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「任せない上司」が、組織を壊す。ホワイトハラスメントの本当の正体

クリーンな職場の、静かな異変

「また、新しい言葉が増えたのか」

ネットで見かけた「ホワイトハラスメント」という文字に、
私は一瞬、ノートパソコンを閉じそうになりました。
ハラスメントのインフレ。
そんな言葉が浮かぶほど、今の世の中はレッテル貼りに
躍起になっているように見えたからです。

けれど、読み進めるうちに、心のどこかにあった違和感の正体が
形を成していくのを感じました。
それは、「良かれと思って言わないこと」が、実は相手のためではなく、
自分を守るための壁になっていないか、という問いです。
過剰な遠慮が成長を阻み、関わらないことが孤立を生む。

「何を言うか」と同じくらい、「何を言わないか」が組織の体温を
奪っているのではないか。

いや、でも、本当に問題はそこにあるのか?

皆さんと一緒にこの問題を考えたく、再びパソコンに向き合いました。
それを確かめるために、まずこの数字を見てください。

中途入社1年以内の社員の56.9%がこの言葉を認知し、13.6%が実際に経験しています。さらに、その経験者の71.4%が「1年以内に転職したい」と回答しています。
出典:マイナビ「中途入社1年以内の社員に聞いた”ホワイトハラスメント”に関する調査」(2026年4月9日発表、n=1,446名)

これは単なる「優しすぎる職場」の問題ではありません。仕組みの問題です。

「優しいのに苦しい」―これは異常事態です

その「配慮」、本当に相手のためになっていますか

現場で語られている声を見てください。

「先輩が先回りして全部やってしまう」
「責任のある仕事を任せてもらえない」
「仕事が途中でも定時だから帰らされる」

これらはすべて、”配慮”として行われています。
しかし、受け取る側が感じているのは安心ではありません。
自分が必要とされていない感覚です。

ダンベルを取り上げて、何が育つのか

人は、適切な負荷の中でしか成長しません。
筋肉と同じで、壊れない程度の重みがなければ強くなりません。
ホワイトハラスメントとは、部下からダンベルを取り上げ、
「無理しなくていいよ」と言いながら、成長の機会そのものを奪う行為です。
これは優しさではありません。時間差で効いてくるキャリアの破壊です。
みんな正しい。でも、何かが足りない。

語られている。でも、届いていない。

  この問題は、すでにネット上でも議論されています。
現場の声とネット上の議論を4つに類型化すると、以下のようになります。

若手の声:
「このままで大丈夫か」
「怒られないが、正解も教えてもらえない」
「責任ある仕事を任せてもらえない」
「市場価値が上がらない気がする」
“ぬるさ”そのものが、不安になっています。

上司の声:
「何を言ってもリスクになる」
「指導したらパワハラと言われそう」
「言葉選びに疲れた」
「関わらない方が安全」
関与しないことが最適解になっています。

ネット世論:
「甘えではないか」
「贅沢な悩み」
「昔はもっと厳しかった」
「ホワイトの履き違え」
世代論・価値観論に矮小化されています。

専門家の見解:
「心理的安全性の誤解」
「ぬるま湯ではない」
「フィードバック不足」
「評価基準の曖昧さ」
優しさと放任が混同されています。

しかし、それでも何かが決定的に足りないような気がします。
すべて”現象”の説明で止まっているからです。

問題は「優しさ」ではありません

「自己保身」論の限界

よく言われるように、これは「優しすぎる問題」でもあり、
上司の「自己保身」の問題でもあります。確かにそれは正しいです。
しかし、それでもまだ浅いと言えます。

取り違えているのは「責任」の定義です。
本当の問題は、「責任とは何か」を取り違えていることです。

その「報告」、上司は安心できていますか?

「責任を取る」は、実は成立しない
多くの管理職がこう言います。「私が責任を取ります」と。
その言葉には、チームを守ろうとする誠実な気持ちがあります。
それ自体は、大切なことです。

ただ、構造的に見ると少し違う側面があります。
本来の意味での「責任を取る」とは、損失を自分で被ることです。
株式会社という仕組みにおいて、それができるのは株主と投資家だけです。
経営者も管理職も、現場の社員も、損失そのものを引き受けることはできません。
つまり、私たちにできるのは
「責任を取ること」ではなく、
「責任を果たすこと」です。
この違いは、小さいようで決定的です。

2種類の「果たす責任」、あなたはどちらを果たしていますか

「果たす責任」には、2種類あります。
一つ目は、自分に課された仕事をやり遂げること。
役職も年次も関係ありません。これは働くすべての人間が負う、
最低限の責任です。

二つ目が、任された仕事について「上司が安心できる状態を作る」こと。
これをアカウンタビリティといいます。

報連相とアカウンタビリティ、ゴールが違うと気づいていますか?
報連相は、「正しく伝える手段」を教えてくれます。
いつ、何を、どう伝えるか。それ自体はとても大切なことです。

でも、アカウンタビリティが問うのは、その先です。
「伝えた結果、相手は安心できているか」。
手段を守ることと、結果を出すことは、同じではありません。
「一応、報告はしました」
「送りました、伝えました」

それは伝えただけです。

上司がしっかりと受け取ったことを確認して、上司が安心した状態でなければ、
その仕事はまだ終わったとはいえないのです。
報連相は「正しく伝える」。アカウンタビリティは「安心できる状態を作る」
この違いは、小さいようで決定的です。

「任せる・任される」の本質

 「任せる」とは、仕事を渡して終わりにすることではありません。
上司にとって「任せる」とは、部下に仕事を預けることだけではありません。
部下が安心して仕事ができる状態をつくることです。
部下にとって「任される」とは、単に仕事を受けることではありません。
報告とともに、上司が常に安心できる状態を上司に返すことです。
これが、心理的安全の本質です。
つまり、安全な職場とは、上司と部下が一緒につくる環境のことです。

部下は、失敗も成功も隠さず、情報を上げます。
上司は、事実をありのままに受け止めます。
たとえマイナスの情報であっても、人格を否定することはありません。
その安心があるから、情報は正しく流れます。

責任の連鎖が、組織を動かす

  ホワイトハラスメントは、この「任せる・任される」の本質が
互いにわかっていないところから生まれます。
本来、責任の連鎖はこう機能しています。
上司が任せる→部下がアカウンタビリティを果たす→上司が安心できる→
さらに任せる。この循環が、組織を動かしています。

しかし、任せなければその連鎖は最初の段階で止まります。
任せない→部下がアカウンタビリティを果たせない。
負荷をかけない→成長が止まる。
任せないから、正しい情報も上がらない。

見方によっては、アカウンタビリティを果たす機会そのものを
奪っているとも言えます。その結果、責任の連鎖が断ち切られます。

ホワイトハラスメントとは、責任関係の崩壊です。

信頼は「覚悟」でしか生まれない
部下が見ているのは、優しさではないとしたら?

