね」でメールを受け取ると、バカにされているように思う人もなかにはいるようです。例えば「スゴイですね」の代わりに、「敬重すべき先輩の指導に感謝します」などと、表現を変えるとどうでしょう?

これも新手のパワハラか?と捉えるのは大げさですが、大事なことは「敬重」という言葉が、頭の中で選択肢の一つとして、スッと出てくるかどうかをあなたの胸に手を当てて考え欲しいのです。反対にいくらいい言葉を使っても、相手側が知らないとスルーされるか、プチ嫉妬されることもあるので、相手や状況をよく考えて使う点は気を付けたいところです。

この辞典のスゴイところは、「敬う(うやまう)」と辞書をひくと、「畏敬」「渇仰」「恭敬」「仰望」「欽慕」「敬愛」「敬重」などなど、26個のバリエーションが出てくるのです。
ただし、使い方やTPOを誤ると恥をかくので、職場での使えるものを、事例を参考に取捨選択する必要はありますが、大事なことは、自分のボキャブラリーのなさを思い知らされるのです。特別にあなたが小説家を目指しているのでなければ、まずは気楽にさっと目を通す程度でも十分でしょう。

その他にもいくつかご紹介します。

相手を褒めるときに使うコトバに「上手」「上手いですね」がありますが、さすがに先輩に「上手ですね」とは書けませんので、辞書を紐解くと

「得手」「軽妙」「手練」「絶妙」「堪能」など全部で28個のコトバがあります。さらに、やわらかい表現の仕方も紹介があります。「鮮やか」「見事」などなど。

ムカムカしているときも、「イラつく」とは書けませんので、
「焦る」、「鬱憤」、「焦心」、「焦慮」、「急く」などなどに変換する

笑うときも、「笑」「wwww」もいいのですが、
「一笑」「笑壺」「呵々」「莞爾」「噴飯」 合計26個も言い換えるコトバがあります。

毎回使うのもいいですが、ここぞ!という時に使うといいかもしれませんし、辞書に見慣れてくると、自分にとってしっくりきて使いなれてくる言葉は、息を吸って吐くように自然と使えてくるでしょう。

新入社員だからこそ知っておきたい、ボキャブラリーを増やすと、仕事に自信が持てる!

特に新入社員の皆さんがLINEで短い言葉でやりとりするときにこの辞書のコトバを使っても、相手は驚くので刺さるかもしれませんが、一方で、就職して、即テレワークで仕事をはじめる方も増えてくるでしょう。

 文章での会話がますます増える環境で、日本語の響きや言葉のボキャブラリーを増やすチャンスと思って、是非、この辞書を(小さいので見やすい)机の片隅におきながら、ゆっくりと言葉を増やして上司も驚喜するような仕事ができるようになってみませんか?(自戒の念をこめて)

大きな声では言いませんが、コトバ遣いは、特に年配の方ほどよく黙って見ています。「彼、彼女は言葉を知っている人だな」と思われると、長い目で見て結果的に得をすると思います。なぜなら、皆、先輩も含めてそんなに言葉を丁寧に扱っている人が意外にも職場では多くないからです。
毎日の仕事のなかで、少しだけ意識して使うことで、数年後に圧倒的に差がでることは間違いありません。先輩たちも頷いていると思います。

また、「バカ」という言葉も、確かに深く考えずに職場で部下指導や相手を非難攻撃する際に用いられる言葉ですが、発言者に相手を馬鹿にしてやろうといった意図がなくても、パワハラと受け止められる可能性もケースによってはゼロではありません。
コトバひとつでお互いにあらぬ誤解を招くことほど、悲しいことはありません。また、大事なことは、メールは証拠力が強いために、記憶ではなく「記録」として残ります。

やっぱり「文は人なり」

ボキャブラリーを増やすことが、大げさかもしれませんが、本当に自信をつけて上手に仕事ができるようになる一歩、といってもいいかもしれません。

是非、コトバを磨いて、自分を磨いて年齢に関係なく成長していきたいものです。

パワハラが飯をマズくする。

「いきなりシッセキ」

 とあるステーキ店での出来事です。テレワーク中の久しぶりの遅いランチ。お店に入ったのは15時頃だったと思います。そこのお店の売りは、オープンキッチンで席から肉を焼く様子もよく見ることができるのです。シズル感満載で、久しぶりのステーキにワクワクしながら席に案内されました。

注文を終えてから、一人スマホをいじっていると、何やらオープンカウンターの厨房から大声の怒鳴り声がいきなり聞こえてくるのです。

「そうじゃないだよ、もっとこうやって焼くんだよ」

店長らしき人でしょうか? 15時頃ですから店内は人もまばら。

 店内もそれほど広いわけではありません。二人の会話を聞きたくなくても勝手に聞こえてくるのですが、どうも店長らしきベテランが中途で入った新入社員にお肉の焼き方を教えているようなのです。まだ手元がおぼつかない新人さんにイライラしている様子が、ライブ感満載で聞こえてくるし、その様子もアリアリと見えるのです。

まるで、人の会社の部下指導をライブでみている感じなのです。

「さっきも教えただろ、忘れるなよ」

「肉の色みればわかるだろ」

「お前さ、なんど言ったらわかるんだよ。小学生じゃないんだよ」

(あー、「小学生」言ちゃった・・・パワハラだな。やめてときゃいいのに)

 声の大きさがだんだん大きくなる店長の様子と比例して、店内のスタッフの顔色が暗くなって、入店するお客様へ「いらっしゃいませ」の声も小さくなっているのです。みんな見て見ぬふりの様子で、静かに自分の持ち場で真顔に専念しています。店内の空気も徐々に重くなっていきます。

どうも、ステーキを食べる雰囲気ではなくなってきます。

「あ、居心地が悪くなってきた」

 しっかり肉を焼いてもらうようにお願いしたこともあり、注文したお肉が出てくるのに時間がかかるのです。注文したステーキがでてくるまで15分くらいでしょうか?もっと時間がかかったように感じるのです。必死で声を聞かないようにスマホをいじる以外ありません。なによりも、もうはやくこの店でたいな、そんな気持ちが高まってきたので、本当にお金を払って出ようかなと思った矢先に「お待たせしました」とステーキが運ばれてきました。

