月別アーカイブ: 2025年11月

「100万回死んだねこ」で本を探したら、図書館員に笑われた話 ― その裏にある、職場の”あるある”問題

「すみません、『100万回死んだねこ』ってありますか?」
図書館のカウンターで、そう尋ねた利用者がいたそうです。
正しくは『100万回生きたねこ』。
でも、この”覚え違い”、めちゃくちゃわかりませんか?

福井県立図書館が記録した「覚え違いタイトル集」が最高すぎる

『100万回 死んだねこ 覚え違いタイトル集』(福井県立図書館 編/講談社文庫)


この本、図書館カウンターで日々繰り広げられる”うろ覚えタイトル”との格闘を、愛情込めてまとめたものなんです。

他にも:
• 『おい桐島、お前部活やめるのか?』→ 正解:『桐島、部活やめるってよ』
• 『渋谷に朝帰り』→ 正解:『渋谷に里帰り』

どれも惜しい! けど、なんかわかる!(笑)

福井県立図書館の職員さんたちは、こうした覚え違いを「おもっしぇー!」
(福井弁で”おもしろい”)と笑いながら、丁寧に対応してきたそうです。

バカにするでもなく、見下すでもなく。ただ一緒に笑って、正解にたどり着く。
この姿勢、実は職場の人間関係にめちゃくちゃ必要なやつじゃないですか?

「思い込み」は、誰にでもある

タイトルの覚え違いも、仕事での勘違いも、根っこは同じ。

人は誰しも、自分では気づかない”思い込み”をしてしまう生き物なんです。

心理学では、これを「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」と呼びます。

「こうに決まってる」「普通はこうだ」――そんな無意識の決めつけが、人間関係のすれ違いや、ハラスメントの引き金になってしまうんです。

職場に潜む”思い込み”、あなたも言ってない?

たとえば、こんなセリフ。

• 「電話は若手が真っ先にとるべき」
• 「雑用や飲み会の幹事は、若手の仕事」
• 「子育て中の社員には、海外出張は任せられない」

悪気はないんです。それぞれに理由もある。

でも、この“決めつけ”が積み重なると、相手を傷つけたり、組織の活力を奪ったりするんですよね。

無意識の思い込み、4つのパターン


私の経験上、職場でトラブルを生む「思い込み」には、だいたい4つのパターンがあります

「普通はこうだ」「当たり前だ」 ― 価値観の決めつけ

「どうせできない」「無理だろう」 ― 能力への決めつけ

「そんなはずはない」 ― 解釈の決めつけ

「こうあるべき」 ― 理想の決めつけ

こうした決めつけが重なると、知らず知らずのうちに相手の可能性を狭めてしまうんです。

正解にたどり着くには、”対話”しかない

福井県立図書館の職員さんたちが素晴らしいのは、覚え違いを笑い飛ばすだけじゃなく、「丁寧な対話」を通じて正解を導き出していること。

「『100万回死んだねこ』という本ありますか?」と聞かれたら

「著者はわかりますか?」

「どこで知りましたか?」

「どんな内容でしたか?」

そうやって、少しずつ“本当に探している本”にたどり着く

これ、職場でも全く同じじゃないですか?