もちろん、任せることには怖さが伴います。失敗させるリスクもあります。
だからこそ、多くの上司が無意識にブレーキをかけます。
しかし、部下が見ているのは優しさではありません。
任せてもらえるかどうかです。

任せない上司は、こういうメッセージを発しています。

「お前にはまだ無理だ」

「私は責任を負いたくない」

この二つは、必ず伝わります。その瞬間、上司はどう見えるか。
覚悟がない。
信頼できない。
プロとして見られない。

そして最後に、静かに去っていきます。

甘さではなく、責任の関係へ

ホワイトハラスメントは、新しい問題ではありません。
もちろん、すべての上司がそうだと言いたいわけではありません。
しかし、この傾向が広がっているのは事実です。
ホワイトハラスメントは、新しいハラスメントではありません。
責任を果たす関係が崩れた結果です。

本来の組織とは何か?
本来の組織とは、必要な指摘ができる、任せることができる、情報が正しく
流れるそんな「責任の連鎖」が機能している状態です。
そこでは、厳しさは暴力やパワハラではありません。機能です。
必要なのは、責任を果たす覚悟です

甘い関係は、もう終わりにしましょう。
必要なのは優しさではありません。
信頼でもありません。責任を果たす覚悟です。
任せるとは、丸投げではないです。責任を分解し、見える形にして渡す。
そして、互いに共有することです。
上司には、任せる覚悟が必要です。
部下には、任された責任を果たす覚悟が必要です。

どちらか一方では、成立しません。
その双方向の関係が機能してはじめて、職場は本当の意味で安全になります。
正しい情報が流れ、人が育ち、組織が動きます。

ホワイトハラスメントに悩んでいる方へ。
問題はあなたの感受性が強すぎるのでも、職場が優しすぎるのでもありません。
「任せる・任される」という関係の本質が、まだ共有されていないだけです。

それは、変えられます。

この記事を書いた人

藤山 晴久

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ハラスメントは、特定の個人だけの問題ではありません。
社会の変化、世代間の違い、そして組織の文化の中で生まれるものです。
このブログでは、社会・組織・個人という三つの視点から、ハラスメントの背景や構造について考えています。
職場には、「わかっているはず」という思い込みや、
言葉にしなくても伝わるはずだという空気があります。
しかし、ときにそれは人を追い詰める
「以心伝心の暴力」 になることもあります。
このブログでは、そんな職場にある“見えにくいズレ”をほどきながら、
よりよい対話と関係を生み出すヒントを発信していきます。
職場の「わかっているはず」を、言葉に変える。

そんな思いで、このブログを書いています。

#ホワイトハラスメント
#パワハラ
#責任
#部下指導
#育成

なぜ、上司の指示は「占い」みたいになるのか?

占いの言葉は、なぜ自分に当たっているように感じるのか

占い師に占ってもらうと、こんな言葉を耳にします。

「流れは悪くないですね」
「動くと運気が開けます」
「これからチャンスが来ますよ」

聞いていると前向きな気持ちになります。
ただ、よく考えるとかなり抽象的です。

「流れがいい」と言われても、何をすればいいのかは曖昧な表現がある。
「チャンスが来る」と言われても、具体的な行動は示されていない。

それでも、多くの人は「当たっている」と感じます。

なぜでしょうか。

占いの言葉が当たっているように感じるのは、
多くの場合、言葉がとても抽象的な側面があると私は思います。

「変化の年です」
「流れが来ています」
「動くと運気が開けます」

こうした言葉は、どんな状況にも当てはめることができます。

転職を考えている人には転職のチャンスに聞こえる。
恋愛中の人には恋愛の進展に聞こえる。
何もなければ「これから起きる出来事」にもできます。

つまり、聞いた人が意味を補ってその意味を自分で完成させる言葉なのです。

タロット占いも同じです。

カードが出たとしても、それ自体が答えではありません。
カードの意味をどう読み解くかは、占い師の解釈に委ねられています。

カードはヒント。
意味を完成させるのは人間です。

職場にも、占いみたいな指示がある

実は、職場にも似たことが起きています。

職場には、占いみたいな指示があります。

「方向性はいいと思う」
「もう少し詰めてみて」
「一回整理してみて」
「その方向で進めて」

言っている意味は、なんとなく分かる。
でも、何をすればいいのかは、はっきりしない。

そんな経験、ありませんか。

「もう少し詰めてみて」の正体

例えば、こんな場面です。

上司
「方向性はいいね。もう少し詰めてみて」

部下
(何を詰めればいいんだろう……)

資料を増やす。
説明を足す。
データを追加する。

そして再び上司のところへ持っていくと、こう言われます。

「うん、悪くないけど、もう少し詰めてみて」

……さっきも同じことを言われた気がします。

結局、部下は自分で考えるしかありません。

何を直せばいいのか。
どこまでやればいいのか。
どの程度が完成なのか。

つまり、上司の言葉を解釈して動くしかないのです。

実は、部下が占いを解読している

ここで気づくことがあります。

上司が占いをしているわけではありません。

部下が、上司の言葉を占いのように読み解いているのです。

「もう少し詰めてみて」と言われれば、
部下は自分なりに意味を考えます。

資料を増やすのか。
データを追加するのか。
説明を整理するのか。

どれも正解になり得ます。

もし結果が良ければ、
「だから言っただろう」となる。

もし結果が悪ければ、
「やり方が違う」となる。

言葉が抽象的であるほど、後から意味を調整できます。

なぜ上司の言葉は占いみたいになるのか

では、なぜこういう言葉が職場で生まれるのでしょうか。

一つは、仕事の複雑さです。

仕事には必ずしも正解が一つあるわけではありません。
状況も変わるし、結果も予測しきれない。

だから「細かく説明するより、方向だけ示す」というコミュニケーションが生まれます。

もう一つは、組織文化。

かつての日本の職場には「察する文化」がありました。

上司がすべてを説明するわけではない。
部下は上司の意図を読み取りながら動く。

いわゆる「以心伝心」や「背中を見て学べ」という世界です。

さらに、日本語そのものも影響しています。

日本語には、状態を表す言葉が多くあります。

「ちゃんと」
「しっかり」
「いい感じに」
「もう少し」

どれも意味は分かるのに、具体的な行動は書かれていません。

こうした言葉は、方向は示しますが、行動は示しません。

だから受け手は、自分で意味を補うことになります。

そこに圧力が加わると、問題になる。

ただし、ここに圧力が加わると、話は少し変わってきます。

「なぜ俺が言っている方向に動かないんだ」
「なぜお前はその通りに行動しないんだ」
「なんで分からないんだ」

抽象的な指示なのに、従わないことを責められる。

こうなると、受け手は強いプレッシャーを感じます。
そして時には、パワハラのような問題が起きることもあります。

もし占い師がこう言ったら

ここで少し想像してみてください。

もし占い師がこう言い始めたらどうでしょう。

「なぜ私が言った通りに動かないんですか」
「なぜ運気が良くなることを信じないんですか」
「だからあなたはうまくいかないんです」

少しおかしいですよね。

占いはあくまでアドバイスのはずです。
それなのに、信じないことを責められたり、圧力をかけられたりしたら、違和感があります。

しかも、占いの場合はお金を払っています。
それなのに、なぜ圧力まで受けなければいけないのか。

それでは本末転倒です。

占いは未来を当てるもの、指示は人を動かすもの

もちろん、すべての抽象的な言葉が悪いわけではありません。
仕事には、あえて余白を残すことが必要な場面もあります。

ただ、少なくとも一つ言えることがあります。

占いは未来を当てるものです。
しかし仕事の指示は、未来を当てるためのものではありません。

人を動かすためのものです。

もし部下が迷っているとしたら、それは努力が足りないのではなく、
もしかすると指示が「占い」になっているのかもしれません。

ちなみに

誤解のないように言っておくと、私は占いが嫌いではありません。
むしろ、占いは面白いと思っています。

ただ、上司の指示が占いみたいになると、正直困ります。
あなたの部下が、曖昧な言葉に不満が鬱積して、静かに気持ちが
離れていくことの方が心配だからなのです。
あらためて、言葉を大切にしたいものです。