香ばしい香りと、ジュージューと音を立てたステーキが熱い鉄板にのって机におかれた途端に、

「おい、また失敗したのか!」

「お前のせいで、肉が何枚無駄になるだろう」

「前の会社で何をやってきたんだ」

店内の陽気なアメリカンミュージックを遮るように、上司の声が次から次へと聞こえてきます。

 このような上司の注意や、ため息をききながら、ステーキを食べることは人生で初めての経験でしたが、「味気ない」とはこういうことだ、と思うくらいおいしく感じられないのです。正直、さっさと平らげてお店を出てしまいました。

もしこれが職場のランチの時間に、上司の職場の誰かへの叱責を聞きながらお弁当を食べていたら、休憩?どころではありませんし、気も休まりませんよね。

「ESってなんだっけ?」

 特に、総務、経理といった事務の仕事とは異なり、目の前にお客様の前で実際に肉の焼き方を指導しなければならない飲食店固有な環境かもしれません。一方で、その自分の指導の声が、カウンターを超えて、お客様にも届いていること、なによりも料理をマズくしていること、自分がパワハラ言動をしていることに気が付かない上司の想像力の欠如がわかります。肉の焼き色よりも、部下の顔色とお客様の様子にも気遣って欲しいものです。

 「何度言ったらわかるんだ」という言葉からも、私が遭遇した以前からも何回も同じような状況が繰り返されていたのかもしれません。特にお客様がいる環境で指導するときには、コトバ遣いや、それ以外の場所でのフォローの仕方も必要です。しばらくの間、その指導の様子は脳裏に焼き付いていました。他人事ですがモヤモヤした気持ちが残りました。

 これを会社の職場(特に事務系)に置き換えると同じですね。上司は指導のつもりで叱責しているものの、周囲の部下に丸聞こえ。本人はその指導に酔いしれているのかわかりませんが、周りからすればいい迷惑。昔から「ESがよくなればCSもよくなる」といった既に言葉は聞き飽きているかもしれません。もし、オープンキッチン内での部下指導が、短時間で的確に、厳しくも、温かみのある指導のように聞こえれば、出てくる料理も期待が出来たかもしれません。

「お代を払って体験したパワハラ」

偶然の出来事でしたが、改めて職場における上司の影響力を改めて痛感しました。

 上司は、新人に肉の焼き方の指導で精一杯ですが、その一方で、ホールスタッフのメンバーが、上司のイライラ声が大きくなるたびに、徐々に表情が曇る様子、徐々にやる気がなくなり、サービスの質が下がり、お互いの声が小さく、言葉数も減り、自分の担当の仕事しかしない様子がアリアリと分かるのです。
 もし、これが続けば、お客様も居心地が悪くなり、結果、お客様が入らない、売上が下がるという悪循環に陥るかもしれません。まるでよくあるハラスメントのビデオ講座をライブで見ているようでしたが、働きやすい職場をつくることがいかに大事か痛感したのです。

 美味しい料理を提供するのは料理人、つまり人です。会社でもいいサービスを提供するのは人です。あなたの会社でどんなに素晴らしい商品を扱っていても、それを届ける人、つまり従業員の士気が下がっていては商品の魅力は、お客様には半減しているように映るかもしれません。最悪の場合、その商品を買わなくなるかもしれません。

 どこの会社でも、上司の態度や姿勢は、部下は本当によく見ています。不思議と上司の悪い部分だけは、部下は容易に真似をします。職場がお店ならば、お客様だってもっとよく見ているものです。

 働く場所や、働き方の形態がどんなにかわっても、指導の本質は今後も何も変わりません。パワハラ問題を考える上で、もう一度、指導するときにマイナスの感情をまとったコトバは、いかにあらゆるモノやヒトを不幸にすることにいきなり気づかされました。何もこの飲食店業に限らず、すべての働く人が知って欲しいことだと思います。

上司の皆さん、今年はどうぞテレワーク中の部下のランチが美味しくなるような指導やコトバかけをしましょう!

ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

キメハラ(鬼滅の刃ハラスメント)ヤメレ!

「キメハラ」されたことありますか?

先日、「鬼滅の刃ハラスメント」を略した「キメハラ」という言葉がネット上で話題となっていました。あるテレビ番組でコトバが作られたことが発端のようです。

鬼滅の刃の映画を見ていない人に対して、見ることを強制したり、鬼滅の刃が嫌いな価値観の人を否定したりといった言動のことを指しているとあらゆるネットニュースで話題になっていました。

「キメハラ」という言葉が流行る前から、すでにセクハラ、パワハラといったハラスメントの言葉は高校生や中学生でも知っている時代になりました。一方で、今年、私は仕事で高校生への課外授業の一環として直接、彼らにハラスメントについて伝える機会がありました。その際、集まった学生にハラスメントの意味を聞く機会がありました。彼らは部活や学校生活での「いじめ」のことを「パワハラ」と本気で理解している人が非常に多いことが分かりました。まだ働いた経験がありませんので、知らないのも当然です。

このようにハラスメントの正しい定義が理解されない状況で、ネットニュースに触れた学生が「キメハラ」という言葉に触れてインプットされ、ぼんやりハラスメントの意味を分かった状態で就職し、皆さんの会社にも入社してくるのです。

 言葉のハラスメントごっこは卒業

 あなたもネット上でハラスメントの種類を検索すると、なんと、50個とも60個も存在すると言われ、その多くはメディアなどが作った造語であり、法律で定義された言葉ではありません。飲み会の席で「言葉遊び」に使うならご自由にして頂きたいのですが、例えば、職場で本当に上司からの性的な言動で困っている女性を目撃したときに、いい大人がほろ酔い気分で「これはアルハラなのか?それともセクハラなのか?」議論することはナンセンスでしょう。ハラスメントの法的な定義が正しく理解していれば迷うことはなく、困っている人を助けることができるのですから。

 最近、企業の研修担当者と会話をしていても、「もう○○ハラスメントって止めて欲しいですよね」という会話もよく耳にします。大分前になりますが、「アルハラ」(アルコールハラスメント)という造語が広まった頃には「そんな言葉もあるんだねー」と職場のハラスメントあるあるのネタになっていた時期もありました。今思えば懐かしいものです。しかし、さすがに、なんでもかんでもハラスメントとネーミングして話題をつくる社会の状況に辟易しているのです。辟易しているくらいならまだいいのですが、今回の「キメハラ」ように、そもそもハラスメントの言葉を正確に理解しない状態で、「キメハラ」といったハラスメント風の言葉が流行ることは、はっきり申し上げて上司からすればいい迷惑なのです。