「子育て中の社員に海外出張は無理だろう」と決めつける前に、
「出張について、どう考えてる?」と聞いてみる。

すると

• 「今は難しいです」と答える人もいれば、
• 「家族の協力体制が整っているから問題ありません」と言う人もいる。

人の事情も考え方も、聞いてみなければわからないんです。

“思い込み”を責めるんじゃなくて、気づくこと

アンコンシャス・バイアスは、誰にでもあります。

それを”悪”と決めつけるんじゃなくて、
「自分の中にも思い込みがあるかもしれない」と気づくことが大切。

相手との対話の中で、自分の思い込みに気づき、
「あ、そう考える人もいるんだ」と受け止める。

その姿勢こそ、ハラスメントを減らし、職場の信頼関係を強くする第一歩だと思います。

“おもっしぇー”心を、職場にも

覚え違いを「おもっしぇー」と笑いながら、そこに人間の温かさを見いだす。

バカにしない。見下さない。一緒に笑って、正解を探す。

人は思い込みを持つ生き物。
だからこそ、笑いながら、学びながら、互いに理解し合う。

その積み重ねが、信頼と安心の職場文化をつくっていくんだと思います。


本書の最後には、こんな一文。

そして、今回ご紹介した本を探すときはぜひご注意を。
「『100万回死んだねこ』ありますか?」と聞くと、児童書コーナーに案内されるかもしれません。

私も気を付けたいと思います。

なぜ若手社員は上司への不満を「パワハラ」という言葉で訴えるのか? ―文化庁による調査が明かす、世代間の〝言葉ギャップ〟

「ちょっと注意しただけでパワハラ」は本当か?

「最近の若手は、少し厳しく言うとすぐ『パワハラですよ』と反論してくる」
こんな嘆きを、管理職の方々から頻繁に耳にします。一方で、若手社員は「上司の指導のしかたに問題がある」と感じている。この“感じ方の差”が、現場の摩擦を大きくしているのは間違いありません。このような溝は、なぜ生まれるのでしょうか。

文化庁が実施した、令和6年度「国語に関する世論調査」から、興味深い事実が浮かび上がってきました。若手が「パワハラ」という言葉を使う背景には、言葉に対する感覚そのものが世代によって大きく異なるという構造があったのです。

データが示す若手世代の言葉感覚

文化庁の調査では、「SNSの普及によって、社会で使われる文字や語句、また、社会における言葉の使い方に影響があると思いますか」という問いに、約9割の人が「影響があると思う」と答えています。

その中でも私が注目したのは、20代の人の言葉への意識です。
「誤解を招くような言葉がよく使われている」と答えた人は、全体で49.3%だったのに対して、20代では63.2%。また、「相手の立場を考えないやり取りがよく行われている」と答えた人は、全体で57.3%、20代では65.0%にのぼります。

「あなたがSNSを利用するとしたら、そこでのコミュニケーションの質を高めるために、あなたはどのような点に気を付けたいと思いますか」という問いへの回答にも、20代の意識の高さは表れています。

「誤解を招くような言葉を使わない」と答えた人が全体で67.3%だったのに対して、20代は74.4%。
「発信する前に十分に内容を吟味する」は、全体で62.9%、20代は67.1%。
「相手の立場に立ってやり取りする」は、全体で58.9%、20代は65.0%。

つまり、20代の若手世代は、言葉の「正確性」「吟味」「配慮」を極めて重視していることがわかります。

上司世代との決定的な認識ギャップ

さらに興味深いのは、世代によって「SNSの普及が、社会における言葉の使い方に及ぼす影響」の捉え方が異なることです。

例えば、60代、70代では76%以上の人が「短い言葉でのやり取りが増える」と回答していますが、若手世代は、既にSNSでの短文コミュニケーションに慣れています。20代以下の人の半数以上が「書くときも話し言葉のような言葉遣いが増える」と回答していることからもわかるように、カジュアルな言葉遣いは、既に標準になっています。

60代、70代の約50%は、「年齢や立場などを気にしない言葉遣いが増える」と回答していますが、20代はその半分の24.9%に過ぎません。上司世代には「礼儀がなっていない」と映る言葉遣いが、若手にとっては「フラット」で当たり前のコミュニケーションスタイルなのです。世代間に言葉に対する認識のギャップがあるのは、無理もないといえるでしょう。
「上司世代には若手の言葉遣いが礼儀を欠いているように見え、若手世代には上司の言葉が配慮に欠けているように見える――この認識のズレが、職場の誤解を生んでいます。」