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この記事を書いた人

藤山 晴久

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

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#上司の指示曖昧なコミュニケーション
#職場のすれ違い
#マネジメント課題
#パワハラ予防


見えているつもりが、一番見えていない ― 上司は知らない。部下が本当に思っていること。精神科医の本から見えた、いまのマネジメントの盲点

先日、精神科医のさわさんが書かれた『子どもが本当に思っていること』(日本実業出版社)という本を読みました。

さわさんのクリニックには、学校に行けなくなった子どもを持つ親や、リストカットを繰り返す若い人など、さまざまな悩みを抱えた方が相談に訪れます。

著者ご自身も、母親との関係に悩み、離婚後はシングルマザーとして二人のお子さんを育ててこられました。長女の不登校に悩んだ時期もあったといいます。

この本を読んで、私は「これは親子関係の話であると同時に、職場の上司と部下の関係そのものだ」と感じたのです。

「失敗させない」ことが、必ずしも正解ではない

親は、「子どもに失敗させたくない」と思うあまり、交友関係に口を出したり、先回りしてレールを敷いたりしてしまいがちです。

しかし、親の役目は、子どもを失敗から遠ざけることではなく、「失敗をどう乗り越えるか」を支えることです。
これは、職場でもまったく同じです。部下が失敗しないように、細かく指示を出し、先回りして手を出す。私が部下に目をかけなければ、と。背景にはメサイアコンプレックス、つまり「自分が救わなければ」という過剰な使命感もあるのかもしれません。

そもそも、失敗とは何でしょうか。期待していた通りの結果が出なかったら、それは本当に「失敗」なのでしょうか。
受験に落ちたとき、親が「失敗だった」と決めつければ失敗になります。しかし、「ここまで努力した経験は必ず次に生きる」と捉えれば、それは単なる通過点です。

仕事でも同じです。
部下がミスをしたとき、

上司が
「いい経験をしたね」
「よくチャレンジした」

そう受け止められれば、それは失敗ではなく、成長の材料になります。

自分の価値観を、無自覚に押しつけていないか

さわさんは、娘さんが小さい頃、公文、ピアノ、バレエと、習い事でスケジュールを埋め尽くしていたそうです。それは、ご自身が子どもの頃に親にしてもらってきたことでした。親は、自分が育てられた価値観を、無意識のうちに子どもに重ねてしまいます。

上司も同じです。自分が受け継いできた価値観を「当たり前」と思い、部下にもそれを求めてしまう。その価値観が、今の時代や、その部下に本当に合っているかどうかを考えていなければ、それはただの押しつけになってしまいます。

「こうあるべきだ」と思ったときこそ、その価値観はどこから来たのか。今、目の前にいる相手に本当に必要なものは何か。一度、立ち止まって考えてみる必要があるのではないでしょうか。

「期待」は、ときに呪縛になる

さわさんは、子どもの頃、母親から

「あなたはもっとできるはず」

「もっとがんばりなさい」

と言われていたそうです。そのたびに、「がんばれない自分はダメなんだ」と自分を責めるようになりました。

母親は、「医師になりたかった」という自分の果たせなかった夢を、子どもに託していたのです。親の期待は、善意であっても、子どもにとっては重い呪縛になります。

上司と部下の関係も同じです。上司の理想を部下に背負わせるのではなく、本人がどうしたいのか、どうなりたいのか。そこに耳を傾けることが、今のマネジメントには求められています。

「期待」ではなく、「応援」を伝える

だからといって、「期待していない」と言えばいいわけではありません。大切なのは、「期待」ではなく「応援」です。

さわさんがアメリカに住んでいた頃、

“I’m proud of you.”

という言葉をよく耳にしたそうです。結果ではなく、努力や存在そのものを認める言葉。日本語にすると少し照れくさいですが、上司が部下に”I’m proud of you.”と自然に伝えられるといいのではないでしょうか。さんざん、あなたの職場でも、「相手を尊重しましょう」、「人権を大切に」と言われているわけですから。

上司は、自分の「夢」を語れているか

本書にも書かれていますが、人生に正解はありません。自分で選んだ道を、自分で正解にしていくしかないのです。

だからこそ、部下が上司に求めているのは、「こうあるべき」「こうあってほしい」という期待や押しつけではありません。「この人は、どんな思いで、この会社で働いているのか」それを知りたいのです。

研修で「あなたの夢は何ですか?」と聞くと、答えに詰まる管理職が少なくありません。

「頑張って部長になれればいいかな」

「部下と会社の成長が夢」

与えられた仕事を全うすることに慣れてしまい、会社での役割と本来の自分との区別がつかない人や、主語が自分ではなく、会社(他人)なのです。

「休みがホントに欲しいこと・・・・」

「NISAをやってみたい・・・・」

「しばらく、墓参り行けてないので・・・」

これは「夢」ではなく、「TO DOリスト」か、「日常の願望リスト」…
叶えたい夢を、語れない人が多い会社が実在するのです。

部下が、上司の何を知りたがっているか、ご存じでしょうか?
この上司は、この会社で何を(夢)叶えたいと思っているのか?

部下は知りたがっているんです。

「話しかけづらい上司。仕事で何が嬉しいのか?」

「残業ばかり。仕事のためだけに生きている!?」

夢を語れない上司がいる会社から、部下は去っていく
夢を語れない上司がいる会社から、部下は静かに去っていきます。
数字に追われるばかりのマネジメントがなされていては、現場の社員が憂鬱な顔になっても当然。

そんな上司のそんな姿を見ると、部下もあなたの子どもも、夢をなくしてしまう。
働くこと自体の魅力が薄れて、食べていければそれでいい、という価値観がまかり通ってしまう。
そんな会社の不都合に苛立ちを感じ、つまらないと感じる人は、退職していくか、海外に出ていってしまうかもしれません。

大きな声では言えませんが、離職のきっかけは、上司だったのです。

20代の社員は、上司の姿に10年後、20年後の自分を重ねています。だからこそ、上司は自分の言葉で、自分の夢や価値観を語ってほしいと私は思っています。

今、部下が上司に本当に思っていることです。

是非、本書を手に取ってください。

参考文献:『子どもが本当に思っていること』(精神科医さわ著、日本実業出版社)

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この記事を書いた人

藤山晴久
株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締役
ハラスメント研修プランナー/講師/産業カウンセラー
企業の管理職が「ハラスメントを恐れて部下指導ができない」という悩みを解決する研修を専門とする。
アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修の企画営業マネージャーとして、一部上場企業を中心にコンプライアンス研修、ハラスメント研修を企画。
2009年、株式会社インプレッション・ラーニングを設立。
企業研修プランナーとして、管理職向けハラスメント研修を中心に活動し、研修講師としても登壇。
年間約200件の研修を企画・実施し、これまで約30万人以上が受講。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ハラスメントは、特定の個人だけの問題ではありません。 
社会の変化、世代間の違い、そして組織の文化の中で生まれるものです。
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しかし、ときにそれは人を追い詰める
「以心伝心の暴力」 になることもあります。
このブログでは、そんな職場にある“見えにくいズレ”をほどきながら、

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職場の「わかっているはず」を、言葉に変える。
そんな思いで、このブログを書いています。

#上司
#マネジメント
#管理職

正しくても、人は壊れる ― 「カンニングを叱られた高校生に何が起きたのか? 職場にも通じる『指導の落とし穴』」

「指導死」という言葉を知っていますか?