実は、今、職場でハラスメントの正確な意味をしらない若手が深刻なハラスメント問題を水面下で引き起こしていることをご存知でしょうか?具体例をご紹介しましょう。

「新人同士の無視はパワハラです」

ある会社では毎年、内定者同士でLINEグループを作ることは当たり前。入社後、新人研修期間中に、知らぬ間に仲の良いメンバー限定のグループラインが出来上がりました。A君は不思議と自分だけが同期の飲み会や遊びに誘われないことから、別のLINEグループの存在に薄々気づいたのです。


 いわゆる仲間外れ。慣れない通勤と研修に疲れ果て、恥ずかしさから人事部に相談もできません。気がつけばランチはいつも一人ぼっち。同期とは会話もできません。パワハラの定義など知らない他の新人はこの状況がパワハラに当たる行為など認識もないのです。

A君は入社1ヵ月後、同期の誰にも言わずに退職しました。LINEを使ったことがない人事部長は想定外の出来事に正直驚きを隠せませんでした。翌年から新人にハラスメント研修を実施することになりました。新人でも同僚同士のいじめ、無視といった行為はパワハラになるため、許されない行為であることを伝えたのです。

「上司がお客様の前の失礼な態度を指導したらパワハラ!?」

 ある会社の営業部では、新人を営業同行させてセールスのイロハをマンツーマンで丁寧に教えています。新人のA君は、もともと物怖じせず、どんな世代ともすぐに仲良くなれる性格で、セールストークも上手く、商品の理解も早い。リーダーも期待しているのだか、一つだけ悩みがありました。相手が部長でも社長でも「マジヤバくない?」「この商品イイっすよ」「それキモイんだけど」と、言葉だけが学生のノリなのです。困ったリーダーは毎回それとなく商談が終わるたびに注意していました。

 ある日同様に注意をした際に彼から、「あの、俺だけなんでそんなに何度も何度も注意するんですか?俺の個性っすよ。あの、執拗に注意するのはパワハラだって知ってますよね。出るとこでますよ」「おまけに、営業マニュアルもないじゃん、この会社。何が『ウチの会社は教育が充実してる』って採用担当は嘘ばっかり」と睨まれました。


 「パワハラ」の四文字にビックリしたリーダーは慌ててしまい、次回から一切注意することをやめてしまったのです。ある日、帰り際に、とあるお客様からリーダーだけ呼ばれ、「あの若手、いくらなんでも態度が悪いんじゃない?このままではお取引はお断りするよ」と注意されたのです。その場でリーダーは血の気が引いたとのことでした。

あなたの「不平不満」はパワハラではない。

 このように、上司の正しい仕事の指示命令や指導注意に対して、疑問や不信感、反発を感じた部下が「パワハラっぽい」ですよね、ということばで口撃してくる状況が今問題になっているのです。講義では、あなたが上司に対してパワハラという言葉を本気で使いたければ、その上司の行為は懲戒処分にあたる行為あたるとみなしますよ? 上司は本当に懲戒処分に該当する行為をしたのですか?それとも、あなた自身の不平不満ですか? 口に出す前に、もう一度よく考えて言葉を使いなさいと指導しています。会社に就職した以上、社会人のコトバの重みが全く異なることを理解させたうえで、雰囲気で軽々しく、その場の感情に任せて「パワハラ」という言葉を使うとあなたの信用を失う可能性もありますよ。だからやめなさい。」とキツク伝えています。

入社初日からパワハラ研修をする企業側

 パワハラの定義を理解していれば、決して難しいことではありません。会社の様々な規則や、ハラスメントの正しい定義、正しい意味を理解すれば、このようなことは起きません。

 新入社員が入社した時点で、パワハラ研修を行う会社がここ数年で本当に増えてきました。どんなに管理職が忙しいなか、ハラスメント研修を学んで、正しい指導をしても、相手方から自分勝手に理解している「パワハラ」という言葉を乱発されることに、上司も正直辟易しているのです。迷惑なのは、ハラスメントの定義も知らない彼らにそのとき悪気はなく、上司に不平不満を表す便利な言葉のひとつ、くらいにしか思っていない人もいるのです。「それってキメハラ」ですよね、と上司に言っているのと同じ感覚なのです。

上司から炭治郎へのお願い

あっ、炭治郎さん、その刃で「ハラスメント言葉遊びの鬼」を討伐していただけますか?ハラスメントの言葉でブームがおきる状況を放置して、若者にへんな言葉が刺さると、上司は鬼以上に、本当に困っているんです!

キメハラ ヤメレ!

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

茨木のり子 氏の詩。テレワーク時代のハラスメントと働き方を問う

既に多くの方がご存知の茨木のり子さんの有名な詩ですが、改めて読みなおす機会があり、ハラスメント問題を考える上で、改めて気づきの多い詩でしたので、皆さんとシェアしたいと思います。



「自分の感受性くらい」  茨木のり子


ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて


気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか


苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし


初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった


駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄


自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ


茨木のり子詩集 (岩波文庫)より出典引用


「ぱさぱさに乾いていく心に、誰かが水を与えてくれるだろう。」そんな他責で身勝手な気持ちが、しなやかさを失わせているのでしょうか。

これからの時代、会社の価値を問い直す以上、そこで働く人の価値も問い直すことになります。

「わたしが勤めるこの会社は何のために存在しているのか」
「この仕事はこれからも必要なのか?」

「わたしはこれからこの会社で何をなし得たいのか?」

今日も私のイライラを解消するために、パワハラしに会社に来ているのでしょうか?いつのまにか初心と志を忘れ、自分のポストにしがみつく、将来の不安や恐れから仲間に暴言を吐く、自分のポジションを必死に守ろうとする、そんな醜態をさらすパワハラする人の存在を一体会社はいつまで守るのでしょうか。

テレワーク中、部下を監視し続ける人の見苦しい心の在り様と、生き様の本質が透けて見えてきます。

「テレワークは自宅勤務だよ、暇で仕方がない。あんなものは良くない」

リモーとワークが続くなかで、とある会社の方が会議中にいい放った一言。なんでも時代のせいにする人は、今も昔も変わらないようです。

対人感受性と呼ぶそうですが、他人の感情に気づくには、自分の感情に気づくことが大切と言われます。

自分の感受性を守ること、磨くこと。

物理的、心理的にもメンバー同士の気持ちが離れることで、人によっては
孤独感が増している話も聞きます。

これまで以上に、相手の気持ちに寄り添う気持ちを高めること。対人感受性も大事な資質として問われてくるのでしょう。

この詩は、コロナ禍の本質を突いているような気がしてなりません。
改めて私自身も内省しました。

読後、あなたは行間に何を感じ取りますか?
まだお読みになったことがない方は、おススメします。



ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

テレワークでやっと消える!?昭和のハラスメント

あなたの職場のテレワーク、快適ですか?

