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“こんど”が部下を潰す!?~西武線の電光掲示板が教えてくれた、4月の職場で起きている認識のズレ~

春、4月。
新しい環境に飛び込んだばかりの人たちが、今日も職場で立ち止まっています。
上司の言葉が、届かない。

SNSで話題になったコトバの“違和感”

西武線の電光掲示板に、こんな表示があるそうです。
「こんど」「つぎ」「そのつぎ」「そのあと」
この表示をめぐって、SNS上で話題になっていました。

こんな声が上がっていました。

「『こんど』と『つぎ』は同じ意味に思える。関西人には納得しづらい表示だ」

「関西人からすると、この『こんど』という言葉には非常に違和感がある」

「日本語を学んでいる外国人にとっては、パニックになりそうな難解さだ。英語表記の方が直感的に理解しやすい」

「関東は路線の枝分かれが多く、電車の行き先が多様だから表示が複雑になる。案内を作る側も大変なのだろう」

「関西の表記に慣れていると、『そのつぎ』と『そのあと』のどちらが先に来るのか判別しにくい。もっと直接的な表現はなかったのだろうか」

記事を読んで、ふと考えました。
関西の鉄道は違います。「先発」「次発」。漢字二文字で終わり。
誰が見ても迷いません。
関東の人には「当たり前」の表示が、関西の人には「バグ」に見える。
悪意はありません。ただ、前提が違う。それだけで、言葉は機能しなくなります。

あなたの職場でも、毎日起きている

これ、職場で毎日起きています。

「なるはやで」
「いい感じにまとめて」
「こんど、やっといて」
「適当にやっておいて」
「ざっくりまとめておいて」
「早めに確認しておいて」

上司にとってはすべて、意味の明確な指示です。しかし新入社員には、解読不能
暗号です。

「なるはや」は今日なのか、明日なのか。
「いい感じ」はA4一枚なのか、十枚なのか。
「こんど」は今週中なのか、今月中なのか。

この「言葉のズレ」は、職場ではこうなります。

上司は「今日中」のつもりでした。
部下は「今週中かな」と受け取りました。
締め切りが過ぎました。
「なんでやってないんだ」
「常識で考えろ」
この瞬間、それはもう指導ではありません。

能力の問題ではない。言語のバグだ。

新入社員はまだ、その会社の「言語プロトコル」を持っていません。
「こんど」が何時を指すのか、「いい感じ」がどこまでを意味するのか、
知る手がかりがありません。

それでも仕事は進めなければならない。だから新入社員は毎日、文脈から
推測し、空気を読み、恐る恐る動きます。

そしてズレが起きるたびに叱られる。
最初は「次は気をつけよう」と思います。次第に「何をやっても怒られる」
に変わります。やがて「自分には向いていないのかもしれない」になります。

人は、悪意より無自覚なズレで壊れます。
静かに、じわじわと。

解決策は、難しくない

「なるはや」を「今日17時まで」に変える。
「いい感じ」を「この3点を入れたA4一枚」に変える。
「こんど」を「明日の午前中まで」に変える。

それだけでいいのです。

ただし、一方的に決めるだけでは足りません。
「この仕事、何のためにやるんですか」という問いを歓迎できるか。
その問いに答えられるか。

言葉をすり合わせることは、関係性をすり合わせることです。

ハラスメント防止とは、ズレを放置しないことだ

ハラスメント防止とは、怒らないことだけではありません。
世の中のハラスメント防止セミナーで解説している内容も大事ですが、

ズレを放置しないことです。

「こんど」がいつなのか。「いい感じ」がどこまでなのか。
その確認を「面倒くさい」と思った瞬間に、誰かが静かに壊れ始めます。

西武線の表示を見て笑った人も、職場では「こんど」を連発しているかも
しれません。

自分の言葉が、相手には「バグ」に見えている可能性。

その前提に立てるかどうかが、4月の分岐点です。

出典・引用元
本記事の執筆にあたり、SNS上の以下の議論を参照・引用しました。

出典元: Togetter(トゥギャッター)
記事タイトル: 「こんど」「つぎ」はどっちが先なのか…西武線の案内表示の時制がわかりにくい、特に「関西人には納得できない表示」だそう
URL: https://togetter.com/li/2681749
参照日: 2026年4月5日