学校などで教員による不適切な指導をきっかけに、子どもが命を絶つこと——それを「指導死」と呼びそうです。重いテーマですが、この問題は企業におけるハラスメント対策と同じ構造を持っています。だからこそ、取り上げたいと思います。

1年前、大阪の有名進学校で起きたこと

2025年5月、読売テレビが衝撃的な特集を放送しました。
「繰り返される〝指導死〟『卑怯者です』カンニングの指導後に息子は命を絶った…両親の叫びと現役教員の本音 生徒指導はどうあるべきか?」
取り上げられたのは、1年前に大阪の有名進学校で起きた事例です。定期テストでカンニングが発覚した男子高校生が、学校での指導直後に自ら命を絶ったのです。
両親によると、教員に促されて彼は「卑怯者です」と言わされたそうです。さらに、全科目0点、8日間の自宅謹慎、写経80巻などの処分が言い渡されました。
遺書にはこう綴られていました。
「死ぬという恐怖よりも、このまま周りから学校内から『卑怯者』と思われながら生きていく方が怖くなってきました」

「予測は困難だった」で済まされるのか

学校側が設置した第三者委員会は、「『卑怯者』という表現など、指導には問題がある」と指摘しました。しかし「自殺の原因とは認定できない」と結論付けています。
両親は「不適切な指導が原因で息子は自死した」として学校側を提訴。裁判は双方の主張が対立したまま、1年が過ぎています。
学校側の主張は、「同様の指導を受けた生徒が自死したことはなく、予測は困難だった」というものです。
わが子を亡くした両親が、それでも「指導は必要」だと声を振り絞る姿に胸が痛みます。両親が問いかけているのは、「指導のあり方」なのです。

「指導死」の疑い、過去33年間で97件

専門家らによる調査によると、「指導死」の疑いがある事例は1989年〜2022年で97件に上ります。
この事態を受け、文部科学省は2022年に生徒指導の手引き「生徒指導提要」を12年ぶりに改訂。「教職員による不適切な指導が、不登校や自殺のきっかけになる場合もある」ことが初めて明記されました。

教員たちの本音——アンケートから見えた「指導への不安」

教育現場では「適切な指導」のあり方をどう捉えているのか。番組取材班は関西の公立・私立高校5校の教員にアンケート調査を実施しました。一部をご紹介します。

回答者:27人(20代〜50代、教職員歴4年〜37年、男性24人・女性3人)

まず、「生徒指導で大切にしていること」「難しいと思うこと」について聞きました。


「起きた事案だけで判断せず、その行為に至った経緯や生育環境、最近の様子など、背景を把握したうえで必要な指導を行うよう心がけている」(50代男性)
「ルールとマナーを守ること。まじめに頑張っている生徒がおろそかにならないこと。世の中や学校のルールよりも、個性というわがままを押し通す大人が増えたこと」(50代男性)
「生徒が将来、社会で生きていくことができる力を身につけさせることを大切にしている。時代の変化もあり、社会や学校、生徒、保護者との関係をうまくつないでいくことに難しさを感じる」(30代男性)
「生徒、教師、保護者など関係するすべての人間が納得できる指導を心がけています。それぞれの立場や思いがあり、思うようにはならないこともある点が難しいです」(50代女性)


これらの回答からわかるのは、教員たちが生徒指導に大きな難しさを感じているということです。
特に目立つのが、「不安」「心配」という言葉です。それだけ自分の指導に自信が持てないということでしょう。

これは学校だけの問題ではない

そして、これは学校だけで起きている問題ではありません。企業でも、部下への指導に悩む上司と同じ構図です。


「強めに指導した後、次の日学校にちゃんと来てくれるか、真っすぐ家に帰るか不安になる」(40代男性)
大切なのは、その日のうちにフォローをすることです。
学校でも会社でも、指導することは必要です。しかし、叱りっぱなしにするのは指導ではありません。また、「強めの指導」とはどの程度を指すのか、という問題もあります。
ある知人の息子さんが通う公立中学校では、生徒を叱ると教員から親にその日のうちに電話がかかってきて、「こういう理由で息子さんを叱りました」と説明があるそうです。


「生徒の顔色や保護者の顔色を気にしながら指導をしないといけない時代」(30代男性)
このように回答している教員もいますが、相手の気持ちを想像し、フォローすることは、本来いつの時代でも必要なことです。


「本当にこのルールは必要なのか、それを守らせることはその子の将来に役立つことになるのだろうかと考えることはあります」(40代男性)
ルールそのものへの迷いを感じている教員もいます。
学校にも会社にも、使われていないルールがたくさんあるのではないでしょうか。誰も守っていないルールに意味はありません。ルールブックは、単なる「紙」です。

学校にも会社にもまん延する「指導したら損?」という空気

「指導死」という言葉が使われることで、指導そのものがしにくくなると感じている教員もいます。


「正直、学校現場には『指導したら損』という雰囲気もあります。生徒や保護者に強く追及され、頑張る人ほどつらい思いをしています。そのような言葉が広がれば、その空気が助長される気もします」(30代男性)
「生徒の命は大切です。そう思っていない教師はいないと思います。指導する中で生徒たちが『指導死』という言葉を盾にすることで、指導がやりにくくなったり、若い先生たちがやる気をなくしてしまったりすることを心配しています」(40代女性)
「指導することは教師の大切な仕事だと私は考える。この言葉が独り歩きし、指導=悪という印象になると、教師は指導しなくなる」(50代男性)


「指導したら損」という空気は、企業にもまん延しています。
「ヘタに指導をするとパワハラと言われる。だったら指導をしないほうがいい」と考える上司が増えています。しかし、指導そのものを放棄するのは、「適切な指導とは何か」という議論からの逃げでしかありません。

それでも「適切な指導」を考える人たちがいる

もちろん、中には「適切な指導」について真剣に考えている教員もいます。


「多くの教員が経験のないことだけに、日常の指導の先に『死』があることに認識が足りない」(40代男性)
「死に追い込んでしまうようなものは指導とは呼べないと感じます」(30代男性)
「大人の言葉ですごく傷つき命を落としてしまう子がいるのは非常に悲しいことで、あってはならないと思います。指導する側はそんな気はなくても死を選んでしまうことを頭に入れて指導していく必要があると思います」(30代女性)


指導者が自覚すべきこと

学校でも会社でも、教員や上司による「指導」や何気ない一言が、生徒や部下の心を深く傷つける場合があります。
パワハラは、被害者をメンタル疾患に追い込み、最悪、命を奪います。
不適切な指導が人の命を奪うことがあるというリスク。そして、自分が発する部下に向ける「コトバ」をより丁寧に選ぶことは、ますます、指導者側は自覚していなければいけない- あらためてご紹介した出来事から私はそう思います。