一方で、一見テレワークが上手くいっているように見える、オフィスを廃止し始めた会社、既に浸透し上手く活用が出来ている会社があると申し上げましたが、表向きの話で、かなり深刻な問題も抱えている実態があります。

テレワークも全国的に見ると、まだまだこれから始める企業も多い状況です。東京に本社がある一部上場企業であっても、オフィスを廃止し始めた会社、既にテレワークも浸透し、取り組みが先に進んでいる会社がある一方で、テレワークでは自宅待機で何もできないということで、結果的に、公には言えませんが、かなりの人が出社している実態の会社があり(業種業態により千差万別ですが)実は、現場ではかなりテレワークの取り組みに差があることが垣間見えます。

私の職場は、洗濯機の上

現在、「自宅」が「職場」になったのはいいものの、「執務スペース」がないのです。終日、ダイニングテーブルで仕事ができる人は恵まれている方で、洗濯機の上、車の中、下駄箱の上など、かなり工夫しながら、仕事をしている実態がうかがえます。自宅に自分の個室を持っている人がどれくらいいるでしょうか?ましてや都内の一人暮らしのワンルームのアパートは坪数も多くありません。一体どこで仕事をすればいいのか悩み、だんだんと休みと仕事の境がなくなり一日家にいることでイライラしてくる若手もいるようです。おかげで50代は椅子が身体に合わずに腰痛が悪化し、オンライン会議が増えることで老眼が進む人もいます。さらに、困ったことに会社から備品の補助金がない会社が多いのです。また、通信費用や増える電気代も全部自分持ちに対する不満の声も漏れ聞こえます。

今、多くの方がZOOMやTeamsなどに慣れたのはいいものの、仕事をする環境が思うように整わない一方で、一番の問題は、社長や役員もテレワークで自宅にいる方も多く、その実態を意外と知らないで豪邸に住んでいる経営層は関心がなかったりするのです。なにせ「豪邸」ですから!

 まだまだ課題を抱えるテレワーク問題。今回は、そのなかでもテレワークがもたらす働き方や生産性是非とは別に、実は、テレワークを行うことで昭和のハラスメントが自然と消えていくことが調査でわかったのです。

2020年3月に当社では日本の職場のハラスメント問題について実態調査を行いました。対象は、全国1,000人(20代~50代、男女、会社員(一般職、管理職、経営者)、公務員・教職員・非営利団体職員、派遣社員・契約社員のビジネスパーソンでした。

 その中で、次のような質問をしました。

「最近、職場での男性上司(先輩)のやめてほしいことや鼻につくこと(ハラスメントの芽)」

を教えてください。という設問を設けました。

真っ黒なハラスメントではなく、今は上司の言動でイラっとする程度ですが、このままその言動を放置すると「嫌いな感情」が芽生え、将来ハラスメントになる可能性がある言動を聞いてみました。

「部長、今、おならしましたよね。」って上司に言えますか?

ランキングは以下の通りとなりました。

1位 理不尽なマネジメント系

2位 マナー系

3位 高圧的なマネジメント系

今回、職場でのビジネス「マナー」がハラスメントの芽になっていることに着目し、さらに自由回答で一体現場でどのようなことで不愉快に感じているのか「マナー」について取り上げました。以下の自由回答例をご参照ください。

「貧乏ゆすりをしてやたらと机を揺らしまくること」(20代男性)

「堂々とオナラをして周りに迷惑をかける、悪びれることもない」(20代男性)

「鼻をほじったり、清潔感のないことをすること」(20代男性)

「トイレに行ったのに手を洗わない時がある。」(30代男性)                                                                                        

「周囲に全く気を遣わずに音を出して食べる。その咀嚼音が許せない。」(40代男性)                                                                        

「遠慮なく音のないおならをして後で臭いにおいが漂ってくること」(40代男性)                                                                           

「口が臭く、面と向かって話をすると我慢できない」(50代男性)                                                                                   

「大きいげっぷを人前ですることをやめてほしい」(50代男性」                                                                                     

タンをだすような気持ちの悪い咳払いや咳、くしゃみのときの声の大きさなど、

音が出る行為に腹が立つ」(20代女性)                                                                                                        

「指を舐めて資料をめくるのをやめてほしいです。」(30代女性)                                                                                    

「業務中なのに、自分の机で爪を切ること。」(30代女性)                                                                                          

「タバコやコーヒーとミックスされた加齢臭。耐えられないので、思わず口呼吸になる。」(30代女性)                                                          

「作業音がうるさい、ロッカーを閉めるとき・引き出しを閉めるとき」(40代女性)                                                                      

「あくびを連発して、他人のモチベーションを下げる。」(50代女性)                                                                                

「目の前でワイシャツをズボンに入れ直すこと」(50代女性)                                                                                       

「机で昼食の際の咀嚼音、その後のゲップ、爪楊枝のシーシーしながらの業務指示」(50代女性)                                                          

「話し声が大きくて、こちらが仕事をするのに気が散る」(50代女性)                                                                               

「タバコの匂いがきついところ。すうのは構わないが、マナーとして」(20代女性)

テレワークでハラスメントの芽を摘むことが出来ることが分かった!!

皆さんの職場には、このような上司はいないでしょうか?!