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この記事を書いた人

藤山晴久
株式会社インプレッション・ラーニング 代表取締役
ハラスメント研修プランナー/講師/産業カウンセラー
企業の管理職が「ハラスメントを恐れて部下指導ができない」という悩みを解決する研修を専門とする。
アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修の企画営業マネージャーとして、一部上場企業を中心にコンプライアンス研修、ハラスメント研修を企画。
2009年、株式会社インプレッション・ラーニングを設立。
企業研修プランナーとして、管理職向けハラスメント研修を中心に活動し、研修講師としても登壇。
年間約200件の研修を企画・実施し、これまで約30万人以上が受講。

特に「これはパワハラなのか?」という企業現場で最も悩みが多い
ハラスメントのグレーゾーン問題に特化した研修を日本でいち早く企画・提供。
「ハラスメントにおびえて部下指導ができない管理職」を支援することをテーマに、企業研修・講演・執筆活動を行っている。
立教大学経済学部卒
産業カウンセラー

最後までお読みいただきありがとうございました。

 ハラスメントは、特定の個人だけの問題ではありません。
社会の変化、世代間の違い、そして組織の文化の中で生まれるものです。このブログでは、社会・組織・個人という三つの視点から、
ハラスメントの背景や構造について考えています。
職場には、「わかっているはず」という思い込みや、
言葉にしなくても伝わるはずだという空気があります。
しかし、ときにそれは人を追い詰める
「以心伝心の暴力」 になることもあります。
このブログでは、そんな職場にある“見えにくいズレ”をほどきながら、
よりよい対話と関係を生み出すヒントを発信していきます。
職場の「わかっているはず」を、言葉に変える。
そんな思いで、このブログを書いています。

#パワハラ防止
#アンコンシャスバイアス
#新入社員育成

なぜ、上司の指示は「占い」みたいになるのか?

占いの言葉は、なぜ自分に当たっているように感じるのか

占い師に占ってもらうと、こんな言葉を耳にします。

「流れは悪くないですね」
「動くと運気が開けます」
「これからチャンスが来ますよ」

聞いていると前向きな気持ちになります。
ただ、よく考えるとかなり抽象的です。

「流れがいい」と言われても、何をすればいいのかは曖昧な表現がある。
「チャンスが来る」と言われても、具体的な行動は示されていない。

それでも、多くの人は「当たっている」と感じます。

なぜでしょうか。

占いの言葉が当たっているように感じるのは、
多くの場合、言葉がとても抽象的な側面があると私は思います。

「変化の年です」
「流れが来ています」
「動くと運気が開けます」

こうした言葉は、どんな状況にも当てはめることができます。

転職を考えている人には転職のチャンスに聞こえる。
恋愛中の人には恋愛の進展に聞こえる。
何もなければ「これから起きる出来事」にもできます。

つまり、聞いた人が意味を補ってその意味を自分で完成させる言葉なのです。

タロット占いも同じです。

カードが出たとしても、それ自体が答えではありません。
カードの意味をどう読み解くかは、占い師の解釈に委ねられています。

カードはヒント。
意味を完成させるのは人間です。

職場にも、占いみたいな指示がある

実は、職場にも似たことが起きています。

職場には、占いみたいな指示があります。

「方向性はいいと思う」
「もう少し詰めてみて」
「一回整理してみて」
「その方向で進めて」

言っている意味は、なんとなく分かる。
でも、何をすればいいのかは、はっきりしない。

そんな経験、ありませんか。

「もう少し詰めてみて」の正体

例えば、こんな場面です。

上司
「方向性はいいね。もう少し詰めてみて」

部下
(何を詰めればいいんだろう……)