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この記事を書いた人

藤山晴久
株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締役
ハラスメント研修プランナー/講師/産業カウンセラー
企業の管理職が「ハラスメントを恐れて部下指導ができない」という悩みを解決する研修を専門とする。
アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修の企画営業マネージャーとして、一部上場企業を中心にコンプライアンス研修、ハラスメント研修を企画。
2009年、株式会社インプレッション・ラーニングを設立。
企業研修プランナーとして、管理職向けハラスメント研修を中心に活動し、研修講師としても登壇。
年間約200件の研修を企画・実施し、これまで約30万人以上が受講。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ハラスメントは、特定の個人だけの問題ではありません。 
社会の変化、世代間の違い、そして組織の文化の中で生まれるものです。
このブログでは、社会・組織・個人という三つの視点から、
ハラスメントの背景や構造について考えています。
職場には、「わかっているはず」という思い込みや、
言葉にしなくても伝わるはずだという空気があります。
しかし、ときにそれは人を追い詰める
「以心伝心の暴力」 になることもあります。
このブログでは、そんな職場にある“見えにくいズレ”をほどきながら、

よりよい対話と関係を生み出すヒントを発信していきます。
職場の「わかっているはず」を、言葉に変える。
そんな思いで、このブログを書いています。

#管理職
#人材育成
#マネジメント

怒らないと伝えられないなら、それは指導じゃない ― 怒ったら上司の負け!!!これが令和の部下指導。「監督が怒ってはいけない大会がやってきた」を読んで考えた。

 今回はそろそろ、新入社員が現場にやってくる時期にぴったりな1冊の本をご紹介したいと思います。
「『監督が怒ってはいけない大会をやってきた』益子直美他著(方丈社)」
本書を通じて、大人の組織でもパワハラを招かないように怒らずに叱る方法、部下とのかかわり方について考えていきたいと思います。

はじめに、本の袖から引用させていただき、著者の「一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会」をご紹介します。


2015年1月に、福岡県宗像市で開催された「第1回 益子直美カップ 小学生バレーボール大会」をきっかけに、子供たちが「バレーが楽しい」と思ってもらいたいというメンバーの想いから「監督が怒ってはいけない」というルールを発案し「一般社団法人 監督が起こってはいけない大会」という組織が、3つの理念を掲げ、発足されました。


1 参加する子供たちが最大限に楽しむこと
2 監督(監督・コーチ・保護者)が怒らないこと
3 子供たちも監督もチャレンジすること
3つの理念をベースとして、バレーボールに限らず、今、様々なスポーツ団体から注目されています。

具体的にどのような取り組みをしているか、職場の上司にも参考になるヒントが沢山ある素晴らしい1冊です。

怒鳴る指導が止まらないコートの舞台裏


 拝読してまず驚いたいたことは、2015年の話であるとしても、バレーボールのジュニアチームの子供たちが、当時、監督に怒鳴られ、平手打ちをされ、泣きながらプレーをしているという事実。昭和の頃からいまだに変わらず、体罰がバレーボールの指導の「当たり前」ということ。これを何とか変えられないか、10年かけてこの活動が不要になる、つまり現場から怒る理不尽な指導がなくなることを真剣に著者は考えていた現実です。

ベテラン世代の「上司」と「監督」の言い分

 特に印象的な点は、監督たちの否定的な声が、50代、60代、70代の上司の言い分と非常に似ていること。

監督の声
「怒らないなら、勝てない」
「怒らないことは、指導ではない」
「子供が甘えてつけあがる」
「チームとして成立しなくなる」
「怒らないなら、勝てなくてもいいんだね」
「初めから勝利を諦めるんだな」
これが10年たってもなくならない、とのこと。


一方、上司も負けずに次のように言います。


上司の言い分
「俺は怒られてきたから、いま成功している」
「経営者で成功している人は、みな、怒られることに耐えてきた」
「怒られない奴は、成長しない。」
「一番怒られた奴が結果、出世した。だから感謝しかない」
非常に似ていますね。

「スポーツマンシップ」と「リーダーシップ」の共通項


協会の方針としては、「スポーツを楽しむこと」が第一です。
誤解があってはいけないのですが、怒ることは否定せず、怒ってもいいときは、以下の4つの場合と限定しているのです。


1 ルールやマナーを守れなかったとき
2 取り組む態度、姿勢が悪かったとき
3 いじめや悪口を言ったとき
4 危ないことをしたとき

このような、スポーツマンシップに外れた行為をしたときは、「プレーの中のミスに対する感情的な叱責だけ」を禁じているとのこと。これを仕事に置き換えると「部下の仕事のミスに対する感情的な叱責」と全く同じです。また、スポーツマンシップについて次のように定義しています。「人との接し方やふるまいに思いやりがあり、誰かの為に自ら動けるスポーツマン」。素晴らしい表現です。私も全く同感です。相手を一人の人間として尊重している考え方が根底にあると感じました。

 高校野球の全国大会で代表の選手が「スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と試合することを誓います」とお約束のフレーズがあります。
この正々とは、私なりに解釈するならば、ルールやマナーを守る、堂々とは一点の曇りなく胸を張って試合をし、真摯にそしてフェアに取り組むことと伝えています。まさに、コンプライアンスの本質そのものなのです。

あなたは、誰かのために自ら動けますか?

「誰かのために自ら動ける」私が一番気に入ったこのフレーズ。
日本の職場では、この誰か困っている人のために、自ら動ける人が多くない印象です。言葉をオブラートに包まずに言えば、他人事、つまり傍観者でいる方が面倒なことに巻き込まれずにいられるので、安心なのです。
チームで仕事することが大事と口先ではいいながら、実際は助けない。言い換え得れば、同じ「職場という名のコート」のなかで年度の目標を達成するという試合を共に戦っていても、実は、仲間がピンチでも、ミスをしそうなときに誰もフォローしない、試合が終わっても声をかけない、無視と同じです。
 このような言動は、コートのなかでも、職場のなかでも同じことが起こりえると私は断言します。ましてや、スポーツと比べたら、職場は就業規則など様々なルールもありますので、従うべきことは多く、ペナルティーの厳しさは言うまでもありません。
 スポーツマンシップを発揮することと、リーダーシップを発揮することは、その姿が誰かを励まし、勇気づけることです。チームのメンバーにいい影響力を波及させ、結果的に強いチームを作る点においては、何ら変わりません。

職場でも取り入れたい、怒っている人を自覚させる方法


この大会は、旧態依然とした指導者にはバツが悪いイベントのようです。何故ならば、普段と違う姿(怒らない自分を見せる)を子供たちや保護者に見せるために、居心地が悪いようなのですが、とてもユニークな取り組みを大会中にしています。
実際に、つい声を荒げた指導者には「バッテンマスク」を進呈することで、怒りを無自覚に指導に使っている監督に気づきを与える取り組みをしています。会社でもコンプライアンスウイークくらいは同じことをやっても面白いと思いませんか?
ユニークさを受け入れてくれるコンプライアンス部の皆さん、担当取締役の皆さん、「バッテンマスク」はパワハラ行為者の問題の根にある「無自覚」を職場の全員で考えるヒントになるのではないでしょうか?