しかし本当に部下は上司の言動をよく見ているものです。たまに上司と同じ口癖やしかり方をする部下もいますが、物理的に一緒にいる時間が長いとうつるんでしょう。しかし、悪い癖もうつる点が一番厄介なのですが、、、

ハラスメントの問題は、ある日突然起こることではありません。日常の職場での些細な上司やメンバーの言動に対する不快感が少しずつ積もり積もって、嫌悪感からその気持ちを「ハラスメントだ!」と表現してしまうのです。

その多くの人は不快な気持ちを我慢しているのです。例えば、職場で「部長、今すかしましたよね」とはさすがに面と向かって言えないと思います。1000名のコメントを集計した中での非常に多かった声を並べましたが、個人的にも思い返せば「こんな上司いたな」と思わず昔の上司の顔が浮かびました。ご健在ですと80歳です。

しかしよくよく冷静に考えますと、このような言動はテレワークになるとそのような上司とも会うことがなくなり、不快な言動を毎日見たり、聴いたりしなくなっても済むのです。

テレワークは、昭和のハラスメントの芽の防止には一定の効果があります。テレワークでハラスメントの芽を摘むことが出来ることが分かったのです。繰り返しになりますが、テレワークでは、各自の職場は自宅です。これまで多くの方が集まって嫌がっていたマナーの側面から不快に感じているタバコ、不潔、声の大きさ、くしゃみ、職場のマナー、これらすべてパソコンの画面からは完全に遮断されます。

せめて出勤した日だけ我慢する(それもどうかと思いますが)、テレワークの日数が増えればテレワークがハラスメントの芽のような問題の減少に一定の効果があることを改めて再認識させられました。

それでも、ipadをスワイプするときに指で舐めて、画面が唾液でドロドロになっているおじさんがいるのも事実ですが、、、、一方で、画面共有を使えば、もうあなたの資料を上司に舐められることはありません。

しかしながら、人間は不思議なもので、テレワークが始まれば始まったで、またそのシステムを巧みに使ったハラスメントなども増えているのです。イタチごっこの状況です。

こちらは別の機会にご紹介したいと思います。

あなたはテレワークで、上司の不快な言動ストレスからうまーく避けてみませんか?

藤山晴久 株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を実施してきた。

出来る上司は何をやっても許される!?      ハイパフォーマー上司 のパワハラ

2020年6月1日、パワハラ法制化が始まりました。労働施策総合推進法第30条の2(2019年5月改正)において、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」とあります。

ハラスメント防止の主体は「事業主」である

      事業主とは代表取締役はじめ経営者クラス、拡大解釈すれば、経営者の代理人としてのマネジメントのメンバーも含まれます。職場でパワハラが起きないような予防法、対処法を講じると同時に、一番大事なポイントは「事業主」自身が絶対にパワハラをしてはならないと労働施策総合推進法第30条の3に明記されています。

今、24時間本当に働き、結果を出して今のポジションがある「事業主」が勘違いをお越し「オレは大丈夫」「これくらいいいだろう」と問題となる「事業主」が引き起こすパワハラ状況が組織を悩ませています。今回は、結果を出してきた上司のハラスメント問題についてご紹介したいと思います。

もう、部長のパワハラに誰も手を付けられない

とある会社のA部長の話である。非常に成績優秀で、入社30年営業一筋、彼の部門の功績で今の会社の売上を支えている。輝かしい実績と裏腹に、自分と同じ能力をマネージャークラスに要求し、部下本人の実績からは信じられないくらい高い目標設定を毎年課し、部下には無理とは絶対言わせないことで有名である。

 当然のことながら、どんなに優秀な部下でも途中からついていくことができずに、脱落し退職したり、メンタルヘルスで休職する部下も実際にいる。 A部長の口癖は、「オレはハラスメントなんかしない。絶対に大丈夫、自信がある。」「部下の為に、おれは指導しているんだ。今の若い奴らは、パッションが足りない。メンタルヘルス?意味がわからない。いつか俺の苦労や気持ちが分かる日がくるはず。(絶対にこない)なんでこんなにデキの悪い若手ばかり人事はよこすんだ。なんど同じことばかりいっても実らない連中ばかりで困ったよ」           (あなたが耕したり、水をやらないから実らないのでしょうと言いたい)

ここまでは、「昭和の典型的なマネジメントあるある」で、あまり珍しくないのかもしれませんが、問題は、この部長の上司である取締役や、執行役員が彼の言動一切をかばうという状況が問題なのです。ある意味、功労者であるA部長が、今の時代パワハラ行為と言われても仕方がないことは分かっているが、もし今、彼を突然会社を辞めさせたりすれば、ウチの会社の売り上げが急激に傾くことの方が経営状況として危ない事実を知っているからなのです。絶対に社長の耳には今の職場の状況が伝わらないように、課長クラスからの要望などは受け流そうとしているのです。

疲弊している課長クラスもA部長本人に対して「パワハラしてますよ」とは言えないし、内部通報したものなら報復人事が待っているだろうし、時間が経過するのを待つしかないと内心おびえながら、大人しくしているのです。 恐らく課長一人、二人が勇気を振り絞って取締役に直訴しても答えは明白です。恩義のある上司を裏切ることになる、内部通報制度はチクることになるといった認識があり、負の集団浅慮のメカニズムが作用しているのです。 このような職場が形を変えて日本にはびこっているという事実を、あえて「事業主」の皆さんと共有したいと思います。

社長のパワハラに手をつけられないのか?

よく「当社ではハラスメント研修は、実は実施出来ません」というご相談を頂きます。 理由をお聞きしますと、

B担当者「実は、社長はいつもセクハラで色々とありまして、あの、その、この、、、」

C取締役「私ね、あと三か月で退任でね。私がいる間は面倒だから、やらないよ」

こんな答えが返ってきます。

とある中小企業では、LINEが大好きな社長が、部長へ時間外の私用スマホへのLINEが休むことなく届くのです。業務のことはさておき、社員の悪口やバカにしたような内容といった程度の低い内容ばかり。 極め付けは、元旦に社長からラインが届いたことでした。 「明けましておめでとう。さて、先日の予算の件だが、どうなった?」 元旦くらい休ませて欲しいと部長。 これが日本の会社の実態です。

社内の誰もモノが言えないわけですから、労働局など外部に相談、通報する以外方法がないのですが、実際には雇用されている間は、行動に移さない人が多いのも事実です。従業員が個人で少額で加入できるハラスメント保険が今の時代に流行る理由も納得出来ます。

繰り返しになりますが、このような職場が形を変えて氷山の一角であるという事実を、あえて「事業主」の皆さんと共有したいと思います。

部下側のロジックとしては、今、騒動を起こして自分がクビになれば次の勤め先がないし、周りも大人しくしているし、自分だけが我慢すればいいんだと、自分に納得させようしている人もいるようです。徐々にメンタルが蝕まれていく状況に心から胸が痛みます。

これまでの事例からもおわかりのように、どの事業主も自分勝手であり、相手のことはお構いなしです。自分の言動に罪の意識はありませんから、自分の言動が相手を傷つけるとは思いませんし、想像力も欠如しています。そんな会社に限って、「顧客主義、従業員同士の感謝、奉仕の精神」など真逆な言葉が額縁に飾られ、朝の理念の唱和だけが虚しく繰り返され、何ら理念が体現されていないのです。

なぜ、職場の「あの上司」はハラスメントをするのか?