「雑な指導」が許せない本当の理由

では、なぜ若手社員は、上司の指導を「パワハラ」と感じるのでしょうか。

今の20代の人たちは、学校教育やSNSの影響で『相手を尊重するコミュニケーション』を意識する機会が多い世代です。
この調査からもわかるように、SNSを利用する際は、「よく吟味して」、「誤解を招く言葉を避け」、「相手の立場を考える」ことを心がけています。

ところが、50代、60代の上司には「昔ながらの叱り方」をする人たちが少なくありません。若手社員にとって、上司の旧態依然の指導は次のように受け取れるのです。

説明不足で感情的な叱責 = 「十分に吟味されていない言葉」
一方的な決めつけ = 「誤解を招く言葉」
背景を聞かずに叱る = 「相手の立場を考えないやり取り」

これらはすべて、SNSで自分たちが「問題だ」と認識している言葉の使い方そのものです。

20代の会社員と話していると、彼らはよくこう言います。「上司から叱られたくないわけではありません」と。むしろ「成果のために必要な指摘は受けたい」。ただ、「叱られ慣れていないので、メンタル耐性が弱い」と自覚しつつ、「雑な指導」を受け入れることができないのです。

「パワハラですよ」は反発ではなく、訴え!?

上司の「昔ながらの叱り方」——大声で叱る、人前で叱るといった言動は、若手社員には、「攻撃的で配慮に欠ける、不適切なコミュニケーション」と映っているのではないでしょうか?
「パワハラですよ」という言葉は、単なる反発ではありません。「この指導は不適切です」という訴えなのです。

調査では、「SNSによるコミュニケーションの質を社会全体で高めていく上での課題」として、全体の62.7%が「人を傷つけたり挑発したりするような言葉がよく使われている」ことを挙げています。特に20代は74.4%、30代は73.0%にのぼります。ここから推測できることは、この世代の人たちは、SNSで自分たちが気をつけている言葉の配慮を、職場でも同じように求めていると私は思います。

若手社員は「叱られたくない」のではない

若手社員は「叱られたくない」のではなく、「雑に扱われたくない」のです。SNS時代を生きる若手世代にとって、「吟味」「配慮」「正確さ」は、言葉を使う上で当然の基準です。一方、上司世代では、「言いたいことを言う」「思ったことを伝える」ことが優先されてきました。

この基準の違いを理解せず、「最近の若者は打たれ弱い」「すぐパワハラと言う」と片付けてしまえば、溝は深まるばかりです。

指導者に求められる「アップデート」とは

では、「パワハラ」と訴えられないようにするには、どうすればいいのでしょうか。
答えは、「若手世代が自分たちに課している基準を、上司自身もクリアすること」です。

具体的には、次のことを実践します。

1.「発信する前に十分に吟味する」
叱る前にいったん立ち止まり、自分が感情的になっていないか確認します。AIに壁打ちしてから指導するのも有効です。

2.「誤解を招く言葉を使わない」
「ちゃんとやれ」「しっかりしろ」といった曖昧な表現を避け、具体的に何がどう問題なのかをわかりやすく伝えます。

3.「相手の立場に立ってやり取りする」
例えば部下がミスをしたときは、なぜそのミスが起きたのか、背景や事情を聞きます。「困る部下は、困っている部下」という視点を持ちましょう。

4.「存在を認めて、行動を正す」
「よく頑張っているね」と相手を認めた上で、「ここは変えていこう」と伝えます。人格ではなく行動にフォーカスし、次の具体行動を一緒に決める。

求められているのは、指導する側の「アップデート」です。言葉の基準が変わったことを認識し、若手世代が当たり前だと思っている配慮を、上司自身も実践する。それが、パワハラと言われない指導への第一歩なのです。

パワハラ上司は野菜不足!?