「怒らなくても勝てる」

 本書でも指摘していますが、大事なことは「理不尽」に怒らなくても勝って強いチームを作ることが可能であると言っているにもかかわらず、「怒らない」=「勝てない」とバイアスに完全に囚われている監督が多いようです。このバイアスのなかにも監督自身も若い頃から無意識に植え付けられた監督像、つまり「監督はこうあるべき」という強い価値観が刷り込まれ、プレッシャーとなってのしかかり、ときには押しつぶされそうになるとありますが、これは、上司も同じです。
  特に上司は、偉くなるほど誰も指摘はしてくれず、利益のプレッシャーも当然にありますが、残念ですが、プレッシャーのない仕事は存在しません。経営である以上、数字の責任を負っているのです。部下育成や仕事も課題も山積みで悩みも多いのですが、以外と誰にも相談できずに人知れず一人で悩んでいる人が多いのです。

要改善な監督とパワハラ上司の共通項
-ミスの理由を聞くこと

「ボールを拾わなかった子に、『なんでいかないんだ!』と怒鳴る監督がいますが、「なんで」と言われても、その時はよくわからないものです。でも理由は絶対にあり、丁寧に聞いてあげると必ず出てきます」とあります。
職場に置き換えます。「なんで、こんな仕事しか出来ないんだ!」「なぜ、ダメなんだ」なぜなぜ分析が大好きな上司と重なって読んでいる自分がいました。子供を指導するのも、部下を指導するの根本は同じであることを改めて痛感しました。
「『なんでミスをした』と言われると『できない自分』だけが刷り込まれていく」このフレーズは、全国の日本の管理職に声を大にして伝えたい言葉です。
これ以上は、是非、ご著書を読んで頂きたく、とにかく全国の管理職に読んで欲しい、あなたの部下指導を変えるヒントが沢山詰まった至極の一冊です。

子供たちと部下を伸ばす至極の言葉


本書では、子どもたち一人一人を見ていることの大切さを伝え、
「絶対に、チャンスをあげるからね」と声をかけることの大切さを説いています。上司の皆さん、部下に、今は難しくても「絶対にいつか活躍できるチャンス」与えていますか?

今年も新入社員が入ってきました。


上司、先輩の皆さん


新入社員にどうぞ、入社早々、怒らずに、まずは、よく見て、チャンスを与えて成長させてください。マネジメントの役割は、「部下育成」です。人が育つには時間がかかります。上司の皆さんも時間がかかったのと同じです。ただし、手間暇のかけ方が、昔とは180度異なっているのです。
20年後、30年後の未来の会社のリーダーは、あなたの部下です。一緒に未来のリーダーをサポートしていきましょう。
その上司の姿を、部下は必ず見てます。

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この記事を書いた人

藤山晴久
株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締役
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アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修の企画営業マネージャーとして、一部上場企業を中心にコンプライアンス研修、ハラスメント研修を企画。
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年間約200件の研修を企画・実施し、これまで約30万人以上が受講。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ハラスメントは、特定の個人だけの問題ではありません。 
社会の変化、世代間の違い、そして組織の文化の中で生まれるものです。
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#上司
#マネジメント
#管理職

その一言、もう通じていない ― 50代以上要注意!?新入社員が「#パワハラ」と勘違する!?上司の口癖あるある

謎のビジネス用語に苦しむ新入社員の実態

 今年も新入社員の皆さんは、4月、5月と緊張の新入社員研修の期間が続き、やっと緊張の研修期間が終わったと思いきや、配属先での仕事が本格的に始まります。

 地元から離れたり、実家から出て慣れない一人暮らしを始めたばかりで新しい生活スタイルとなる人も多いでしょう。夜遅くまで働いても、朝は時間通りに出勤しなければならない環境の変化に慣れず、意外と緊張で寝付けなかったり、早く起きたりする方もいるようです。

 現場に配属されれば、そこには、パソコンと必死に睨めっこしている一見怖い相の上司や、忙しく動き回わる先輩の姿。お客様からの電話が鳴り響き、会議や来客やリモート会議と忙しく働いている様子が否が応でも待ちうけています。

先輩や上司もそこは、新入社員の皆さんには手取り足取り教えてくれる!?のでしょうが、大きな声では言えませんが、新入社員の皆さんが先輩や上司には言えない、ある1年目の壁?とも言うべき戸惑いがあるのです。

それは、謎のベテラン社会人の普段使い(特に50代以上)のビジネス用語なのです。

その用語、新入社員に説明できますか?

このブログを読んでいる皆さん、すべて解答できますよね!?

さあ、一例をご紹介しましょう。

「あいみつ」

「えいやー」

「けたち」

「五十日」

「朝一、午後一」

「シャンシャン」

「蕎麦屋の出前」

「泣いてもらう」

「ニギリ」

「なるはや」

「直行直帰」

「サマる」

「ボールをもつ」

「前株後株」

「架電の件」

「いってこい」

皆さん、いかがでしたでしょうか。

まだまだ、挙げたらキリがありませんので、ここまでにしておきます。

毎年、講義の際に、新入社員研修でこれらの言葉を、アイスブレイク的に知ってもらうのですが、現場に突然放り込まれた新入社員が、会社によってはOJTもへったくりもない職場が意外にも多く、突然、取引先などから、上述の言葉を言われ、意味がさっぱり分からずに蒼ざめている新人が実際にいるのです。

新入社員はその用語をどう捉えているのか?

 4月の時点でこれらの言葉の意味を新入社員に講義中に聞いてみると、こんな珍解答が返ってきます。以下の回答は、過去の実際の新人研修でのコメントです。大変恐れ入りますが、ギャクではありません。むしろ、ほほ笑ましく思いながらも、捉え方の素晴らしい感性に着眼して、むしろ褒めたたえていただければ幸いです。

あいみつ

「あんみつ?」 ※ギャクではありません。真顔でした。

えいやー

「頑張ろう!」の掛け声的なやつ?

五十日

「五十日間の仕事の〆切のこと」

蕎麦屋の出前

「上司のランチの注文方法」

泣いてもらう

「怖いんだけど。『パワハラ!?』」

ニギリ 

「寿司屋にいったときの上ニギリみたいな感じ?」

いってこい

「上司から部下への「いってらっしゃい」の意味?」

いかがでしょうか。笑っている場合ではありません。新人の実態です。

 これが突然の配属で仮に取引先から電話で言われたものならば、ただでさえ電話対応は苦手な方が多い世代ですから、もしも、電話でこのような言葉を相手から使われた瞬間フリーズするのは目に見えています。

「こんなコトバ今どき使わないよ」こういったご指摘を受けますが、いやいや、地方に行けばまだまだありますし、50代、60代、70代の上司や、お客様などは立派な普段使いです。日本は意外に広いのです。色々な職場環境、取引先や人があり、地域によっては、これに方言が加わります。

一方、前株、後株もなぜこの「株式会社」の位置を間違えてはいけないのかを説明できても、なぜ、会社によって前後が異なるのかといった理由すら知らない先輩が沢山いることも事実です(笑)これもどうでもいいことですが。。。

「泣いてもらう」が「パワハラ」ならば、

「キミね、『五十日』もわかんないの?」

と鼻で笑ったら、それこそ新入社員からあなたに

「パワハラ」です!