なぜ、あの上司はパワハラをやめないのか? 自分の行為に気付かないのか?基本的に自分がパワハラをしているつもりなどない人が多いことはこれまでの事例からお分かりの通りです。 以前、ブログで職場で「パワハラ」と言われやすいリスクを潜在的に持っている人、または、周りから「パワハラ上司」とみられている人のタイプを5類型に整理してご紹介しました。 今回の「事業主」のハラスメント行為者にも当てはまる点があると思い、再掲したいと思います。 ご参考になれば幸いです。

パワハラをする人の5つのタイプ

他責型

• いつも人のせいにする人

• 犯人探しの職場、人の失敗をあげつらうのが大好きな人

• 部下を悪者にし、手柄を横取りしても自分の昇格のためには犠牲を厭わない人

自己中心型

• 自分だけよければいい人

• 自我の強い人

• 昔も今もいじめっ子

• 相手を傷つける言葉、噂をするのが大好きな人、相手がどう思うかはお構いなし

• 部下に皆責任を転嫁する(自己保身)

• 精神年齢の幼稚型(見た目は60歳、精神年齢は3歳児程度)

• 相手をいじめることで、実は自分を認めて欲しいという自己承認欲求が強い心理状況 (愛情不足とも言う)

ストレス発散型

• 仕事や将来に対する不安を部下や後輩に当ることで解消しイライラしている人

• 日頃のプチストレス発散として部下へパワハラする人(人の心を傷つけても気づかないほど、心の幼い人)

• 噂を広めて、相手が困っている姿を観てあざけ笑う人

ポジション型

• 「俺の言うことだけ聞いていればいいんだよ、余計なことするな」

• 認めてくれる自分の上司の前だけでは、おべっかを使い、上司のいないところでは 周囲のメンバーに対する性格がきつく豹変する人

• 人を見下すことに、優越感を感じるのが大好きな人 • 部下の前でやたら、威張り散らす人

性差別型

• 「女のくせに、俺より昇格するのは許せない」

• 「「男のくせに、そんな力仕事もできないの!ダメね」

類型化して感じることは、これらのタイプの根底には、一様に心の幼さや性格的な歪み、エゴがあるように感じます。年齢も、職位も、経験も一切関係がありません。「個」の問題です。 あなたの上司も、自分の正当性を主張し、自分はよい子でいたいのです。だから、自分に対する他人の評価が自分の考えと違うと、とても耐えられません。

さて皆さんの上司はいかがでしょうか?、上の表に1つでも当てはまる項目のある方がいたら要注意です。

「どんなに高業績者であってもハラスメント行為をする社員は絶対に許さない」とトップメッセージを繰り返し発信する経営者もいます。            反対に、「別に今回のパワハラ法制化、罰則規定ないんでしょ」といって後回しにする事業主がいる会社もあり、本当に様々です。

有事の今だからこそ、皆さんがお勤めの会社の事業主一人ひとりのパワハラ問題に対する向き合う姿勢が、本気で問われているのです。

パワハラ法制化後、皆さんの経営者はどこまで本気でパワハラ問題に向き合うのでしょうか?

ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を実施してきた。

あなたの上司はマサイ族!?世代間ギャップとハラスメント

乾杯の音頭は、カシスオレンジで!

とある内定式の話です。
懇親会で乾杯の音頭にビールをとある男性の内定者に渡そうとしたところ、

「カシスオレンジでお願いします」

と答えた内定者がいたとのです。

彼は「なぜ、乾杯をするときに「とりあえず」全員がビールなのか?
意味が分かりません。 カシスオレンジではダメなのですか?
おまけに取引先のビールの銘柄まで決められているんです。
何の説明がないので、モヤモヤが残っています」

別の学生は、
「俺はビールよりも、コーラが好きなんです。
なんで、皆で同じ美味しくないビールを飲む理由に合理性が全くないので
断ります」
と素直に伝えた人もいたそうです。

また、ある女子学生からはこんな声がありました。

「私、今日の内定式、人生で初めてビールを口にしました」
このように会社の内定式でビールの味を覚えた大学生が実際にいるのです。
とある上司が苦笑しながらもとある内定者に「不味かった!?」と声をかけたところ、彼女曰く、
「正直、とても苦味を感じました。でも、これが社会人の味なのですね。
    勉強になりました」

とニコニコと満面の笑みでかえされたとのこと。 

座布団一枚!


未来の会社の主人公は上司ではない



 上司の皆さん、どのようにお感じになられたでしょうか?
ベテラン世代の方からすれば、不満を感じる方も中にはおられるかもしれませんが、これが最近の内定者の現状です。

むしろ、会社側としてよかれと思って行う内定者後の懇親会を「恐怖でしかない」と感じる学生もいるために、参加したくないと内心感る人もいるようです。

 ビールの問題はさておき、パワハラ問題、特に、上司が正しい指導と「信じている」仕事のやり方と、部下が考える「上司から任せられる仕事のやり方」に対する考えの違いから違和感を感じ、反感を覚え、その不平不満を「パワハラっぽい」ですよね、と「パワハラ」という言葉を使って自分の不平不満を表現してくる状況はあちらこちらで起こっています。

 「今どきの若手は」と感じた上司のあなたも、昔は同じことを言われていた「はず」ですが、若かりし頃の記憶は遥か彼方へ消えているかもしれません。

使うな!危険「とりえあず」



一方、部下の皆さんの不満も納得できます。

「 『とりあえず』これやっておいて!」

忙しい上司からこんな言い方で仕事を任される方も多いと思います。
「とりあえず」ってどんな状態に仕上げておけばいいの?
仕事のアウトプットのイメージが出来ない状態で任されることに、部下は不安を感じ、スッキリしないモヤモヤが残ります。

  部下が質問しようものなら「自分で考えろ」の一点張り。ステレオタイプな言い方ですが、「背中をみて覚えろ、仕事は盗むものだ」と言われて、誰からも説明されずに育った上司からすれば当たり前。

     一方で、部下からすれば、「あなたの背中に何が書いてあるのか?あなたの背中は本当に正しいといえるのか?」不満が残ります。説明能力に欠けている上司だと感じ、いつまでも平行線が続きます。


あなたの上司はマサイ族!?



