家事シェアも職場のコミュニケーションも うまくいく「3つのコツ」とは

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職場でもありがちな、家事シェアの「もやもや」

先日、愛媛県が発行している「これからの家事シェアスタイルブック」という冊子を目にする機会がありました。これからは、夫婦で家事を「分担」するのではなくて「シェア」する時代。

この冊子では、日常にありがちな家事の「もやもや」を解消し、おもに夫婦でシェアするためのヒントが掲載されています。

今回、なぜこの冊子を取り上げたのか?
紹介されている家庭の「もやもや」は、職場でも当てはまるからです。
これからは、家事も仕事も「分担」するだけではなくて、「シェア」することが必要になります。「分担」するだけでは、誰か1人が仕事を抱え込み、「その人がいないと回らない」という状況になりかねません。しかし、「シェア」していれば、ほかの人が対応することができます。

ところが、家事も仕事も

「期待した通りのことをしてくれない」
「せっかくやったのに、ダメ出しをされる」など、

誰かとシェアしようとすると、行き違いが生まれやすくなります。このような行き違いによる「もやもや」を解消し、どうすれば気持ちよく家事や仕事をシェアすることができるのか。
3つのポイントに絞って考えます。

指示は、わかりやすく具体的に

「買い物を頼んだら、想定外のものを買ってくる。」

これは、「これからの家事シェアスタイルブック」に載っている事例です。

「牛乳買ってきて」

と頼んだら、夫が普段家で飲んでいるのと違う銘柄の牛乳を買ってくるといったケースですね。

妻にしてみれば、
「いつも飲んでいるんだから、わざわざ言わなくてもわかるはず」
と思うでしょうし、

夫にしてみれば、
「銘柄を指定してくれないとわからないよ」
と言いたくなりますよね。

この場合、どうすればうまくシェアすることができるのでしょうか。

冊子に載っているアドバイスは、「買い物の内容を具体的に伝える」というもの。牛乳なら銘柄を指定したり、「特濃とか低脂肪とかではないもの。1ℓ230円以内で」と価格帯を伝えたりします。

「説明が難しいときは、写真を送るのも効果的」で、頼まれた側に対しては、指定のものがないときは相談するといい、とアドバイスをしています。

「そこまでしなきゃいけないの?」

と思う人がいるかもしれませんね。しかし、行き違いを防ぐためには必要なことです。これは、職場の上司と部下の関係でも同じです。指示する側は、
「わざわざ説明しなくても、これくらいわかるだろう」
という目論見は捨てましょう。誰にでもわかるように具体的な言葉で伝え合うことは、職場におけるコミュニケーションの基本といえます。
言葉だけでは伝わりにくい場合は、写真や動画を共有してもいいと思います。

仕事を任せたら「ダメ出し」はしない

「『あなたが洗うと二度手間だ』なんて言われたら落ち込む…。」

冊子には、こんな事例も載っています。せっかく食器を洗ったのに、
パートナーに
「二度手間だ」

などと言われたら、

「だったらもうやらないよ」 とやる気を失ってしまいますよね。

とはいえ、せっかく洗ってくれても汚れや洗剤が残っていたり、シンク周りが水浸しになっていたりすれば、あとでやり直さなければならず、確かに二度手間になってしまいます。

冊子には、食器の洗い方について「双方が納得できる着地点を共有する」というアドバイスが紹介されています。
確かに、家事に「正解」はなく、「どこまできれいにしたいか」という基準は人によって異なります。
「洗剤を使うか使わないか」
「布巾で拭くか、自然乾燥か」
などの手順をすり合わせ、お互いの着地点を共有することで、行き違いを防ぐことができます。

その上で、「任せると決めたら、ダメ出しはしない」ということも重要だと私は思います。たとえば、職場で上司に

「任せるよ」

と言われて取り組んでいる仕事に、途中であれこれ口を出されたり、あとからダメ出しをされたりしたら、やる気が失せてしまいますよね。

ある人が、上司に任された仕事を仕上げて提出したら、何度もダメ出しをされて、上司が気に入るものができるまでやり直しをさせられたそうです。

「これでは、上司の答え合わせをさせられているようなもの」

と彼はこぼしていましたが、それではモチベーションは上がりませんし、クリエイティビティは発揮されないでしょう。

ネガティブなフィードバックは「その場で、短く」

(料理を)「作ってと言うから作っているのにあれこれ文句を言われる。」

料理を作ってもらっておきながら文句を言うなんて、とんでもないと思いますが、まだまだこういう夫がいるのが現実です。しかも、多くの場合は悪気はなく、

「もっと料理がうまくなるように、オレが言ってやらないと」

と使命感を抱いていたりするんですよね。

ちなみに、冊子では、

「『どうしたらおいしくなるか』提案してもらう」

というアドバイスが紹介されています。確かに、家庭でも職場でも、よりよいものを作るためにはフィードバックは必要です。ただし、相手に「文句」や「ダメ出し」と受け取られてしまっては意味がありません。どうすれば適切なフィードバックができるのでしょうか。

まず、ポジティブなフィードバックは、その都度、気軽に声をかけるのがポイントです。
簡単なことのようですが、「気軽にほめること」が苦手な上司は意外と多いです。
「機会があったらほめてやろう」
などと思っているうちに忘れてしまって、気づくとダメ出しばかりしている…という人、いますよね。

「助かったよ」
「いいアイディアだね」
「がんばっているね」

など、思いついたらその場で伝えるのがいちばんです。

ネガティブなフィードバックも、「その場で短く」伝えるのがポイントです。時間がたってからくどくどと言われても、心に響きませんよね。注意やダメ出しは、つい話が長くなりがちですが、できるだけ短く伝え、引きずらないようにしましょう。
ネガティブなフィードバックをした後は、その場で

「おつかれさま」
「がんばったね」
とフォローすることも大切です。

こうして考えてみると、家庭でも職場でも、仕事をシェアする上で大切なのは「言葉によるよく考えるコミュニケーション」だということがわかります。

・指示は、わかりやすく具体的に
・仕事を任せたら「ダメ出し」はしない
・ネガティブなフィードバックは「その場で、短く」

家庭でも職場でも、コミュニケーションを円滑にするための3つのポイントを、ぜひみなさんも意識してみてください。