と言ってくるかもしれません。

倍返しされない!?丁寧な対話をしよう

 昔から使われてきた言葉の面白さ、暖かさも個人的には好きですが、分からないから教えない、分からないから小バカにするといった態度は避けなければなりません。普段使いの先輩からすれば、一見しょーもないようなことでも、新人は実は苦しんでいるという実態を知っておくことで、少しは円滑な!?コミュニケーションもとれるかもしれません。

 反対に言えば、若手の普段使いのコトバを知らないことで皆さんが、仮に10年、20年後、いつの日か定年を迎え再雇用され、かつての部下だった新入社員が上司になる日がくるかもしれません。

「部長、そんなことも知らないんですか?」

と真顔で言われ、あなたに倍返しされる日がくるかもしれません。(これも、若手上司から、年上部下へのパワハラですから、あってはならない言動です)

今年の新入社員が早く職場に馴染んで、職場で活躍してくださることを切に期待しております。
 余計なことかもしれませんが、毎年、新入社員と出会うたびに皆さんが若く見えるのは、気のせいでも、老眼のせいでもなく、単に自分が確実に年を重ねていることを毎年、否が応でも実感させられるのです。

そんな私は、今日も「直行直帰」。

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この記事を書いた人

藤山晴久
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#上司
#マネジメント
#パワハラ

大人なのに、しつけ直しが必要だ ― すごい!課長よくできました!3歳児のベストセラー本から学ぶ、パワハラをさせない上司のしつけ方

今年の1月に『こどもルールブック」よくできました!』明治大学教授、齋藤孝さん監修の著書が発売されました。今回は、パワハラ上司をこれ以上増やさないためにも、この本を通じて「ビジネスマナー」よりも、もっと根っこの「しつけ」の観点から、パワハラに関心をもってくださっているあなたと一緒にパワハラ上司のしつけについて、学習していきたいと思います。

「バカタレはお前だ!!」82歳の母親に叱責された本部長

テレワーク中に、同居している82歳の母親に言われた一言。母親と二人暮らしの50代の部長から聞いた話です。その日に限ってテレワークの会議が長引き、近所の買い物から戻ってきた母親が、息子がパソコンの画面に映る20代の部下に向かって「こんな仕事もできないのか、バカヤロウ!」と叫んでいる声を、後ろで黙って見ていたとのこと。部長曰く『PCを消した後に、突然、背中越しに、母親から大声で叱られ、もし部下に聞かれていたらと思うと、冷や汗ものだった』とのこと。

この話を聞いたときに、なんと立派な母親なんでしょうと思った一方で、このパワハラ部長を叱る人は、この母親以外にいないと思うと、むなしい気持ちになった一方で、母親の気持ちに強く共感しました。

今回、ご著書の中から、私が実際に多くの職場を見てきたなかで、特に気になったルール、特に上司がパワハラを起こさないための予防に必要なルールに厳選して、いくつかご紹介したいと思います。

ルール その1
ありがとう とくちぐせにする。

『プレゼントをもらった時だけではなく、レストランでおみせの人がりょうりをはこんできてくれたときも、ありがとう、っていうんだよ。ありがとうのでばんは、まいにちいっぱい。くちぐせにしよう』

課長いかがですか?

部下にコピーを頼んだり、用事を頼んだりしても有り難う、と相手の顔を見て労いの気持ちを込めて言っていますか? 意外と出来ていない課長が多いような気がします。しかめっ面で、部下なんだから、やって当たり前オーラが漂う人がいます。自宅でも、奥さんが入れてくださったお茶も、目線はスマホで有り難うの一言もないんでしょうね。これって挨拶も同じです。ぜひ、自分から職位に関係なく、自分から声かけしましょう。感謝の気持ちを言語化するって、強烈な効果を発揮します。

ルールその2
「むぎちゃ!」ではなく、「むぎちゃください」という

むぎちゃをとってほしいとき、おとうさんやおかあさんにむかって「むぎちゃ!」なんてらんぼうないいかたをしていない?なにかひとにたのむときは、ていねいなことばをつかうんだよ。あいてがとししたでも、どんなにちいさなたのみごとだとしてもね。

課長、耳が痛いですね!? 部下に向かって、「おい!おまえこれやっとけ」と仕事を振る人。部下を子分のようにこき使う上司は、意外にまだまだ多いように感じます。単に課長や部長という役割を任されているだけの人間が、一体、何様のつもりだと言いたくなります。課長や部長は昔の王様のように偉い身分ではありません。勘違いしている裸の王様、あなたの上司にいませんか?乱暴な言葉は、パワハラ上司としての人生の幕開けです。

ルールその3
ひとのはなしはしんけんにきく

ひとのはなしをきくときは、しずかに、あいてのめをみて、さいごまできこう。

ほかのことをしながらきいたり、とちゅうでおしゃべりしたりすると、はなしているひとが「ちゃんと つたわっているかな」ってしんぱいになってしまうからね。

課長、またスマホいじってるんですか? 部下の報告や話を聞くときに、スマホをいじりながら、資料に目をやりながら、こんな上司は確実にいます。理由を聞くと「忙しいから」。あなたは一体いつから、一国の総理大臣よりもお忙しい立場になられたのでしょうか? もうコーチングとか知らなくていいです。著書にも書いてある通り、相手の話を聞くときは、①しずかに ②相手の目を見て ③最後まで聞く この3つだけでも十分です。加えてスマホはいじらない。相手の話している間に遮らない。課長、この本3歳児向けの本だっていうことは、ご存知ですよね?!

いかがでしたでしょうか?

正直、全部ご紹介したい気持ちですが、このくらいにして、是非、この本を買って読んで頂きたいと思います。このように、部下とのちょっとした関係性や立ち居振る舞いを少し変えるだけで、パワハラ上司のレッテルを貼られることはなくなるはずなんです。でも、なかなかなくならない。今、本気で、大人のしつけが問われているように思えてなりません。ビジネスマナー以前の問題です。

上司の上司と、上司の保護者の皆様へ

著者の齋藤さんは、『しつけとは、本来親からこどもへの「幸せに生きる力」のプレゼントであると伝えています。社会のルールを身につけ、自分も周りの人も幸せに気持ちよく過ごせるようになることは、生きていく上での大きな強みになり、幸せに生きる土台である』とのべています。

この言葉を職場に置き換えれば、上司から部下へ、或はリーダーから後輩へ「幸せに働くことが出来る」プレゼントであり、大事なことは「自分も周りの人も幸せに気持ちよく過ごせるようになること」という発想が、コロナ禍でリモート環境の今だからこそ、なおさら、おざなりになっていないでしょうか? こんな当たり前のことが、実は以外に多くの日本の職場で見失われている気がしてなりません。

是非、もう一度自分の職場の管理職のしつけについて上司の責任者の皆さん、職場の一人ひとりの日頃の態度や言動を指差し確認してください。どうも、偉くなると自分で自分のことができなくなる人もなかにはいるようです。

上司の心理的安全性は、部下の心理的不安を焚きつける!?

強面のコンサルタントや、分厚い書籍を真に受けて「これからは心理的安全性な職場が大事だ!」などと、小難しいことを難しい怖い顔で職場のメンバーに熱く語ると、「心理的な安全な職場をつくらなければ」と上司もメンバーはプレッシャーばかりで、かえって心理的な余裕がなくなり、余計に安全性が失われるような気がしてなりません。一見笑い話のようですが、本当にこんな会社があるんです。

心理的安全性を大所高所から語るのもいいですが、その前に、是非、部下が安心して働ける職場をつくるために、まずは、自分自身を自分でしつけることからはじめてみませんか?

 新卒が1年以内に辞めるのがあたりまえと言われている昨今、部下にプログラミングを教える前に、もっと大事な学ぶことがあるのではないでしょうか? 自分をしつけることができなければ、部下をしつける大義名分は損なわれます。

あなたの上司はおいくちゅですか?