資料を増やす。
説明を足す。
データを追加する。

そして再び上司のところへ持っていくと、こう言われます。

「うん、悪くないけど、もう少し詰めてみて」

……さっきも同じことを言われた気がします。

結局、部下は自分で考えるしかありません。

何を直せばいいのか。
どこまでやればいいのか。
どの程度が完成なのか。

つまり、上司の言葉を解釈して動くしかないのです。

実は、部下が占いを解読している

ここで気づくことがあります。

上司が占いをしているわけではありません。

部下が、上司の言葉を占いのように読み解いているのです。

「もう少し詰めてみて」と言われれば、
部下は自分なりに意味を考えます。

資料を増やすのか。
データを追加するのか。
説明を整理するのか。

どれも正解になり得ます。

もし結果が良ければ、
「だから言っただろう」となる。

もし結果が悪ければ、
「やり方が違う」となる。

言葉が抽象的であるほど、後から意味を調整できます。

なぜ上司の言葉は占いみたいになるのか

では、なぜこういう言葉が職場で生まれるのでしょうか。

一つは、仕事の複雑さです。

仕事には必ずしも正解が一つあるわけではありません。
状況も変わるし、結果も予測しきれない。

だから「細かく説明するより、方向だけ示す」というコミュニケーションが生まれます。

もう一つは、組織文化。

かつての日本の職場には「察する文化」がありました。

上司がすべてを説明するわけではない。
部下は上司の意図を読み取りながら動く。

いわゆる「以心伝心」や「背中を見て学べ」という世界です。

さらに、日本語そのものも影響しています。

日本語には、状態を表す言葉が多くあります。

「ちゃんと」
「しっかり」
「いい感じに」
「もう少し」

どれも意味は分かるのに、具体的な行動は書かれていません。

こうした言葉は、方向は示しますが、行動は示しません。

だから受け手は、自分で意味を補うことになります。

そこに圧力が加わると、問題になる。

ただし、ここに圧力が加わると、話は少し変わってきます。

「なぜ俺が言っている方向に動かないんだ」
「なぜお前はその通りに行動しないんだ」
「なんで分からないんだ」

抽象的な指示なのに、従わないことを責められる。

こうなると、受け手は強いプレッシャーを感じます。
そして時には、パワハラのような問題が起きることもあります。

もし占い師がこう言ったら

ここで少し想像してみてください。

もし占い師がこう言い始めたらどうでしょう。

「なぜ私が言った通りに動かないんですか」
「なぜ運気が良くなることを信じないんですか」
「だからあなたはうまくいかないんです」

少しおかしいですよね。

占いはあくまでアドバイスのはずです。
それなのに、信じないことを責められたり、圧力をかけられたりしたら、違和感があります。

しかも、占いの場合はお金を払っています。
それなのに、なぜ圧力まで受けなければいけないのか。

それでは本末転倒です。

占いは未来を当てるもの、指示は人を動かすもの

もちろん、すべての抽象的な言葉が悪いわけではありません。
仕事には、あえて余白を残すことが必要な場面もあります。

ただ、少なくとも一つ言えることがあります。

占いは未来を当てるものです。
しかし仕事の指示は、未来を当てるためのものではありません。

人を動かすためのものです。

もし部下が迷っているとしたら、それは努力が足りないのではなく、
もしかすると指示が「占い」になっているのかもしれません。

ちなみに

誤解のないように言っておくと、私は占いが嫌いではありません。
むしろ、占いは面白いと思っています。

ただ、上司の指示が占いみたいになると、正直困ります。
あなたの部下が、曖昧な言葉に不満が鬱積して、静かに気持ちが
離れていくことの方が心配だからなのです。
あらためて、言葉を大切にしたいものです。

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この記事を書いた人

藤山 晴久

ハラスメント研修企画会議 主宰

株式会社インプレッション・ラーニング  代表取締役、産業カウンセラー。アンダーセンビジネススクール、KPMGあずさビジネススクールにて法人研修企画営業部門のマネージャーとして一部上場企業を中心にコンプライアンス、ハラスメント研修等を企画。2009年株式会社インプレッション・ラーニングを設立。起業後、企業研修プランナーとして「ハラスメントの悩みから解放されたい」「自分の指導に自信を持ちたい」「部下との関係性をよくしたい」……といったハラスメントにおびえながら部下指導に悩む管理職に年間200件のセクハラ、パワハラ研修を企画し、研修を提供。会社員時代の研修コンテンツでは決して企画することが出来なかった 「グレーゾーン問題」に特化したハラスメント研修を日本で一早く企画し実施。 起業後10年間で約2,000件、約30万人以上に研修を企画してきた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ハラスメントは、特定の個人だけの問題ではありません。
社会の変化、世代間の違い、そして組織の文化の中で生まれるものです。このブログでは、社会・組織・個人という三つの視点から、

ハラスメントの背景や構造について考えています。
職場には、「わかっているはず」という思い込みや、
言葉にしなくても伝わるはずだという空気があります。
しかし、ときにそれは人を追い詰める
「以心伝心の暴力」 になることもあります。

このブログでは、そんな職場にある“見えにくいズレ”をほどきながら、
よりよい対話と関係を生み出すヒントを発信していきます。
職場の「わかっているはず」を、言葉に変える。

そんな思いで、このブログを書いています。

#上司の指示曖昧なコミュニケーション
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