想像してみてください。突然、あなたの会社で社員の出身構成が20代 ヒンバ族(ナミビア)、30代 ゴロカ族(パプアニューギニア)、40代 サンブル族(ケニア)、50代 マサイ族(アフリカ)、60代 ラバリ族(インド)から集まった組織になったとしましょう。

     互いに言語も風習も生活習慣といった文化が全く異なります。勿論、会社ですから同じ企業理念に賛同した人が集まっている点だけは共通していること以外、互いに会話や仕事の進め方や、やり方の議論は全くかみ合いません。

      かなり極端な例ではありますが、特に海外に拠点がない会社、職場に日本人だけの職場、取引先に海外の会社がないような企業にお勤めの方には、是非、イメージして欲しいのです。

     もし、この組織をまとめるには、相当な時間と根気強い対話を積み重ね、双方が納得しない限り「民族間(世代間)の働き方の考え方のギャップから生まれるパワハラの問題」は増加し続け、続々と退職者が増え、ついに組織は崩壊するのは時間の問題でしょう。

    一見無理がある設定ですが、今の時代、世代の価値観の違いから生まれるパワハラ問題を理解するには、

部下と上司は、「民族が異なる、または国が異なる人と仕事をしているのだ」

という位に捉えてみる心の余裕とおおらかさかに加えて、これくらいの大胆な発想がないと、職場が息苦しいと感じるかもしれません。
   
       異なることにいいも悪いもありません。存在していることに、価値があります。 「違うから嫌いな人」とすぐに、相手を切り離す考え方ではなく、「違うから面白い」と相手を受け止める余裕と一呼吸をしてみてはいかがでしょうか?(これも実際、難しい人もいるのですが、、、)

      部下が嫌う上司部下に押し付ける言葉に
「フツー、仕事ってさぁ、こうすべきでしょう」
という過去の成功体験を元にした言葉遣いがあります。
これを変換してみます。

「オレの民族ではね、仕事ってさぁ、こうすべきでしょう」

日本人のあなたから見たら 「ええええ!」と思うことがあるかもしれませんが、
彼らのフツーです。

部長、あのお土産マズイです。言える人、言えない人



これまで説明してきた価値観の違いを見事に考えさせられる1冊をご紹介したいと思います。
 「お金儲けはインド式」ビジネス社 というご著書です。
パワハラ問題を考える上で、示唆に富む内容であり、是非、引用させて頂きたいと思います。

『インドでは10月末から11月頭に「ディワリ」という大きなお祭りがあり、慣習として会社が従業員にギフトとして菓子を配るという。ある時従業員から「ボス、昨年もらったお菓子、あれ、おいしくなかったですよ。買う店変えた方がいいでしょう」と言われたそうだ。

    日本なら、忖度して「美味しいです」と言うところだが、インドでは絶対にそうならない。 意見を言うには美徳ではない、謙虚でいたいとうい慣習、文化はランチで行きたい店すら言い出せないという現象となる。
     仕事においては、
「日本では給料が安くても手を抜かず働き、昇給も自ら要求しないのが美徳」
「たとえ単価は安い仕事であっても、決して手を抜かないのがプロ」
といった無言の圧力が生まれているこの独特な仕事への美意識が、結果、ブラック企業を増やし、下請けいじめが増え、多くの従業員を疲弊させており、また、どんなことでも自分に責任があると感じ、とりあえず誤ってしまう考えは正直不健全であると、著者は考えます。

     実際に不満に不満をためてからの突然の退職など、日本ではよくある。 ビジネスの交渉もインド人は「自分の希望を伝える」という点のみにフォーカスし、そうすることで相手がどう思うか、という点はまず考えない点をあげているが、実際にこのようなマインドを持った日本人も多くいる。

     このように考えると、多数派ではないものの、国籍はあまり関係がない』 インドでは「どうしても人は人に迷惑をかけるのだから、あなたも他人からの迷惑を許せ」と教えるとのこと。

      ミスをするたびに徹底的に叩かれる日本社会よりも、のんびりで生きるインドの方が悪くないという著者の考えに共感しました。
      是非、ご一読頂きたいと思います。

仕事に疲れたら海外へ!?

     相手の背景にある文化を理解しながら、自分の想いが伝えることは、一生懸命対話を重ねないと難しいでしょう。他人同士が理解しあうことは、そもそも難しい訳ですから、時には意見の食い違いや間違うこともあるのですから、そのときは素直に謝ればいいのです。(謝れない人が多いことも事実ですが、、、)

    このように、上司部下の価値観の違いから生まれるパワハラ問題も、民族が異なると捉えれば、共通言語にあたる、理念の共有、働き方についての同じモノサシと、モノサシの使い方の相互理解も必要になります。

     多様性が大事と言いながらも、いまだに職場のなかの人間関係の多様性には意識が向きにくいですし、その議論から避けようとする上司もいます。
 あなたの「フツー」って何? 言葉の定義のすり合わせから始めなければいけません。たとえイライラしても、暴力は絶対にいけません。ブラックなパワハラです。

最後に、非常に当たり前なことで恐縮ですが、組織の中で相手は自分と異なる価値観を持っていることを強く、強く、常に想いながら、部下、上司双方が日常の対話を重ねつつ、今年の新入社員を暖かく迎えて欲しいと思います。
      この考え方がわからない大人が、驚くほどに沢山いる事実を研修を企画するたびに痛感します。 

     世代間ギャップにイライラしたら、有休で海外に行き、自分のフツーが全く通じない体験を沢山積み重ねることもいいかもしれません。


ちなみに、あなたの部長は何族でしょう?(笑)

ハラスメント研修企画会議 主宰

 藤山晴久 株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を実施してきた。

甲子園球児から学ぶ、ハラスメントにならない方法

グラウンドに敵はいない。職場には味方がいない!?