ちなみに、この本は3歳からチャレンジしたい46の習慣を「こどもルール」としてまとめています。気がかりなことは、職場の上司にもこれだけ当てはまるルールがあるということは、一体あなたの上司の精神年齢は、いくちゅなのでしょうか、、、

出典引用 著作:日本図書センター 

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職場の「わかっているはず」を、言葉に変える。
そんな思いで、このブログを書いています。

#上司
#マネジメント
#パワハラ

偉くなるほど、本当の声が届かない ― 偉くなるたび、臭くなる人

上司の香水は、セクハラか?

 とある会社の出来事です。社内の相談窓口にこんな連絡が入ったそうです。

「うちの課長、私の入社前から、頭はポマードにリーゼント、臭いがきつい香水で有名で、廊下でその香水の香りがするとその課長がさっき廊下を通ったとことが分かるくらい臭うのです。
 周囲は仕方ないと半ば諦めていたのです。 ところが、その課長が今年の春に部長に昇格したのですが、香水がさらにきつくなってきて、クサイを超えて社内公害レベルです。なんとか注意してもらえませんか?」と連絡が入ったそうです。
  しかも相談には続きがあります。
「しかも、部長、そうは言っても根はいい人なんですけど、おまけに昼ごはん食べても歯も磨かないし、そのままコーヒー飲んで、タバコ吸って、そのまま喫煙室から戻った後のOne on Oneの面談は最悪ですよ。罰ゲームもいいところ。
  ある夏の日、個室の臭いに耐えられずに、ある面談の日についに耐えられずマスクをしていったら、 「夏なのに風邪?早く直せよ!」まるで、他人事なんです。
  これ、セクハラとパワハラの合わせ技?それともスメハラ?なんでもいいですけど、注意してください!我慢できません。みんな、部長の被害者です。課長も部長に気を使ってみてみぬふりで、注意しないんです」

ひょっとしたら、あなたの職場の光景かもしれません。

  さて、この相談からハラスメント問題を考えていく上で大事なポイントがいくつか見えてきます。

① 「スメハラ」なんて言わせない!

 この対話を伺う限りでは、真っ黒なセクハラとは言えません。
ビジネスマナーやエチケットの範疇で指導すべき問題であり、セクハラ問題ではありません。
 大事なことは、ここで「スメハラ」とか、意味のわからない言葉遊びで楽しんでいることの方がよっぽど問題だということです。ここで言葉遊びに振り回されてていると、なんでもかんでも「セクハラだ!」「パワハラだ!」「○○ハラだ!」と本質が見えなくなりますので、「スメハラ」という言葉で人をいじる行為自体の方がよっぽどハラスメントを正しく理解していないと思われるかもしれません。
 是非、今日から、ハラスメントの問題と、ビジネスマナー、エチケットの問題を区別して考えるようにしましょう。

②いつの時代も部下は上司にモノが言いにくい!!

       組織的不正でもそうですが、そもそも、組織において部下は上司にモノを言いにくいものです。口臭と組織的不正を比べることは大げさかもしれませんが、部下は上司に臭い!とは面と向かって言えませんので、我慢しているのです。
      特に、口臭は難しい問題です。偉くなると、誰も注意をしなくなります。このままでは最後には、裸の王様になってしまいます。「なんでも言いなさい」、という上司は、一見器の広い上司にもみえますが、部下はやっぱりなんでも言えないのです。悪い情報、自分には都合の悪い情報、耳の痛い話を部下が言える組織風土が大事であることは皆、分かっています。そうであるならば、 まずは、初めはかなり遠回しですが「部長、よかったらガムいかがですか?」と部下が上司にそっと渡す人間関係をつくることは大事ですが、意外とそこが希薄だったりします。そもそもガムを渡される意味が分からない部長には、残念ですが効果はありません。
      偉くなると、30年前、40年前、自分が若かったころ散々上司に気を遣っていたことも忘れてしまうようです。実るほど頭が下がる稲穂かな、昔の人は素敵な言葉を残してくださいました。今では、エチケット問題を実際に研修で取り上げる会社もあります。まずは、自分が周囲に迷惑を掛けていないか、常に考える習慣、周囲に気を使える意識、エチケットの問題がハラスメントだ!と言われない対処法のひとつかもしれません。叱っても、慕われる上司になる方法ともいえるでしょう。

③メッチャ香水臭い人は、承認欲求の強い、寂しい人?!

      部長もこの位の臭い、俺も部長になったんだから、このくらい許されるだろうという気持ちになっていたかもしれません。聞いた話ですが、ある会社では、超年功序列で完全なる社内の序列が存在する会社で、この令和の時代に勘違いも甚だしいのですが、昭和の感覚を捨てられないのです。変化を極度に恐れるのです。この会社の部長は、「俺の言動がこの会社のバイブルだ!」と言ってメンバーがびくびくしているようです。 本物の「バイブル」に失礼!?です。
     エスカレートしていく香水の匂いは、承認欲求の態度のひとつの表現ともいえます。俺は偉いんだ!と勘違いしている人も、これはあくまで「条件付偉いんだ!」であり、つまり、あくまでその組織の職場の「役割」に限り、一歩玄関を出ればただの人なのです。何をもって「偉いのか」定義も曖昧ですよね。このまま放置しておけば、徐々に部下は心理的に、最後に物理的に距離が遠ざかっていくのです。
     
    あなたは、上司、先輩で偉そうにしている人の気持ちご存知ですか? 上司、先輩の皆さんは、実は自分の過去の生き方、働き方を正当化して欲しくて、いつも良い子でいたいのです。だから、自分に対する他人の評価が自分の考えと違うととても耐えられず、反対に逆ギレする人もいます。
     以前、ある講師がこんなことを言っていました。「理不尽な態度の上司にも赤ちゃんの時代がありました。だから、そんな上司を赤ちゃんとイメージして接しましょう」と言っていましたが、私は絶対に無理です。噴出してしまいます。余計にムカッとするかもしれません。(笑)

もう一度、気持ちよく身体も、気持ちも快適な状態で働ける職場をつくるために、何が出来るか、一人ひとりが考えてみませんか?

ハラスメント問題は、知識の問題ではなく、意識(心がけ)の問題なのです。

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この記事を書いた人

藤山晴久
株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締役
ハラスメント研修プランナー/講師/産業カウンセラー
企業の管理職が「ハラスメントを恐れて部下指導ができない」という悩みを解決する研修を専門とする。
アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修の企画営業マネージャーとして、一部上場企業を中心にコンプライアンス研修、ハラスメント研修を企画。
2009年、株式会社インプレッション・ラーニングを設立。
企業研修プランナーとして、管理職向けハラスメント研修を中心に活動し、研修講師としても登壇。
年間約200件の研修を企画・実施し、これまで約30万人以上が受講。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ハラスメントは、特定の個人だけの問題ではありません。 
社会の変化、世代間の違い、そして組織の文化の中で生まれるものです。
このブログでは、社会・組織・個人という三つの視点から、
ハラスメントの背景や構造について考えています。
職場には、「わかっているはず」という思い込みや、
言葉にしなくても伝わるはずだという空気があります。
しかし、ときにそれは人を追い詰める
「以心伝心の暴力」 になることもあります。
このブログでは、そんな職場にある“見えにくいズレ”をほどきながら、

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職場の「わかっているはず」を、言葉に変える。
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