 最近、おもしろい本を読みました。内藤誼人さんの『世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100』という本です。スタンフォード、ハーバード、イェールといった大学の心理学研究をわかりやすくまとめた一冊で、人を理解するうえで、非常に参考になる内容です。

その中で、特に印象に残った研究があります。 それは、「キレやすいのは栄養不足が原因」というものです。

栄養が足りないと、人は攻撃的になる?

 イギリス・サリー大学の研究者ベルナルド・ゲッシュ氏が行なった実験があります。囚人231人を2つのグループに分け、半数には栄養バランスのとれたサプリメントを、もう半数には「サプリメント」と偽って、何の栄養もない錠剤を142日間飲んでもらいました。

すると驚くべきことに、栄養を補ったグループでは「暴力」や「命令への不服従」といった行動が35.1%減少したのです。一方、栄養を補わなかったグループでは、わずか6.7%しか減らなかったそうです。

つまり、きちんと栄養をとることで、人の気持ちは穏やかになるということ。 逆に、栄養が不足していると、イライラしたり、攻撃的になったりする可能性があるということです。

「パワハラ上司」が生まれる理由は食生活の乱れ!?

  私たちの会社でも、ハラスメント研修を行う中で、「なぜ人は他人にきつく当たってしまうのか」という根本的なテーマをよく話します。 もちろん、その方の性格も関係しますが、一方で、「食生活の乱れ」が潜んでいるかもしれません。

 「なんだか最近イライラするな」と感じたとき、あなたはどうしていますか? 原因を部下や職場のせいにする前に、まずは「自分の栄養状態を見直す」ことも大切です。ビタミンやミネラルを含む野菜や果物をしっかり摂ることで、思考が穏やかになり、人への対応に余裕が生まれるようなんです。

イライラしている人ほど、野菜を食べない

  書籍によると、おもしろいことに、コーネル大学とリーズ大学の研究では、ストレスが多い人ほど野菜やフルーツの摂取量が少ないという結果も出ています。
つまり、イライラしているときほど、つい甘いものや脂っこい食事に手を伸ばしてしまう。けれど、それがまた心を不安定にして、イライラしやすくなる。まさに悪循環です。

「じゃあ、何を食べればいいの?」

 栄養に関する情報はたくさんありますが、研究で効果が確認されているのは、ビタミンやミネラルなどの栄養素です。特に以下のような食材を意識して摂ることがおすすめです。
 

◎ 緑黄色野菜 ほうれん草、ブロッコリー、にんじんなど。ビタミンB群やマグネシウムが豊富で、神経の働きを整えてくれます。

◎ 果物 バナナ、りんご、ベリー類など。ビタミンCやカリウムが、ストレス対策に役立ちます。
◎ ナッツ類 アーモンドやくるみ。マグネシウムや良質な脂質が心を落ち着かせます。
◎ 青魚 サバ、イワシなど。オメガ3脂肪酸が脳の健康をサポートします。

忙しい人でもできる工夫 「毎日バランスよく料理するのは難しい…」という方も多いでしょう。

そんなときは、
• コンビニのサラダやカット野菜を活用する

• 果物は、なるべくそのまま食べる
 (スムージーよりも糖質が少ない)

• ランチに定食を選んで、小鉢を一品増やす

といった小さな工夫から始めてみてください。

栄養は「人間関係の土台」

 人間関係のトラブルやハラスメントの背景には、心理的・社会的要因だけでなく、身体的な要因も疑ってみてはいかがでしょう?「心と体はつながっている」という言葉は、まさにその通りですから。

社員のメンタルケアを考えるうえでも、食事や睡眠、運動といった「生活習慣の土台」を整えることは、非常に重要です。

もし、あなたの周りに、いつもピリピリしている上司や同僚がいたら、、、、
もしかしたら、「野菜が足りない」のかもしれません。

ピリピリしても、いなくても、健康の為に、あなたも 明日から試してみませんか?


世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100 総合法制出版 著 内藤 誼人 

2021年9月21日出版 是非、お読みください!!