今年の甲子園で気になるニュースがありました。まずは、ご一読ください。
——————————————————————————————-
2019年8月18日付 朝日新聞デジタル(抜粋引用出典)
「星稜投手に異変、一杯のスポドリ届けたのは…観客が拍手」 阪神甲子園球場で開かれている第101回全国高校野球選手権大会の熱戦のさなか、心温まる場面があった。 18日にあった準々決勝第3試合、星稜(石川)―仙台育英(宮城)の七回裏。仙台育英の攻撃中、星稜の先発・荻原の右手がつりかけた。仙台育英の4番打者・小濃は、荻原の小さな異変を感じ取ると、自分が飲もうと思っていたスポーツドリンクのコップを持ってすぐにベンチを飛び出し、2年生右腕のもとへ駆け寄った。「けがしたらダメだよ。これ飲めよ」と荻原に声をかけた。  このとき、仙台育英は1―9でリードされていた。小濃は「これまで自分たちが死球を受けたときも(相手に)コールドスプレーをかけてもらっていた。自分たちもそういう場面が来たら、何かしなくちゃと思っていた」と振り返った。仙台育英の須江監督は「気がついたら小濃が行っていた。日頃からグラウンドに敵はいないと教えています」。  敵味方を問わないフェアプレーに、3万4千人の観客から大きな拍手が送られた。
—————————————————————————————–

ネット上では熱中症の是非の議論もありましたが、ここでは論点から除きます。 誰から指示されることなく、スポーツドリンクを持っていく選手の行為は、 「日頃からグラウンドには敵はいないと教えています」監督の言葉が、すべてを物語っていると私は思いました。単なる美談で済ませずに、実はハラスメント問題を解く学ぶべきポイントがあるのです。

正々堂々、働いていますか?

 昔から、選手宣誓でも、「正々堂々」という言葉をよく耳にします。 「正々」とは、組織に置き換えるとルールや規則に従った行動、言動。 「堂々」とは、自分を取り巻く誰にも恥じることもない立派な姿。 美しい姿で(仕事に美意識をもって)自分と正直に向き合い仕事に挑むことともいえます。

      甲子園球児は、「堂々」としているからこそ、愚直な行動が人の心を打つのでしょう。 「正々」であることは、組織である以上、当然の法令遵守です。 一方、「正々」ではあるけれど、「堂々」としていない組織や上司、皆さんの会社にはいないでしょうか?

  企業は「堂々」でなければならない。 本当の意味でステークホルダーから信頼される会社を目指す為には、もう一度自分の仕事、組織、上司、あなたの会社は、「正々堂々」であるか、考えてみてください。 「日頃から職場には(本当に)敵はいないと教えています」 こんな言葉が言える上司、あなたの職場にはいますか?

道路と化していく、あなたのオフィス

 一方で、正々堂々とは言えないよくこんな話をよく耳にします。
「廊下にゴミが落ちても拾わない社員が沢山居るんですよ」
「廊下で大きなくしゃみして、唾をまき散らす人がいます!」
 「トイレの手洗い場が夕方になるといつも水浸しなんですよ」
「会議室の椅子を机のなかにしまわない」
「飲みかけのドリンクがいつも置きっぱなしなんですよ」
「食べ残しや飲み残しをフロアー共有の冷蔵庫にいれて放置」
「食べ残しの菓子や、ドリンクがフリースペース散乱してます」
「濡れた傘を堂々と干して、生乾きの臭いで臭すぎます」
 「うず高く積もった弁当のゴミの山。今にも崩れそうなんです」
「気づいた人だけで、毎回片づけるんですけど誰も見てみぬ
「トイレの個室に入ったら大を流さない人がいた!」
 という男性社員からの衝撃的な声!

「先生、それが50代も、40代も、30代の社員もですよ!」
 でも、仕事だけは成果をだして一人前なんです。
 これだから厄介なんです。
おまけに社長も見てみぬふりで、ため息が出ます。

 この職場の社員、正々堂々と仕事しているといえるでしょうか?

 球児たちが、この状況知ったら就職したいと思うでしょうか?
高校球児の皆さん、これがリクルートのブースでは分からない職場
の実態なのです。
(でも誤解しないでください。勿論、これはほんの一部ですから!?)

「そんなの関係ねえ!」

 このような事例は、すべて共通して言えることは「人ごと」なんです。 会社が汚れようが、わたしには関係がない。 成果だけ上げて、給料さえもらえばどうでもいい。 誰かがやってくれるだろう。 これではチームワークなんて、どこ吹く風。所詮、きれいごとです。 部下には偉そうに、チームで仕事をするものだ!言いますが、上司の肚の中は全く異なります。

 「フン!何がチームワークだ」

 「アイツと仕事?ありえない」

こんな状況が常態化しても、不思議と誰からの注意されることもなく、25日にはちゃんと給料が振り込まれます。
 ゴミを拾わなくても、人事評価にも影響されません。チームビルディングを研修で学んだら、ゴミを拾うようになるのでしょうか?仕事は出来るけど、こんな意識の人たち同士でチームを組んで会社はよくなるのでしょうか?

「誰かがやってくれるだろう」はびこる職場に漂うハラスメントの空気

 このようにビジネスマナーではなく、それ以前の「マナー」と「モラル」が欠如している会社、オフィスが汚れている会社には、ハラスメントが起きる芽がある可能性が高いと私は思います。

 職場で、ハラスメント問題が起きてもそんなことは自分には関係ない、むしろ関わりたくないからです。職場で働くメンバーには結局のところ、心の奥底では無関心ではないでしょうか?うわべは関心があるように装うことには長けている上司もあなたの職場にはいないでしょうか?

  このような人に限って、会社の備品を乱暴に扱ったり、ロッカーを乱暴に閉めたり、社用車に傷をつけても平気だったりと、自分のモノは大事に扱うくせに、他人のモノ(特に会社)となった瞬間に急に態度が変わるのです。そして、これが対象がモノから、人にも変わります。部下はモノではありません。

最後にもう一度、監督の言葉を繰り返します。

「日頃からグラウンドには敵はいない」と考えています。

「日頃から職場には敵はいない」と置き換えれば、 職場で仲間に関心をもつことの大切さ、甲子園での出来事からもう一度考えてみたいものです。

  あなたは、本当に何か困ったときに、手を差し伸べることができますか?
職場の環境やと働く仲間に無関心。 無関心が、やがて無視につながり、
結果、起きるハラスメント問題。
  働き方改革で真っ先に削るものは、「部下とのコミュニケーション」言っている上司もいる昨今。

あなたは、職場でフェアプレーしてますか?

ハラスメント研修企画会議 主宰 藤山晴久

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。立教大学経済学部卒。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を実施してきた。